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”たった3回の受験でTOEIC L&Rで900点をとった攻略法”Chapter 8:PART7の攻略

 いつもありがとうございます。TOEICアドバイザーのまさるです。

 いよいよ、リーディングパートの最終問題であるPART7についてお話しします。今回は6000文字ぐらいあるので、サンドウィッチでもつまみながらご覧ください。

 では、本編に参ります。

 このPART7はTOEIC L&Rにおいて、最大の問題数を誇るパートです。広告やウェブサイト、新聞やEメールやLINEに似たチャットアプリなどを読み、設問に解答するパートです。言っちゃなんですが、つまらない文書を大量に読まされます。受験生が100人いれば200人が「苦手」と答えるであろうパートです(もちろん僕も苦手です)。

 はじめは読む文書が1つだけですが、後半になれば2つの文書もとに解答する「ダブルパッセージ」、3つの文書をもとに解答する「トリプルパッセージ」に挑戦することになります。ちなみにですが、1つの文書をもとに解答するものは「シングルパッセージ」と呼びます。

 シングルパッセージは、1つの文書につき2〜4問、ダブルは5問固定、トリプルも5問固定です。この問題の塊を「セット」と呼ぶこともあります。シングルパッセージは10セット、ダブルパッセージは2セット、トリプルパッセージは3セット出題されます。

 このパートの何が難しいのか分析してみると、このような感じになります。

1:書いてあることがよくわからない。
2:読む文章量が多すぎて、時間内に読み切れない。
3:文書の内容は理解できるけど、問題が解けない。
4:そもそも解答する時間が足りない。

 1の対策については、まずは「語彙力」を鍛えましょう。覚えるほどに文章は確実に読みやすくなります。単語帳を使っての暗記は、単調でつまらないと感じるかもしれませんが、「読める」「分かる」という状態を作り出すのに必須です。めげずに頑張りましょう。

 文章の多くの単語が読めない状態では、解答する以前の問題です。読めない=分からない=解けない、ということです。ただし、「出題される単語すべて知っている状態にしようと」いうのは、無理がありますので、市販の単語帳の「8割か9割」覚えていればOKとしてください。

 「どうせなら、単語帳ではなく解説に載ってる語注で覚えればいいのでは?」と思われるかもしれませんが、個人的には語注は「復習」に使うべきだと考えます。もう一度繰り返しになりますが、単語の暗記は「短い時間」で「繰り返し何度も」「覚えて思い出す」作業を続ける、ということです。そのために、単語帳という形式はとても使いやすく作られています。

 解説に載ってる語注は、覚えるために書かれているのではなく、覚えているかを確認するために載せてくれていると捉えるほうがよいでしょう。無理やりやれば、単語帳の代わりに使えなくもないですので、「どうしても単語帳は……」という場合は、語注を覚えてください。ただし、発音記号が載っていないので、自力で読み方を調べる必要があることをご承知おきください。

 2の対策は、1と似ています。単語を思い出すのに時間がかかっている場合がこれに当てはまります。「あの、ほら、え〜っと」と思い出しながら読むとめちゃくちゃ時間がかかります。

 ちょっと抽象的な話になって恐縮なのですが、英語は「配置の言語」といわれます。語順がすべて、ということです。日本語のように順番を並びかえるということができない言語です。語順を無視すると意味不明になってしまうのです。われわれ日本人は、順番を気にしない代わりに「に」「を」「は」「が」「の」といった助詞を駆使して相手に「誰が何をどうしたのか」を伝えます。

 つまり、文章を前から淡々と意味を理解していく、ということです。そして、名詞と動詞を意識しながら読んでいきます。形容詞や副詞は「修飾語」、つまり補足説明にすぎません。「誰がどうした」がわかれば、その文はおおよそ理解できます。完璧に訳せる、というよりかは「ある程度わかる」を積み重ねて全体を理解する、という取り組み方をします。ここで1つ教材をご紹介します。

◆TOEIC(R)L&Rテスト Part 7を全部読んでスコアを稼ぐ本 (岩重理香  (著) アルク(出版社)):この教材では「スラッシュリーディング」という訓練を行います。この訓練は、文章を意味の塊ごとに区切って(スラッシュして)、前から順に読んでいくというものです。例えば、こんな文章があったとします。

 On Monday,Salinas Products, a large food distributor based in Mexico City,announced its plans to acquire the Pablo’s restaurant chain. 
(この文章は、TOEIC公式サイトで公開されているサンプル問題Questions 149-151より引用してます)

 これを、On Monday,/Salinas Products,/ a large food distributor /based in Mexico City,/announced its plans/ to acquire/ the Pablo’s restaurant chain.

