見出し画像

2期目を迎えるにあたり"やるべき事とやりたい事(やってみたい)"のバランスを考える

皆さんこんにちは。菊地です。

前回は株式会社wearcoordを立ち上げる2021年7月21日の手前に記事を書き、そこから1年が経ち会社も無事1期目を乗り切って2期目を迎えるタイミングで1期目の反省について振り返ろうと思います。

またお題に取り上げました、"やるべき事 / やりたい事"という、会社員時代でも非常に良く耳にしていた、おそらく見ていただいている方も聞いたことがあるであろう言葉について、会社員の頃と違って働く場所も時間も制限がなくなった状態の今の環境を踏まえつつ振り返りとして書いていこうと思います。

おそらく見ていただいている方は心のどこかで何かやりたい、いずれ独立してみたい、起業ってどんな感じなん?みたいな気持ちがある人が多いかと思います。なので、

「実はこんなことがしたいんだよね」
「今の仕事があまりしっくり来てない」
「事業アイデアがあって何かしたい / 起業したい」
「会社に縛られる時間が嫌だ」

みたいなことを考えている方向けに、
1. 起業してから1期目を通して感じたこと
2. 反省
3. 独立してよかったなあと思うこと
4. 資金調達?融資?どうやって事業を存続させて会社を大きくさせる?

を書いてみたので一つのご参考になれば幸いです。


1. 起業して感じたこと
「慣れてみると会社員の頃と本質は変わらない」

自分が価値を提供することで対価をもらうというのが仕事かと思いますが独立してもそれは一緒です。

単純に、「自分で仕事を作ったりもらったりしてこなければ自分の給料が発生しない」だけです。独立するときによくリスクが高い、と言われる所以はここかと思っていて、ほとんどの会社員の人は独立してもパッと仕事がもらえるわけでは無いと思います。事実自分もそうでしたしここはいつまでも一切手を抜かずきちっとやりたいポイントです。

あとは自分で、

「やりたい」「面白そう」「世の中が求めているのでは?」

と思ったことをすぐ自分の権限で検証して実行にうつしていけることです。
マイクロマネジメントをされるのが本当に苦手だった私にはこの環境がどハマりしていて、これだけでも独立してよかった(会社員と違う景色が見られてよかった)と思っているポイントです。
ただこれが世の中が本当に必要としているのかどうかを対して検証もせずに突っ走り、収益も生まないサービスを作ってしまったのが1期目の大きな反省です。規模が小さい今のうちに経験できてよかった(ポジティブ)。


2. 反省
「やってみたいものを形にしてみたテニスウェア試着のtoCアプリ」

この「反省」パートの結論ですが、
・独立を考えるなら会社員程度の収入が毎月確保できている状態
・もしくは半年ほど無収入の状態でトライしても生きていける貯蓄がある状態

上記のいずれかが確保できていて独立をすることをオススメします。

ずっと持っていたアイデアを実現させて世の中に提供しようという一心で立ち上げたこの事業は、toCいわゆる消費者向けのサービスとしては、試着ニーズもなくユーザージャーニーの考え方も適当、また市場規模も圧倒的に小さいということでで収益が全く生まれませんでした。
試着という体験だけを切り取ったサービスだと、ウェアを買うという行動に合わせてみたらなんとも不自然なのは今になるとよく分かるんですが、、
ちゃんと刺さる形での提供方法を考えれば今後別の形でやると思います。

なんだかんだ自分のルーツはテニスウェアのオシャレにある🎾🎾


・できれば会社員のうちにやっておきたいこと

ニーズの把握・検証の仕方はサービスによって違うと思いますので、もし何かやりたいと考えている人は会社員のうちにここをめちゃくちゃやっておくべきだと思います。
刺さるかどうかも定かでないサービスで独立して収益が結局生まれなかったらすぐに会社ごとポシャってしまうでしょうし自分もショックが大きいと思います。
ニーズがあるかもわからないサービスを無収入で続けていると、いつ自分にお金が入ってくるかも分かりませんし精神衛生上良く無いです。
そんな状態で「世の中のためにー!!!」なんて熱量だけで突っ走れなくなると思います。


独立をする際の熱量も大事ですが、世の中にマッチする(PMF)かどうか、という視点は、サービスを頭で考えているだけの会社員、実際に独立した経営者や個人事業主でも誰でも常に考えるべき視点だと思います。
自戒を込めて独立時のnoteも貼っておきますのでよかったら読んでください ↓


