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ジグザグに抱いていた多くの疑問が素敵な音楽誌でほぼ解消された件

8月に謎のV系バンド「ジグザグ」の沼にハマったことを書かせてもらいましたが、あれから早2か月。皆さんお元気でしょうか。

CDも買って引き続きジグザグの音楽は楽しんでいるのですが、沼にハマりたての初心者ということで、まだまだ分からないことがたくさんです。ジグザグに対する疑問が頭に浮かんでは消え、浮かんでは消え。そんな日々を過ごしていました。

と、そんな疑問をかなり解消してくれた素敵な雑誌をゲットしました。

それが、『ROCK AND READ 091』です。

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「読むロックマガジン」というコピーの通り、ロックバンド(特にV系)の記事やインタビューがたくさん載っている雑誌ですね。巻頭特集はなんと『BUCK-TICK』ですよ、奥さん。

さて、この雑誌の後半(P206~)にあったジグザグのインタビュー記事「慈愚挫愚解体真書」から、私の疑問に答えてくれている一部を取り上げさせてもらいながら、ともにジグザグの魅力を再確認していきましょう。

抜粋しているのはほんの一部、引用の範囲内ですので予めご理解ください。

▼疑問① なぜRay℃やオトイロハから路線変更してしまったのか?

以前の記事でも書いたのですが、命様はジグザグの前にそれはそれはギラギラしたバンドを組んでいらっしゃいました。

「Ray℃」「オトイロハ」ですね。

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「Ray℃」の時はホストのようなギラギラ感があり、「オトイロハ」の時は乙女のようなキラキラ感がありました。動画を漁ってみると両方ともそれなりに人気があったように思うのですが、後にジグザグへと転向したわけですよね。

そこから一気に路線が変わった感じがします。なんといっても「-真天地開闢集団-ジグザグ」ですからね。では、何故こんな大幅な変更をしたのか。何か思うところがあったのでしょうか?

命様はこのように答えていました。

キラキラ系はうまくいかなかったですね。キラキラ系って特有の文化があるじゃないですか。それが私には合わなかった。(P208)

なるほど、「売れなかった」とか、「人気が出なかった」ではなくて、「文化が合わなかった」という回答。これは、命様の価値観が分かるひとつのポイントになるのではないでしょうか。

もちろん思ったより売れなかったこともあるでしょうが、それよりも「文化が合わない」ということを口にしているわけです。そこには、居心地の悪い環境に無理してとどまりたくないという意思が見えてきます。

▼疑問② そもそも『真天地開闢集団』ってどういうこと?

キラキラ系から路線を変えたバンドが「-真天地開闢集団-ジグザグ」というバンドになるわけですが、枕としてついている「真天地開闢集団」ってなんなのでしょうか? 開闢とか最初まったく読めなかったし。

そもそも「真天地」ってどこを指すのか。「新天地」ではなく「真天地」にした意味は? 「真天地を開闢する」ということに何か大きな意図が含まれているのでしょうか?

これはね、2つ理由があって、まずひとつは、初めて出るようなマイナーイベントとかのときにバンド名がツイッターとかネットに告知されるじゃないですか。その段階から、浮きたかったんです。(中略)「なんやねん、こいつら」っていう名前にしたかったんですよ。そういうほうが、逆におぼえてもらえるだろうなって思って。(P213)

なるほど!単語に何か意味があるわけではなく、目立ちたい一心だったというわけですね。確かに音楽イベントなどではバンド名がズラリと並んだりしますが、そこで「浮く」というのは「大勢の目に留まる」という意味で非常に重要かも知れませんよね。

これはバンドに限らず商品名とかサービス名でも同じことが言えるのではないでしょうか。ちなみに個人的に最近「おい、浮いてるな!」と感じた飲食店で「なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。」という蕎麦屋さんがありました。

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はい、そんなプチ情報はどうでもいいですね。

※「2つ目の理由」については割愛しますので気になる方は本誌をご覧くださいませ

▼疑問③ バンド名の『ジグザグ』には何か意味があるのか?

