「民間企業と福祉 vol.2 ~会社員の福祉への参加~」
こんにちは。
本日は、社会人の福祉への参加の道をつくれないかということをお話したいと思います。
私は、ボランティアとして現在NPOに関わっています。社会人がNPOなど通じて福祉活動に参加する手段(就職を除く)としては、私のような無償のボランティア、プロボノと呼ばれる専門的なスキルをいかした奉仕活動などがあると思います。
プロボノとは、もともとはアメリカやイギリスで弁護士が社会貢献活動を行うことから始まったものです。
日本では、IT企業やベンチャー企業などでプロボノ活動を社員が行うことを奨励する企業もあり、副業・兼業の解禁などで注目が集まっています。
社会人とNPO法人をマッチングする事業を行う認定NPO法人サービスグラントでは4800名の社会人が登録されています。
しかし、日本の会社員の多くがいきなりプロボノをできるわけではありません。福祉系のNPOなどが求めているスキルとマッチングすのか、きちんと固定でコミットできるのかなど様々な問題が生じます。
まずは、広い入り口としてボランティアなどからスタートすることが現実的ではないでしょうか。
実は2年前に経済産業省が面白い検討をしております。
「ボランティアを活用した共助社会の構築に向けた研究会」という研究会で企業の従業員によるボランティアの広がりの可能性を検討しています。
(https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/20180309001.html)
詳細は議事録を読んでいただければと思いますが、
経済産業省が主催なので、社会貢献活動が企業価値向上についてどのような影響を与えるのか、従業員の人材育成に資するのかという観点でスタートしています。
近年は東京2020オリンピック・パラリンピックもあり、それに付随した啓発イベント、運営のボランティアや、オリパラ以外にも地域の清掃活動への参加を従業員へ奨励する企業が増えているかと思います。(こういった、企業が従業員を動員・仲介してボランティア活動を行うことをこの研究会では企業ボランティアと呼んでいます)
日本の会社員は長らく職場と家庭の行き来を中心としてそれ以外のコミュニティへ参加は消極的でした(個人的な実感として、現在でもそうだと思われます)。
2年ほど前から急激に働き方改革が進み、私の会社でも残業規制や休暇取得がかなり厳しく言われるようになりました。世の中のニュースなど見ていると「フラリーマン」と呼ばれるように早く帰ってもすることがない会社員と揶揄される人たちもいます。
持て余している余暇を社会貢献活動へあてることで会社員の居場所づくりと、利用者の居場所づくりに資することができればいいなと思います。
いきなりそうした人へボランティアへ参加はハードルが高いので、企業がある程度“企業ボランティア”として機会をつくることが参加の壁を低くするのではないでしょうか。
企業の抱えている人材が人手不足である福祉業界にボランティアという限定的な形とはいえ供給されることになれば、一部の人が担っていたケア・福祉の大きな転換を迎えるのではないでしょうか。
また、ボランティアに参加することで、他人への思いやりなど寛容な心が多くの人に広がることも期待できます。
福祉系の活動を行っているNPO法人など各団体も現在の好機をとらえて人手を増やすチャンスかと思います。
(本文中の内容は私個人の見解であり、所属する組織の見解とは一切関係ございません)
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