 このように区切って、理解してみます。前から訳してみると、On Monday,=月曜日に Salinas Products,=固有名詞なのでこのまま理解します a large food distributor=食品を流通させてる組織 based in Mexico City,=メキシコシティを本拠地とする announced its plans=自身の計画を発表した to acquire=買収すること  the Pablo’s restaurant chain=固有名詞なのでこのまま

 要は「月曜日に、Salinas Products(食品を流通させてる組織でメキシコシティを本拠地とする)が、自身の計画を発表した。買収することthe Pablo’s restaurant chainを」ということです。

 荒っぽい訳ですが、大体意味は理解できましたよね。こういった訓練を行うと、文章を早く理解できます。

 先ほどの例のように、きれいに訳す必要はありません。あんな荒い訳でも、理解はできてしまうのです。頭から順に読んで、まとまりで理解する、これを貫いていけば、PART7で大きく落とすことは少なくなるはずです。

 ちなみに、/を入れる切れ目については、前置詞、カンマ、接続詞、関係代名詞、分詞、このあたりが目安になります。文章を区切るのが目的ではなく、理解することが目的ですので、あまり深く考え込まなくてよいです。なお、TOEICでは問題用紙への書き込みが禁止されているので、問題文にシャーペンで/を入れることができません。

 3(文書の内容は理解できたが、肝心の問題が解けない)の対策については、ある程度数をこなして正解のパターンを把握することになります。一言でいえば「慣れましょう」ということです。

 難しい問題では、たった1つの単語を見落とすだけで、正解が選べないことがあるのです。「このイベントは毎年開催される」という選択肢があったとして、この正誤判定には、イベントが定期的に開催されているかの記述を探すことになります。文書のどこかに、「annual event(年1回の)」という記述があれば正解となります。なんなら、文書のタイトルに「The 100th Annual Meeting」と書いてあれば、これが正解の根拠になります。

 そのほかの難しい設問は、例えば、こんな問があったとします。

 What can be inferred about the Salinas Products?

 inferredは「推測される」という意味です。つまり、「Salinas Productsについて、推測されることは何か」という問題です。推測されるということは、問題文には直接書かれていないが、そう思われるものを選ばせる問題なので、「これだ!」と力強く選びにくいのです。「そうとは言えない」と選択肢を消去していく解答スタンスになるでしょう。

 よって、いろんな問題に取り組むことで、「この記述が正解の根拠になるんだ」という経験を積むことで、慣れていくことになります。

 満点を狙わないのであれば、正解が選べない問題はさっさと諦めて次へ移ってください。TOEICはある種「割り切る胆力」が試されるテストです。なんというか英語とか関係ないやんとは思います。が、一つの問題にこだわって時間を大量に消費するよりかは、ある程度のところで見切りをつけて、答えやすい問に取り組むほうがスコアが伸びると考えます。以前にお話した、「誰も解けない問題は没問」という考え方です。

 ここで、PART7の攻略法についてお話ししたいと思います。理想を言えば、文書の内容をすべて理解し記憶できれば良いのですが、実際にはそううまくいきません。そこで、文書に目を通す前に、設問に目を通します。選択肢は読まなくて結構です。まず、何が問われているのかを頭の片隅に留めつつ、文書を読んでいきます。

 こうすることで、理解に強弱をつけることができます。問われていない部分は軽く流し、問われている部分を意識して読む、ということです。先ほどの「Salinas Products」について、例えば、「本拠地はどこか?」と、問われていれば本拠地に関する記述を探しながら読んでいき、「based in Mexico City」が正解の根拠になります。また、「どの業界の会社か?」と、問われていれば事業に関する記述を探しながら読んでいき、「a large food distributor」が正解の根拠になります。問われてない内容は「ふ〜ん」ぐらいで流してしまってください。