ではバンド名の本体である『ジグザグ』のほうには何か意図があるのでしょうか。さすがに『ジグザグ』は浮いたり目立ったりすることはないと思うのですが。

そこはマジで適当につけちゃったんですよ(笑)。(中略)うちの事務所の偉い方が、BzとかWANDSとか濁音のつくバンド名が好きで、濁音のバンド名だったらOKもらいやすいかなっていうのもあり、ジグザグにしました(笑)。(P213)

こっちはまさかの適当(笑)
まあでも、バンド名の由来って割とそんな感じが多いですよね。

あのゴールデンボンバーも、目の前にある缶コーヒーに書かれた「ゴールド」という文字から派生したそうですし、ONE OK ROCKもスタジオの集合時間だった「午後1時」をもとに付けられているといいますし。

それにしても事務所の偉い方が「WANDS」というバンド名が好きというのは「むふふ。そりゃそうですよね。だから声を掛けられたんですものね」などと思ってしまいましたね。

▼疑問④ ジグザグではなぜ顔を隠してしまったのか

ジグザグに転向してからの大きな違いの一つとして「顔を隠してしまった」という点があると思います。

それこそ命様がイケメンだということは多くの人が知っているわけですし、Ray℃やオトイロハでは実際にキラキラしていたわけですし、顔はひとつの武器になるのではないか?とも思うのですが、命様はこう答えていました。

なにをやっても、どんなライブをしようとも「キャー!カッコいいー!!」で終わっちゃうのが嫌だったんです。(中略)もともと音楽がやりたくて、音楽を仕事にしたくて、この世界に入ったわけなので、途中から「なにやってんだろう⁉」となってしまって、それで180度違う見た目になることにしたんです。(中略)白塗りで、顔を隠して、変な奴になれば、評価されるのは見た目じゃなくなるのかなって思ったんです。(P208-P209)

なるほど、先ほど「キラキラ系の文化が合わなかった」と答えていましたが、その一つに音楽を評価するのではなく見た目で評価されてしまうことが嫌だった、というのもあるのでしょうね。

芸能人の子供も「二世として見られるのではなく、実力で評価されたい」と悩んでいるとよく聞きますから、同じような話なのでしょうね。

あ、まさにこの雑誌『ROCK AND READ 091』の表紙を飾っているBUCK-TICKの櫻井さん。息子さんが実は芥川賞を受賞した遠野遥さんだったそうですね。遠野さんも自分の力で芥川賞を獲るまでは同じような感覚だったのではないでしょうか。

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と、話を戻しますが、つまるところ命様は音楽を究めて音楽で評価を受けたい職人さんのようなタイプであることが伺えます。ですから、ジグザグのファン……いや、参拝者に対して望んでいるのは「命様、かっこいい!」という声を掛けてくれるな、ということかもしれません。音楽を認めて欲しい、そこに注目して欲しいということでしょう。

▼疑問⑤ 作詞作曲だけでなく動画も作るしアートワークも自分でやるのはなぜ?

誰しも驚くのは、YouTubeに上げられたジグザグのMVの概要欄にこう書いてあることではないでしょうか。

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そう。作詞作曲だけでなく動画まで命様が作っており、そのクオリティもハンパないわけです。

例えば2020年8月に出した新曲『Requiem』のMV。見れば見るほど、ものすごく細部までこだわって作りこまれており、こんなもんフツーのバンドマンが見よう見まねで作ったレベルじゃないぞ!ってことが分かります。完全にその道のプロですよ。これだけで食べていけますよ、マジで。

しかし、音楽を作るだけでなくMVやアートワークも作るとなるとかなり時間を要すると思うのですが、ここは他のプロに任せて曲作りやライブに専念しようという気持ちにはならなかったのでしょうか?

基本的にオタク気質なんですよ。だから、自分としてはこんなふうに表舞台に立つ仕事をするようになるとは思っていなかったんです(笑)。(P212)

なるほど、逆に表舞台に立つと思ってなかったのか(笑)

DAIGOさんの曲でもバックコーラスをやっていましたが、むしろそっちの裏方志向だったわけですね。でもいつの間に表舞台に立っていたと。しかしまあ、あの顔と歌声を持っていたら、いずれ表に立つのは宿命だったともいえるでしょうねえ。

▼疑問⑥ ジグザグとして目指しているバンドはあるのか?

ジグザグはYouTubeでAcid Black Cherry『イエス』をカバーしていたりもします。

※……いや、それにしても上手いな……

なので、もちろんV系路線というのは意識していると思うのですが、具体的に目指しているバンドなどはあるのでしょうかね?

変なバンドっていうところから始まって、徐々にSIDさんみたいな感じにしたいなあと思っていたんですが、ちょっとやりすぎちゃって「ジグザグは世界観がすごい!」と言われるようになったんです。(P215)

なるほど、SIDさんか!

