共生社会について

GW中に2日間ほど、NPOのプロボノメンバーたちと読書会や、家族など人々が支え合う“親密圏”について様々なことを語り、とても充実しました。

そうした学びから、改めて自身の考えている目指したい社会とは何であろうかと考えました。(※親密圏の話については別の機会に。)

本日は、共生社会についてのレポートを少し紹介したいと思います。

第1回の投稿に書きましたように「万人が思いやりながら暮らせる共生社会」というものが目指したい社会だと考えております。
(https://note.mu/masashi0911/n/ne053794e49cb)

しかし、時代に応じて人々のライフスタイルや価値観が変わるものであり、多様な価値観が認められるべきだと思いますので、一つの解がある訳ではないとも考えています。

公的には共生社会については近年は厚生労働省においてさかんに議論されています。
特に2025年に向けて地域包括ケアシステムという高齢者が地域で暮らしやすいようにする介護医療体制を整備すと同時に、様々な人が地域で暮らしやすいようにする「地域共生社会」を目指すという方向に向かっています。
参考:厚生労働省HP(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000184346.html)

最近、厚生労働省から委託を受けて二つの機関からレポートが出されています。

一つは三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社より「2040 年:多元的社会における 地域包括ケアシステム ―「参加」と「協働」でつくる包摂的な社会―」というレポートです。
(https://www.murc.jp/report/rc/policy_rearch/public_report/koukai_190410/)

もう一つは一般社団法人日本老年学的評価研究機構より「参加と協働によるセーフティネットの構築〜誰もがつながりを持ち、役割と物語が生まれる地域社会へ〜」というレポートになります。
(https://www.jages.net/project/kyosei/)

どちらも共通して「参加と協働」というキーワードが報告書の題名になっております。
詳しくはぜひ読んでいただければと思いますが、簡単に要約しますと、

前者では、下記のようなことが書かれています。

・単身世帯を想定した社会に制度を合わせるべき。8050問題などを念頭に。
・社会的包摂に触れ、「個人が単一的な社会の枠組みに無理やり押し込まれるか、排除されるか」といった社会ではなく、「社会が個人の意思決定に可能な限り寄り添える社会」が重要と述べている。
・「個人の尊厳の保持」が地域包括ケアシステムの出発点であり、自立支援を目指すこと。
・本人や家族も含めて参加と協働によって地域をデザインしていくこと。
・混合介護や生活支援サービスなど事業者が様々なサービスを生み出せる可能性があること。
・ソーシャルインパクトボンドなどと組み合わせた成果を測定しながらサービスも提供していく。

後者では、下記のようなことが書かれています。
・生きづらさは個々人の人生に身近になっていること。
・「地域共生社会」とは地域において「受け手」「支え手」といった関係を固定化するものではなく、すべての人がつながり、共に地域をつくっていくこと。
・成熟社会の公共政策では「多様性、QOL不可知の自覚」、「多様な参加の機会の確保」、「個人の自立の支援」といった視点が重要であること。
・地域の実情に応じて変えれるように、“やわらかく”、“余白”のある制度設計を目指すこと。
・制度の狭間をなくすためにも行政を「社会全体の調整者」として様々なコニュニティーが足りていない場合に補完する主体として位置づける
・「課題解決型」の支援手法を意識し、一人一人のエンパワーメントを支える「伴走型支援」をメインに。
・断らない支援を実現するために自治体職員の働き方や、現場に裁量のある制度設計を目指す。

どちらのレポートも多くの示唆に富む内容ですが、私は追加で下記の視点も必要だと考えます。

① 地域に根差していない人をどうするか。
例えば、転勤者、出所者、外国人、ホームレス、家出をした青少年などの状態の人が考えられます。
地域に基盤がない人をどのように包摂していくのか、きっかけづくりが必要となります。

② 地域による整備の格差是正
都市部や、ベットタウンなどは地域づくりを行える人材や資金が豊富にいるかと思いますが、限界集落と呼ばれれる地域までどのように仕組みをつくっていくのか。

③ どうやって助け合いという考えを広めていくか
ここが一番重要かもしれませんが、そもそも「共生社会」の前提となる公助(自身の税金が困っている人へ配分されること)や、共助(地域社会でお互い助け合う)ことなどを許容できるマインドを多くの人が持たなければそもそも成り立ちません。
欧州の一部の極端な主張の政党や、日本での生活保護パッシングのような状況が続けば共生社会づくりが難しかもしれません。

上記のようなレポートの解釈もできるし、新たな親密圏を紡ぎなおしたり、居場所を作ったりと別の方法で多くの人が暮らしやすい社会を実現できるのかもしれません。

皆さんの考える“暮らしやすい社会”、“共生社会”はどんな社会ですか?

(本文中の内容は私個人の見解であり、所属する組織の見解とは一切関係ございません)

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