私はジーズアカデミーというプログラミングを使って世の中を変えると言うコンセプトの学校において半年間通ってから独立をしましたが、何かしらのプロダクトを作成するために会社員の肩書きを捨てて収入手段が離職手当(期間限定)以外なんも無い状態で飛び込んだこともあり、

「卒業後の生活も考えると何かしらプロダクトをリリースしてそれが収益を作り、生活資金も確保する状態にしないと、、、」

という焦りもある中で正直、市場分析やユーザー行動、ニーズをひたすら調査分析しようということを一切やってきませんでした。
作りたいサービス、コンセプトを友人に話し、

・「何それめっちゃ面白そうだね!」
・「リリースされたら絶対使うよ!」

こう言ってくれる身の回りの人は非常に多かったのですが、それと事業継続できる収益が継続的に見込めるほど需要があるのか、は完全に別問題です。まして友達に意見聞かれたら関係性もあるので良い返事をしてしまいがちですよね。

事業を推進する立場の人間は
・このターゲットに対して新機能のニーズがあるのか
・そこから得られる収益は十分か = 市場規模は十分か
・他社に気軽に真似されないハードル、競合優位性はあるか

を考える必要があります。PMやディレクション業務を行う人たちは、そのサービスが描く世界やユーザーニーズ、なぜそれをやるのか等を整理してエンジニア含め様々な関係者と並走していく必要がありますが、市場から求められていてユーザーもそのサービスを望んでいる、と言う根本があいまいだとチームを引っ張っていくこともできません。


・反省しながら独立して身につけられたスキル

自分の強みは何かを考える と、

「0 → 1にする実行力」
「フットワークの軽さ」
「関係構築力」

であり、まだまだおつきあいさせていただいている大先輩方と比べたら本当に卵より何世代も前のペーペーですが、そこにプログラミング学校の半年と1期目を経てwebサービスの設計や開発に関する基本的な仕組みの理解が掛け合わさり、こんなスキルを体得できました。

・webサービスやアプリのプロダクトマネジメント力(PM)
「webサービスやアプリを作る際にどんなデータをどういうデータベース設計でどう取得し、それをビジネスサイドでどう活用するか」を0 → 1で立ち上げ関係者を巻き込み形にして世に出す力

やはり開発者側の景色を完全に理解できなくとも勘所を確実に押さえて一緒にコミュニケーションをとってプロジェクトを進めていくのは非常に大事だなと改めて実感しました。

・会社員でも実践しておきたかった「自分ブランディング」
今までは見た目や性格に引っ張られて何かあるたびに必ずといっていいほど営業ポジションに配属されてきました。今考えると当たり前ですが、どんな仕事でも営業が一番お客さんや予算を引っ張ってきてくれるので大体の新卒社会人は営業になります。でもそれが自分に合って人並み以上にバリューを発揮できるかどうかは別問題です。

そうした他者によるステレオタイプで仕事させられるのではなく、強みと求められているものを掛け合わせ能動的に仕事をさせていただいているので今までで一番仕事もしやすくイキイキ楽しいです。楽しくないわけがない。これは20代で大手企業の肩書き・今までのキャリア、収入を一度完全に捨ててリスクを背負ってでも踏み込んでよかったと心から思います。

今思うと、大して得意でも無いのに他者から「営業得意なんでしょ?」と思われまくっているこういう境遇も、結局は「自分のブランディングミス」が招いたことなのでいい経験になっています。


4. 「資金調達?融資?」どうやって事業を存続させて会社を大きくさせるか

画像1

・必ずしも一つの自社事業・サービスだけで走る必要はない

会社を運営していくためには継続的な収益が必要です。人件費、法人税、事業への投資など様々なことにお金がかかります。
ただ1期目の私は、テニスウェアのサービスだけにこだわりこうした収益活動というのをほぼないがしろにしてしまっていました。今思えばだいぶ無謀なことをしていました。1期目の終わりを迎える前に多くの会社が倒産していく、というのも多分この辺りのマインドセットがなく、ただ社長と名乗りたいけど自分で取ってこれる仕事がない!みたいな人がそうなるのかな、と感じます。

ではどうすればいいのかというと、
「収益性のある事業を別事業として用意する」です。幸い弊社は私が受託の案件を探し、共同経営している松永くんがエンジニアとして超絶優秀で開発を実際に行ってくれており収益性ある事業をやりつつ存続ができています。ただバランスが重要で、自社で実現したい世界を別軸で取り組みつつこっちもやる、という両軸で動くイメージです(受託が増えすぎてしまうと起業した意味がない)。