SIDさんってデビュー当時(2003年くらい)はちょっと変わったV系って感じでしたものね。最初の曲も「吉開学17歳 (無職)」とかよく分からないタイトルだったし。

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でもそれから徐々に方向性が変わっていって、武道館も埋まるようになった今では洗練されたバンドって感じですものね。

2019年の写真なんて、こんなに変わっちゃって。なんということでしょう。

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じゃあ世界観にこだわりがなくなったり、世界観の存在が薄くなったりすると、SIDさんみたいにスタイリッシュ系に移っていく可能性もあるのかも?

▼疑問⑦ 振れ幅がめっちゃデカいけど意図的?今後はどちらかの方向に絞っていく?

SIDさんを目指すのかどうかはひとまず置いておいて、現在のジグザグを語るときに多くの人が口にするのが「振れ幅」ではないでしょうか。変わったV系の見た目をしながらも、爽やかなカッコいい歌を歌ったり、ファルセットで美しい歌声を出したかと思えば、バリバリのデスボイスを出したり。

曲単位でみても、本当に幅広いジャンルの楽曲があるわけです。個人的に大好きなのは前述した『Requiem』『忘却の彼方』ですね。

しかし、それ以外にもたくさんのジャンルの曲があります。たとえば、『兎girl』(ラビットガール)は「浜田省吾さんの新曲です!」と言われても納得してしまうようなブルージーかつカントリーな曲。

一方で、『夢に出てきた島田』などはゴールデンボンバーとか四星球が歌いそうな非常にコミカルでお茶目な曲。

※この2曲、先日アップされた「配信禊」で聴けるので聴いてみて欲しい。目を閉じて2曲を聴くと同じバンドがやっているとは思えないし、こんな見た目の人が歌っているなんて予想できない(笑)

ここに出てる『夢に出てきた島田』もそうですが、他にも『顔が無理』とか『ゴミはゴミ箱へ』とか、ともするとレコード会社の社長だとか何かのコンテストの審査員とかが「君たちはどこを目指しているのかね?」みたいなことを言いだしそうな感じもします。

また、多くの人が感じるこの「振れ幅」を、人によっては「迷走」と取ることもあるのかも知れませんが、その辺りについてはこう答えていました。

迷走しているっていうことはよく言われますね。(中略)自分としては迷走をしているわけではないです。自分は音楽に対して雑食性なので。(中略)飽き性ということもあるのか、「これしか好きにならない」っていうことがないんですよ。そうなると、やる音楽も自然と「これしかやれへん!」というふうにはならないんです。(P209)

そうかそうか、雑食性だ。音楽の好みが一つではないのだから、好きなジャンルの曲をその時その時でやっているという感じなんですね。

飲食店でいうならば、蕎麦屋でもなくイタリア料理専門店でもなく中華料理店でもなく、フードコートのような存在という感じでしょうか。いや、なんか違うな(笑)

▼疑問⑧ ジグザグの「世界観」は変えないのか? 

命様は何度か生まれ変わって(という設定で)都度マイナーチェンジしていますが、では先ほど「SIDさんのように」と言っていたようにいずれ顔を出したり服装がラフになったりするのでしょうか。

テレビ番組の中でも何度か「ジーパンやTシャツで出たかった」と発言していますから、気が付いたらジーパン・Tシャツの命様になっているとか?

それに関して命様はこう答えています。

実は最初の2年くらいは顔を出すタイミングとかも見計らっていたりしたんですよ。(中略)私としては、音楽的に認めてもらえれるようになればもうそれでいいかなと思っていたんですけど、この見た目でキャラクターとしてできあがってしまったので、そこからイメチェンができなくなっちゃいました。(中略)でも、結果としてはこれで良かったと思います。(中略)あんまり自分の存在が人から見られすぎるのは緊張しちゃいますから(笑)。視界が悪いほうが集中しやすいっていうのはあるんです。(P215)

なるほど、もうここからの大幅なイメチェンはやりにくいですか。しかし、バンドマンなのに見られるのが緊張するって奥ゆかしいですね(笑)

先日出演されていた日本テレビの『有吉反省会』でも、有吉さんから「見えにくいでしょ?」と指摘されていましたが、視界が悪いほうが命様にとって好都合なのであれば、顔出しするタイミングは当面は無いのかもしれませんね。

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▼疑問⑨ 他のメンバー2人は命様の作り出す世界観や曲をどう思っているのか

テレビ出演といえば、出演するたびに影丸さんが「本当は声を出したいのに」と言ったり、龍矢さんは「カッコいい恰好がしたかった」などと言ったりして不満を出しているように見えますが、実際のところ2人はジグザグの活動や命様が作る曲、ジグザグの世界観についてどう思っているのでしょうか?

