ウィル・スミスさん
先日、長女の目に異物が入り、角膜が傷ついたのか激しく痛がるので、その日の夜に妻が近くの眼科へ連れて行きました。
かなりひどく傷がついていること。そして、そこに悪い菌が入ると失明の可能性もある。そんなことを担当医から言われたと帰宅して説明していました。
翌日の午前、僕が娘を連れてその眼科に行きました。
幸い、傷はかなり治っている。ただ、まだ完全ではない。
感情を込めたら負けというゲームでもしているのか、極めてぶっきらぼうな言い方で説明を受けました。
ただ、こちらも人に話を聞くプロなので、言葉以上のニュアンスを吸収しにかかったものの、あとどれくらいケアが必要なのか。おおよそどれくらいで「もう大丈夫」になるのか。そこが分からなかったので尋ねました。
「菌が入らなかったりしたら、だいたいどれくらいの目処なんでしょうか?」
前提条件も丁寧に下ごしらえした上で、質問をしました。
「昨日から今日でだいぶ治ってる。でも、どれくらいと言われてもそれは分からん」
文字にするとまだマイルドになってしまいますが、先ほどまでのぶっきらぼうさに加えて不機嫌さも大いにトッピングされた空気を投げつけられました。
患者の親として、そんなに突飛なことを尋ねたのか。改めてここに綴るまでもなく、その答えは否です。
「2~3日もすれば、ほぼ元通りとなると思いますが、菌が入るのだけが怖いので、まぁ大丈夫だとは思いますが、目薬だけはしっかりさしておいてくださいね」
多少のうるおいとともに、それくらいの答えが来れば「あぁ、良かった」で帰れるところですが、怒りとケタクソ悪さが体内で醸成され、ムカムカイライラが止まらなくなってきました。
「私、そんな突飛なことを尋ねてますかね。一つの目処として、そこからいろいろなものを推し量る指標として、尋ねていたのですが、それがそんなにダメなことだったのですかね」
それに対しても、まだ不機嫌とぶっきらぼうで返してきます。
周りの看護師さんもいろいろなこちらの念を察知しているようですが、こちらは全く納得できません。何一つこちらが我慢する道理がありません。
「ありがとーございましたー」と平坦なトーンで言うのと同じ音階で「満足な医療サービス、受けられませんでしたー」と舐め切ったイヤミという包み紙をかぶせた本心を口にしながら診察室を出て、眼科を後にしました。
帰宅して、症状とともに担当医師の対応を妻に伝えました。
妻は私がこういう独特の「必殺仕置き人」をやった時には「またしょうもないことをやって。あんた、エエ大人なんやし、目立つ仕事もしてるんやから」と毎回言うのですが、今回は少し様子が違います。
前日の説明の時も、なんともいたわりのない言葉で光を失う可能性を出してくる。ぶっきらぼうにセンシティブな領域をドスドス歩く。目という非常に怖い部分をケガした娘。それに対する気遣いのない言葉遣いと医師が発する言葉の重み。
そんなところの合わせ技でだいぶ滅入っていたようなのですが、私が得意の正論からのイヤミフルコースをお見舞いしたことなどを聞くと、パッと顔が晴れやかになりました。逆に言うと、その担当医が出す圧や不遜さがいかに要らん意味で大きかったのか。それを知ることにもなりました。
ビンタではなくイヤミで。
その対処もなかなかにちょうどいいことを痛感しました。
ただ、通り魔がいきなり襲い掛かってきたら、ビンタではなく、タイガードライバー91かバーニングハンマー派の47歳。