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田村淳さん

今年の正月くらいからでしょうか。

これまでも家でインスタントコーヒーは飲んでいたのですが、そこに玄米をローストした焙煎パウダーを加えるようになりました。

元々は妻が健康のために買っていたものでしたが、風味を気に入り、いつしか妻よりも僕が飲むようになっていました。

ただ、一つ問題があり、このパウダーは溶けにくいのです。水でも、牛乳でも、お湯でもサッとは溶けない。小さなスプーンで一生懸命混ぜるのですが、それでもなかなか溶け切らず、カップの周りに付着したり、沈殿したりで、きれいに飲みきることが難しい。

その状況が数カ月続いていたのですが、つい先日、奇跡の出会いがありました。何年も前に、これも妻が100均ショップで買っていた簡易電動泡だて器。これがどこからか出てきたので、何の気なしに試してみたら、僅か2秒で完全に混ざる!

泡だて器だし、そら混ざるだろうし、言うたかて混ざりにくかったパウダーが混ざるだけのことで、人生が変わるほどのことではない。

確かに、人生が変わることはないが、それによって、少し心が前向きになる。楽しくなる。楽になる。その感情を泡だて器がくれたことは間違いない。

今朝6時からYahoo!に「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さんの拙連載インタビュー「田村淳が『死ね』と言わない理由」がアップされています。

デイリースポーツに入社した1999年から数多の原稿を書いてきましたが、その中でもトップクラスに「多くの人に届きますように」と思って綴りました。

13日のABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」でも、少しお話をさせてもらいましたが、内容としては、昨年ガンで亡くなったお母さんへの思いを語ってらっしゃいます。

インタビューをしている時から「これは、絶対にしっかりと書かないといけない」と感じるほど、淳さんの思いが突き刺さってくる取材でした。

年老いた母がいる身、そして、母への感謝の表し方に逡巡する身としては、より一層、考えさせられるお話でしたし、記者としての経験則からしても、これは強く届けるべき内容だと瞬時に確信しました。

いろいろ考えて、タイトルからはあえて“母”というワードを外し「『死ね』と言わない理由」という強いフックになるような言葉遣いにしたのも、なんとしても、多くの人にまずは読んでもらいたいと思ったからに他ならない。

こういうタイトルにすると、SNSなどで「うるせぇよ、氏ね」みたいな書き込みが寄せられるんだろうなとも思っていましたが、早くも、実際に寄せられてもいます。

これも、13日の「ウラのウラまで―」でお話をさせてもらいましたが、誹謗中傷の類は何千年も前から途切れずにあるもので、人間が暮らす中で、そういうもの、そういう層は、ある一定は存在する。

そこを云々しても仕方がないので、届けるべき層に、少しでも広く届いてくれたらと心底思います。

書くことでご飯を食べるようになって22年以上になりますが、僕が書くものは広く皆さんに届けることが前提の文章です。

なので、人の目にとまってこそカプセルがはじけ、中から有効成分、もちろん、人によっては有効成分ではなく他の成分に感じる人もいるかもしれませんが、なんしか、そこで初めて意味が生まれます。

カプセルに粗悪なものは入れない。それを貫いてきたつもりですが、今回は、とりわけ、カプセルパンパンに詰め込んだつもりです。

一本の原稿が人生を変えることなどない。ただ、僕における簡易電動泡だて器くらいになってくれたら、それこそ、マックスパンパンの幸甚と存じます。

本当に綴りたいことだけをギュッと綴って疲弊したので、SNSにペットの写真を載せるギャルのように、高級手切り焼肉をした切れ端の高級肉で作ったカレーの写真を載せて、自らの癒しにしたいと思います。



スッとは終われん46歳。

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