昔の傷

こんにちは、俺です。

当時地場のスナックを10軒くらいですかね。飲み歩いていたの。
夜になって帰ると帰り道のネオンに惹かれるんですよ。
で、財布確認して5000円持ってればレッツゴー!って感じです。
 
でね。当時、スナックがほぼ全て終わった後に空いている中華料理屋があって、そこに各店の店員やマスター、チーフなんかが仕事帰りで集まるんです。

店に入ると、お、俺くんお疲れー!ってみんな色んな酒飲みながら迎えてくれるんですよね。

あ、この時プログラマーやってたんですけど、ホント仕事が嫌になった時があって、何か別の職業に就きたいな~って思ったんです。
会社も辞めちゃって、次どうしようかな~って思っていたんです。

当時実家暮らしだったので、母親からも「あんた遊んでないで何か仕事したら?」って言われたんですよね。
じゃぁとりあえず水商売するわ!!ってなってね。父親に俺水商売やるわ!って言ったらめちゃくちゃ怒られましたね。
コンピューター習わしたのに何で水商売なんだ!?って言われて・・・確かにねー。
でもね。ちょっとの間コンピューター見たくなかったんですよ。辛いし帰れないし、まず仕事が面白くないって思っちゃったんです。
自分で料理もできたし、酒も好きだし、ショットバーのバーテンダーとか憧れてたしで、とりあえずちょっとやるわってことで水商売の仕事を探していたんですよね。

で、行きつけのスナックに行って、そこのチーフに水商売やりたいんだけどどっか無いかな~??って相談したら、一旦は止められたんですけど、どうしてもやりたいって話をしたらひとしきり考えて後に

「そういえば駅前のクラブがチーフ募集してたわよ」って話になり、その場で電話掛けてくれて、次の日営業時間中に面接に行くことになりました。

ママ:えーと、俺くんは焼きそば焼ける??
俺 :はい、一応それなりに料理できると思います。
ママ:えーと、じゃぁ合格ね。今日から来れる??
俺 :え!?は、はいっ!

という3分で面接終わりまして、その日から就業することになりましたww

ママから紹介してくれたチーフには連絡してくれるってことになりまして、急いで家に帰って身支度整えてから、店に向かいました。

今日から働く俺くんです。男は俺くんしかいないから、チーフってことでよろしくね。

・・・宜しくお願いします。

という感じでチーフになってしまいました・・・w

店は駅から5分の一等地にあるクラブ(地方のクラブなので、内装豪華な小奇麗なスナックって感じです)

女性は、ママ、チーママ、キャストが日替わりで6名。
カウンター8席のボックス12席っていう小箱のサパースナックでした。

ただ、スナックと呼ぶにはおこがましい程の高級ボトル(ブランデー、ウィスキー類)が所狭しとガラスケースに陳列されています。それもこれ空いているので誰かのボトルなのか、店のボトルなのか・・・。

ルイ13世、ロイヤルサルート、カミュブック、バカラグラスと今ではホスト界隈でないと見れないような高級酒のオンパレードでした。

一通りのオペレーションとチャームや1品の盛り付けを教えてもらったら、あとはできるでしょ?って言われて、そのままバックルームでグラス洗ったり皿洗ったりでしたよ。
いやぁーなんか簡単に決まるもんだなーって思っていると、開店まもなくお客様の来客です。

ママ、チーママ共に相手しているのは全てどこかの社長ですわw
たまにお忍びで自衛隊の偉い人(制服組)とかMR(薬事プロパー)なんかが医者と来ていました。
ママがこの周辺の地主の娘のようで、地方の有力者みたいなのが夜な夜な集まる高級サパーだったようです・・・。

なので、色々と絡まれましたよ・・・とほほ

お通しをちょっとオシャレに作ってみた(新竹の子を梅と出汁でさっぱり作ってみた)ら、偏屈なお客さんだったんですけど

「お前よ、竹の子ってのは鰹と醤油で煮るもんなんだよ。そんなのも知らねぇのか!?」

(あぁ?知ってんよ。そんな貧乏臭ぇチャーム出したくないから原価掛けて気を使ったんだろうが!!糞が!!)