……と、これについては詳細の引用を避けますが、2人のコメントもしっかりと本誌に載っていました。読んでいくと、完全に命様のことをリスペクトしており「命様の作る歌なら間違いないし、自分たちも楽しい!」という雰囲気がビンビン伝わってきました。いやあ、マジ最強ですね、このバンド…

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▼疑問⑩ 今後のジグザグの曲の方向性は?

前述した通り、個人的には『忘却の彼方』のようなゴリゴリに聴かせるロックな曲がめちゃくちゃ好きなのですが、ジグザグの曲には方向性が180度違うような『メイドカフェに行きたくて』とか『きちゅねのよめいり』といった曲もあり、最初はとても戸惑ってしまいました。

その辺りの曲の多様性に関して、ご本人は「どう見られているか」ってことを意識しているのか気になっていたのですが、こう答えていました。

ある種のもどかしさを感じている人もいるとは思うんです。「もっと本格的なことだけやればいいのに」とか「ブレてる!」って言われちゃうっていう。でもね、気にせず作りたい曲を作り続けます。(中略)面白いからやっている。それだけでいいじゃんって思います。(中略)ジグザグはよくまわりからは「策士だ」って言われがちなんですけど、やりたいことをなんでも好きにやっているだけなんです。(P215)

なるほど「気にせず作りたい曲を作る」か。
いやあ、参りました。

バンドって徐々に方向性が変わっていくこともよくあると思います。たとえばDragonAshは当初ロックバンドとしてデビューして『天使ノロック』などゴリゴリのハードロックの曲ばかりやっていましたが、その後HIPHOPに転向。『I LOVE HIPHOP』なんてまさに。それからミクスチャー系に移行して、ラテンの曲なども出していきました。『Scarlet Needle』とかね。

このように、年を重ねるごと、出すアルバムごとに嗜好性や方向性が変わるということは全然あるのでしょうが、ジグザグがすごいのは、その嗜好性の違いを同時進行でやれてしまうってところなんですよね。

さっき紹介した『兎girl』『夢に出てきた島田』の2曲を含め、『忘却の彼方』『メイドカフェに行きたくて』『きちゅねのよめいり』全部同じアルバムに入っているわけですから、初めて聴いた人はそりゃ軽いパニックになるわけですよ(笑)

でも「面白いからやっている、それだけでいいじゃん」と言い切れるのは潔くてカッコいいなあと思います。

▼疑問⑪ 今後のバンドとしての方向性は?

もう答えが出ている感もありますが、じゃあバンドとしての今後についてはどのように考えているのでしょうか。

まわりの評価とか意見とかそういうのは気にしないで好きにやっていければいいなと思ってます。(P221)

はい、そうですよね。やはり何度か出てきた「気にせずやりたいことをやる」というのが命様の確固たる軸としてあるんだなあ。

以前の記事で「WANDSの上原大史さんはジグザグの命様と同一なのでは」と書いたわけですが、つい先日テレビ朝日『Break Out』にそのWANDSが出演されていました。

インタビューのなかで上原大史さんは「周りは気にせずにやりたいことをやっていきたい」と答えていましたね。

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やはり音楽をやるうえでの命様にとってのテーマなんでしょうね、これが。

▼まとめ

さて、一部ではありましたがインタビュー記事を抜粋しつつ、ジグザグに抱いていた疑問が解消されていきました。

合わない文化からは離れ、好きなことを求めていった。その結果が現在のジグザグを生み出していたわけですね。

従来のバンドというと、レコード会社が打ち出した方向性や世界観で固められ、本人が好きでもないことをやったり、言わされたりしてきた人も多いのでしょう。どうしても合わなくて脱退するメンバーがいたり、なくなく解散したバンドもたくさんあったはずです。

そんななか、「自分たちが面白いと思うことをやる」「好きなことだけをやる」「まわりの目は気にしない」と言い切りながら、なおかつ高いスキルクリエイティブ、そしてバンド内のリスペクトによる結束でそれを実現してきているのがジグザグだと。これは次世代型V系バンドとでも言えるのではないでしょうかね。

いやあ、素晴らしい。
ジグザグの今後の活躍を、ますます期待するばかりです!


※今回、当然ながらかなり割愛していますので、インタビューが気になった方はぜひROCK AND READ 091を買って読んでみては。

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原マサヒコ
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