「ハネウマライダー」と「アイランド」の歌詞が教える、“自分を変えていく”ことの大事さと難しさ。
ポルノグラフティの「ハネウマライダー」と、レミオロメンの「アイランド」という2曲。
曲は違えど、どちらもじつは、「自分を変えていくこと」について歌っているのだ。
今回、この2曲の歌詞を、僕なりの解釈で紐解いてみたいと思う。
ハネウマライダー
ハネウマライダーは2006年にポルノグラフティがリリースした、20作目のシングル曲。
ポカリのタイアップソングにもなったので、聞いたことのある人も多いだろう。
キャッチーなギターリフから始まる、ポップ・ロック・チューンである。
あまりにもメロディーラインがいいので、ついつい歌詞を軽視されがちだが、これが単純なようで奥が深い。
ファンに対するメッセージや意思表明?
ぼくはこのハネウマライダーの歌詞を、上記のようにに分析している。
最初に説明しておくと、
Motorbike=バンド と解釈して良いとおもう。
なぜ“Motorbike”なのか?
それはポルノが2人組であり、「それぞれが車輪であって、それぞれが支え合わなければ前に進めない」ということを比喩しているのではないかと思っている。
※昔は3人組、もっと昔は4人組だったんだって。知らなかった笑
つまり、この歌詞に登場する「Motorbike」は、ポルノグラフティ自身であると思ってよいだろう。
一番では、「頑固で真っ直ぐに駆け抜けてきた」バンドのこれまで(過去)が書かれている。
誰にも指図されずに、曲がるつもりもなく、止まることすら知らない。
とにかく、「僕たちのスタイルに君たちがついてきてくれ!」と言わんばかりの傍若無人ぶり。真のアーティストの姿である。
そして、これが2番になると変化していく。
どう変化するかというと、「芸術性」とは相対する、「大衆性」を追い求めるかのような歌詞に変化するのだ。
「後ろに寄り添う人」=ついてきてくれたファンや、自分の周りにいる大事な人のことだろう。
バンドをやっているうちに、「自分達だけのことではなくなってきた」ということを、ずっしりと実感しているかのような一節だ。
アーティストとして食っていくためには、自分が表現したい芸術(アート)
だけでなく、いわゆる商業的で、かつ民衆に飽きられないための努力が必要である。
つまり、どういうことかというと、自分達の音楽を聴いてくれるファンのために、音楽活動を継続できるような環境を作らなければならない。
そのために、「大切なもののために、生まれ変わっていく」必要があるのだ。
芸術性を追うだけでなく、優れたアーティストは商売として、民衆に寄り添うような“大衆性のツボ”を見極めていることがほとんどだ。
後半は割愛するが、この歌詞は全編を通し、ポルノグラフティ自身の「新たな旅立ちに対する宣誓」だったのだと思う。
極めて前向きな歌詞だ。
それに対する、レミオロメンの歌詞は……まぁ暗いこと!笑
さっそく見ていこう。
アイランド
レミオロメンのアイランドは、2006年に発売された『Flash and Gleam』というライブ音源アルバムのDISK2に、新曲として1曲のみ録されている楽曲だ。
ぼくはレミオロメンがちょうど世代だったために、割と多くのアルバムを聞いてきたのであるが、このアイランドが最も好きな曲である。
※ただ溺れていくだけのPVにも注目してほしい
「社会(大衆性)に染まりきれなかった自分」を、これでもかと赤裸々に描いていて、その歌詞に逃げ場も答えもまるでない。
変われなかった自分を嘆く歌詞
「結局、ぼくには耐えられませんでした」という、悲しさや憂鬱さが溢れた一曲である。
「君(新規のファン、大衆)に好かれて 君(古参のファン)からは嫌われた」
そんな強烈な歌い出しとともに、ひたすら絶望や迷いが歌われている。
三日月=自分自身のすり減った心を表現しているようにも読める。
ちょうどこのころレミオロメンは、国民的バンドへの階段を上がりつつある時だった。
ゆえに迷いや苦しさが滲み出たのかもしれない。
そう思って歌詞を読むと、なんだか泣けてきそうな内容なのだ(笑)
レミオロメン(藤巻氏)は「人は変われない」という。
ポルノ(晴一氏)は「生まれ変わっていかなければねぇ」という。
正直、どちらも正解なのだろう。
リスナーのリアルタイムな気持ちが、どちらに共感できるかだけの話である。
結論:人は変わることが難しいが、努力はしたい
歳をとるごとに、あたらしい価値を受け入れたりすることが容易ではなくなる。
今まで続けてきたことが正解であると思いたいし、できればそのままの常識のまま、死んでいきたい。
しかし、状況はいつだって、刻一刻と変化する。
時代が変われば、価値観も変わる。
昨日は正解だったことが、明日には不正解になるかもしれない。
だからこそ、「ハネウマライダー」のように、変化を恐れない自分でいたいのだが、「アイランド」のように結局挫折してしまう自分がいたりする。
あぁ、やっぱり歌詞に込められた想いというのは素晴らしいものだ。
ぜひみなさんも、この2曲の歌詞の素晴らしさに酔っていただきたく思う。
まーしー