安倍総理辞任のインパクト
ドル円現在105.44〜105.47
レンジ予想104.70〜106.40
ゲスト三菱UFJモルガン・スタンレー証券 植野大作さん
先週は米FRBの平均物価目標導入後にアメリカの長期金利が上昇し、一時106.90まで円安が進んだが週末に安倍総理が辞任を表明するとアベノミクスの終了観測が強まって105.20付近まで一時円高に触れた。ただ、今週はこれらのイベントが経済や政策に与える影響を冷静に見つめ直す平常心を回復、徐々に落ち着きを取り戻すと予想する。
キャ)注目ポイントの「インパクト」を伺いたいが、まず先週、一気に雰囲気が変わって円高に動いた。105円を割る様な円高のリスクはどの程度見ているか?
一時的にはあると思う。安倍総理の辞任は、政治的にはインパクトが大きいが、日本経済には限定的だ。また、現在日本の物価はアメリカ以上に停滞していて日銀も物価を目標2%以上に上振れさせる政策にコミットしている為、安倍総理が退陣しても日銀の黒田総裁が顕在ならば為替の方向や水準を決める最も大切な要素である日米金利差は数年以上動きそうにない。これまで同様極端な円高は進まず105円割れがあっても滞空時間は短いと思う。
キャ)予想レンジで104円台見ているが滞空時間は短いと言う事でよいか?
そうだ。
キャ)そんな中、安倍総理の退陣後黒田総裁が辞任するのでは無いかという声が上がっているが、その点はどうか?
一部の海外投機筋の間でその様な憶測があるのは事実だ。ただ、政府から独立した金融政策を預かる立場の日銀トップがその様な理由で退任するのはまず有り得ないと思う。因みに黒田総裁の日銀在任任期は2023年4月まで残っていて、来年9月には歴代1位になる見込みだ。ファンダメンタルズと関係の無い投機的な思惑から日本の株式市場や為替市場を守る意味でも日銀総裁がこの様な観測を明確に否定する必要があると思う。