 一応ですが、設問は文書の流れに沿って出題されています。要は、1つ目の問が、文書の最終段落のことを問うことはまず無いと思ってください。なので、1つ目の解答が終われば、2つ目の設問に目を通し文書に戻る、ということを続けていきます。

 この解答の仕方は、ダブルパッセージでもトリプルパッセージでも同じです。ダブルパッセージでは、だいたい最初の2問が1つ目の文書からの出題で、次の3問目と4問目が2つ目の文書からの出題で、最後の5問目が、2つ目の文書の内容をから答えを導き出す問題です。トリプルパッセージでも同じような感じです。大体4問目と5問目が、複数の文書をもとに正解を導き出す問題です。

 4(そもそも解答する時間が足りない)についての対策は、PART5・6に時間をかけすぎないことにつきます。PART7の54問を解答するには、55分ぐらい必要です。1問1分という感覚です。もし、PART7に取り組むときに、残り時間が55分を切っていたら、何問かは捨てることになります。

 とはいえ、ほとんどの方はすべての問題を解答できないと思います。狙うスコアにもよりますが、10問程度は捨てる前提で取り組んでよいと思います。基本的に「時間内に解けないテスト」という認識でよいでしょう。さて、どれを捨てるのか、ということですが、個人的には問題164番から175番あたりが狙い目?です。

 要は、シングルパッセージの終盤の問題を捨てましょう、ということです。理由は単純に「難しいから」です。1つの文書で4つの問題を解答するのですが、読む文書が1つだけなので、普通の難易度では正答率が上がりすぎてしまうため、ここぞとばかりに難問が待ち構えている、という作りです。

 ダブルパッセージやトリプルパッセージのほうが難しそうなイメージがありますが、超難問だらけ、というわけではありません。2つ3つの文書を読むだけでも大変なのに、問題を難しくすると誰も解けなくなります。なので、問題自体はそこまで難しいものではないのですが、単純に読む量が多いので苦戦する、という作りになっています。

 長くなったのでまとめると、重要なのは「語彙力」と「慣れ」と「解答時間の確保」です。

ここからは、僕が使っておススメできる教材についての紹介です。

◆TOEIC L&R TEST 初心者特急 パート7 (神崎 正哉 (著), Daniel Warriner  (著), TEX加藤 (著) 朝日新聞出版(出版社)):初心者向けの教材ということで、もちろん難易度は易しいのですが、この教材に取り組む目的は「正解の感覚を身に付けること」と「自信をつけること」です。

 特に「自信をつける」のが大事です。いきなりライオンの顔が目印の模試を解いたりしてはダメですよ。まずは、やればできる、という自信を付けてください。この問題集が自信をもって解けるようになれば、もしかすると目標とするスコアに手が届くかもしれません。

 負荷をかけようと思えば、高難易度の教材は色々あります。が、ただでさえ大変なパートなので、難しいものにはあまり手を出さなくてよいです。しんどすぎて多分嫌になりますというか僕はなりました。

◆1駅1題 TOEIC L&R TEST 読解特急 (神崎正哉 (著)、 TEX加藤  (著)、 Daniel Warriner  (著) 朝日新聞出版(出版社)):先述の教材の中級者向け版です。初心者向けではないので、そこそこ難しい問題が出たりもしますが、このレベルが解けるようになると、目標のスコアにぐっと近づくと思います。

◆TOEIC L & R TEST 読解特急5 ダブルパッセージ編 (神崎正哉 (著), TEX加藤  (著), Daniel Warriner  (著) 朝日新聞出版(出版社)):タイトル通り、ダブルパッセージの問題のみで構成されています。意外とありそうでない教材です。マルチパッセージ(2以上の文書問題)が苦手であれば、集中的に対策できるのでおすすめです。

◆TOEIC L&R TEST 読解特急6 トリプルパッセージ編 (神崎正哉 (著), TEX加藤  (著), Daniel Warriner  (著) 朝日新聞出版(出版社)):タイトル通り、トリプルパッセージの問題のみで構成されています。意外とありそうでない教材です(2回目)。読解特急をここまで取り組めば、ある程度PART7の苦手感は和らぐはずです。

 お疲れさまでした。次回は、僕がいつどのように学習していったのか、もうちょっと具体的にお話ししようと思います。

 このChapter以降は、文章量がぐっと減るはずなので、もうちょっと読みやすくなるかもしれません。

 では、また。

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