世の中のあの企業もこの企業も、サービスが有名だとしても消費者、一般ユーザーの知らないところで企業向けの別ビジネスを広く展開していたり、マーケコンサルやweb広告運用、受託開発などで収益を作りながら自社サービスを作っている会社の方がむしろ世の中では大多数です。

やるべきこと = 会社が存続できるよう収益が確保できる事業
→ その結果やりたいこと(自分が事業を立ち上げてまで世の中に提供したいと考えたサービスなど)に時間とお金を投資できる


・融資や資金調達を検討する場合

画像2

独立すると必ず「融資は受けるの?」「資金調達とかするの?」ってめちゃくちゃ聞かれるんですが、株式会社weacoordの方針としては、

「メリデメ考えた上で必要がないからしない」だけです。自社事業でお金を稼いで回せてるのに借金や他人の資金を受ける必要はありません。ここは青汁王子の三崎さんに完全同意です。

融資は結論借金なので必要がなければやる必要もないでしょう。

また資金調達とは簡単にいうとこんな話です ↓
「自分たちの株式を他人にあげて資金を手に入れる。その代わり資金をくれた人たちには「IPO(上場)かバイアウト(他社に買収される)のどちらかで株式の価値を買った時より爆上げしてもらって、買った時の金額よりもめちゃくちゃ価値を上げてお金を返してね😇」という形で利益を得る」

株式取引をしたことある方はイメージがつきやすいと思いますが、自社株が500円だとして投資家の人が1000株(= 500,000円)買ってくれ(これが資金調達)、上場かバイアウト(EXIT)することで価値が500円 → 5000円 になったら5,000,000円、買った時から4,500,000円が投資家の利益になる。こういう形です。

要するに自分の身を切り売って運用資金を手に入れます。また株式の割合によりますがその人たちが経営方針に口を出してくるパターンもあります。
というわけで資金調達は爆速でサービスを成長させてすぐ会社売ってやる!上場だ!みたいなことを目指している場合は資金調達は自動車のガソリンみたいにスピードアップができる素晴らしい手段です。

ですが、このご時世で起業する人全員がこういう考え方をしているわけでは無いです。私みたいに自分の実現したい世界観を実現させつつついてきてくれる社員に健康状態の高いキャリア・人生を作ってもらえるようにしたい、という考え方の人もいます。一口に経営者と言っても千差万別でしょう。


・起業したからといって資金調達、融資を受けなければいけない!
・一つのサービス・事業だけで生きていく or 倒産

なんて考える必要は一切ありませんし、もしそんなことを言う人がいたらおそらく経営したことがない人です。今はクラウドファンディングなどビジョンに共感していただいた多数の人に資金を提供してもらうなど様々な形がありますのでそういうものも手段の一つだと思います。
1個の事業で生きていけないことは別に失敗でもなんでもありません。企業運営には色んな取り組み方があるというだけの話です。

もちろん今は必要ないと思っていますが、ある程度現在の事業が整備できて爆速で何かをやりたい、やらねばというタイミングが来たら私たちも資金調達を選択として考えるかもしれません。


繰り返しになりますが、起業したからといって必ずしも資金調達、融資が必要なわけではないという話です。ちゃんと自分が何をしたいのか、どこを目指すのか、その上でその選択は本当に必要かを見極めた上で実行しようという話です。



最後に

1期目は収益が足りなくなれば必要に応じて受託案件を、みたいな形で行き当たりばったりなことをやっており、パートナーにも都度だいぶ迷惑をかけたと反省しているので、ここをもっと組織・チームとして取り組んでいくために作戦や意図を持って戦略的に取り組んでいくつもりです。

あらかじめ自社の事業、方針としてそういった受託も含めたうちとしての価値の提供を行っていくことにして、その中で現在進めているブランド様との実証実験(PoC) = 自社で取り組んでいきたい事業をターゲットユーザーのニーズを確認しながら押し進めサービスを世の中に出していく、こんなスタンスでいきます。

何かを現在進行形で作っている人、新規事業の始め方、起業に対して不安がある人、一歩踏み出そうとしている人に少しでも参考になれば幸いです。また考えを整理したくなったタイミングで色々と書いていきたいと思います。


それではまたお会いしましょう。ここまで見ていただきありがとうございました!

スポーツウェア(テニスウェア中心)特化メディア[wearcoordlab]運営中。 レビューして欲しいテニスウェアやブランド、テニスシューズそのほかギアに関する執筆のご相談は公式TwitterのDMもしくはmasa-kikuchi@wearcoord.comにて受付中!。