大根を短冊に切って中華ドレッシング(手作り)で新若芽とさっぱり食べてもらおうと思ったら

「おいっ!、こんな甘いの食えねぇわ。作り直してこいっ!!」等々

もうね。おめえの嫁じゃねぇんだから、黙って食べるか、そんな気に入らないなら食べずに残せよと・・・。老人の歳だし、お客だし、我がままというか今でいう多様性や理解が無いしで・・・。

何度バックルームで、あのクソ親父が!、お子様舌の癖に今度チーズ切っただけで出してやるわ!!って吠えたことか・・・。
それ毎にチーママだったり、他の女の子だったりに励まされてね・・・ほんと申し訳ない。

そういう客がいれば、徳が高い人もいて。チーフが来る前までは乾き物しか出ない(出せない)店だったのに、色々と作ってくれるのでホント助かっていると誉めてもらえたりね。

周りのお店からも遊びに来てくれて、シャンパン入れてくれたりして。
ほんと嬉しかったな~。そこからは水商売の男として、色んな店に飲み行っても〇〇のチーフって言われるようになりました。

あとビックリしたのが、小、中学校の同級生の女の子が働いていたんですわ・・・(あれ?俺くんじゃない?って言われた時、マジでビックリしたよww)若くて可愛いのもあってチーママからいびられてねー。
辞めちゃいました(まぁあれはしょうがない。年増のヤッカミって水商売ではデフォだからね)
俺も生理用品買いに行かされたり酷かったもんなーw

ある時、ケミカルプラントやってた社長が営業時間前に飲みに来て、俺しかいないし店のセット中だけどって話したんだけど、俺はチーフに会いに来たって言ってくれてね。飲んで楽しんでくれてました。そしたら数日後の夜に飲んでグダグダになったチーママに店終わりに絡まれましてね・・・。

チーママ:チーフはさ~。この店チーフで持っていると思ってるんじゃねぇのって!
俺   :そんな訳ないでしょ。ここクラブなんだし、売り物は女の人じゃない。
チーママ:この前〇〇社長だって、チーフが居ればいいってあたし言われたしさ、どうせこんなんだから他の店出禁になるし、全然女なんかで売ってねぇし!!
俺   :てか、売れよっ!w てか出禁になった店どこだよw(後で謝りに行かなきゃならないし・・・)
俺   :いずれにしてもお前酔い過ぎだから帰れよ。こっちは片づけあるんだからよ。
チーママ:言われなくたって帰るわよっ!バーカ!!
(ちっ・・・酒癖悪いわー)

後日談:その後ホストに行って散々泣き散らして憂さ晴らしたようですわ(社長ごめんよ)。まぁ女としての自分より俺を客が取った事がよほど悔しかったんでしょうね。
その日以来、店ではそこまで酔わないようになってくれました(俺と飲む時だけは毎回ベロベロでしたけどね・・・)
あと、俺の行っている店では大人しくしとけと(知ってる店で出禁になっておったww)

色んなマスターやママもチャームのレシピを教えてくれて(基本営業日全て毎日違うものを作っていたんですよ)、簡単にできる色んな酒の肴のレシピを教えてもらいました。あと、野菜とか食材の歩留まり上げる保存方法とかですね。

今や主婦のブロガーとか家事やる芸人とかが、節約術の一部として野菜の日持ちのさせ方とかレシピ出してますけど、あれほとんど水商売で使われている技法なんですよ。
特にスナックとかは、売上良い訳じゃないので欠損率上げるとその分経費が上がりますからね。なのでニンジン1本を1週間鮮度高く持たせるか?とかって凄い命題な訳です(家庭料理と違って、お金取る以上は食品の品質も金額に入っていますからね)。

こんな充実した水商売の日々が過ぎて行く中で、一つ事件が起きました。

うちの年子の弟が水商売を始めたっていうんですよ。
それも俺が常連で行ってるホストクラブに・・・あちゃーw

次の日には飲み屋周辺に噂が回っておりました。チーフの弟がホストやっているって・・・orz

社長からは一応聞いていたので、よろしくお願いしますってお願いしておきましたが、まぁ大丈夫でしょw

で、その店、うちのチーママやキャスト達も行く店でね。もうね、次の日にはうちの店でもチーフの弟さん格好いいねとか、顔似てるねとか・・・恥ずかしいな(てか、ちゃんと接客出来てたんかね?)とか、凄い話題でしたわ。

ただ、場末の町だけありまして、不良の順位制みたいなのがある訳ですよ。

その社長と良くしてくれていた焼き鳥屋のオヤジが2トップで、その下にずーっと色んな人が居て、その末端近くにうちの弟が居たわけですww

もうね。いい年こいて今で言うマイルドヤンキーとかやってて、半グレだし、定職就かないしで・・・(って俺もかwww)

ある日、その弟と一緒に店あがってから飯でも食うかってことになって、いつもの中華屋に行ったんですよ。

おはようございまーす。俺くんおつかれー。おー、お疲れ様です。
今日店どうだった??まぁボチボチくらいでしたよ。そっちはどうでした??まぁそれほど忙しくなかったかな~

店に入り際はこんな感じの会話になるんですよね。うちの弟からすれば完全アウェーっすよ。オッサン達でそれも名だたる店のマスターやチーフ、ママ達が飲んでいるんですからねw

テーブルが空いていたので弟座らせて、何飲む?って聞いてビールって言われたので、つまみとビールとビアタン2つ頼んで飲んでたんですよね。

そしたらカウンターに座っていた焼き鳥屋のマスターが俺くんお疲れ!ってビール瓶差し出されて、ビール頂いちゃいました。

そしたらマスターが俺に向かって

マスター:お?お疲れ俺くん、彼誰??
俺   :えぇ、これうちの弟なんですよ。宜しくお願いします。
マスター:ふーん。あ、そうなの。俺くんまぁ飲んで飲んでw
弟   :は、はじめまして。
俺   :(何かすげー勢いでビール継がれている)あ~、すみません(泡あふれるw)。

終始うちの弟が緊張しており、何じゃこいつ?いつもと違うじゃんって思っていたんですよね。

俺がホストの社長とも俺はこんな感じで話してたんですよね。

社長:俺ちゃん、弟頑張っているよ。
俺 :ご迷惑お掛けしてませんか?宜しくお願いします。
社長:〇〇(弟の下の名前)、できるよな!?
弟 :大丈夫っす。
社長:ね。俺ちゃん、大丈夫でしょ?ww

弟はほとんど無言で先に帰りましてね。そのまま俺は中華屋で盛り上がっていたんですけど翌朝・・・。

弟:あのさ、あの人(焼き鳥屋のマスター)知っている?
俺:おお、いつもお世話になっている気の良い飲んだくれオッサンだよw
弟:違うんだよ。あの人、凄い人なんだよ(過去の栄光(傷)の話)
俺:お。そうなの?まぁ触りは知っているけど今は焼き鳥屋のオヤジじゃん。
弟:違うんだよ。あの人は凄いんだよ・・・。

それ以来、弟は俺とは飲みに行かなくなりました。

凄く飲みずらいとのことでした(順位制の問題と俺の立ち位置を認めたくないという2点においてw)

みんなそういう傷を抱えて必死で生きておるのよ。弟よ。

あと、学生時代の不良としてはお前の方が実績あるが、社会の不良順位制において俺の方が恐ろしく上であったことを誇りに持つがよいわww

なんか色々と弟を傷つけてしまった思い出ですわ・・・。

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