田中邦衛さん
昨晩は期せずして大きなニュースが二つ入ってきました。
一つは有吉弘行さんの結婚。
そして、田中邦衛さんの訃報です。
両方ともYahoo!オーサーコメントを綴りましたが、まさに慶弔の組み合わせながら、それぞれにいろいろ考えさせられるニュースでもありました。
なぜ有吉さんが売れているのか。
売れ続けているのか。
腕はもちろんのこと、人間性が大きなウエートを占めていることは間違いありません。
昨秋、Yahoo!拙連載でインタビューしたお笑いコンビ「マシンガンズ」の滝沢秀一さん。今はゴミ清掃会社に勤務しながら芸人を続け、清掃の仕事での現実を綴った「このゴミは収集できません」がベストセラーになるなど、オンリーワンの道を歩んでいます。
滝沢さんにその道を示唆し「最後にうれたら、それでいい」という言葉を渡したのは有吉さんでした。
他にも、後輩芸人の方々からいろいろな有吉さんのエピソードをうかがいますが、タイガージェットシンが公園のゴミ拾いをしているよう営業妨害感を与えてしまいかねない、本当に良いエピソードだらけでした。
今回のことも、取材をする中で、有吉さんが周到に準備を進め、とにかく周りに迷惑をかけないことを旨に動いてらっしゃったことを感じました。
一事が万事。
何をするにしても、そこに心がある。
それが売れる人に求められる要素だと再確認しました。
そして、田中邦衛さん。
僕が綴ったオーサーコメントは以下のようなものでした。
華のパラメーターが突き抜けた同世代のスターたちの中で、いかに光るか。
クリーンナップに繋げる二番打者の働き、個性を出せる七番としての振る舞い。
四番がズラリと並ぶ同世代で、自らのポジションを見出し、結果、俳優という長いレースの中で四番になられました。
田中邦衛さんの特徴として「モノマネされる存在」ということが挙げられます。
恐らく、多くの人が一度はモノマネをしたことがあると思います。
モノマネをされるということは、それだけ知られているということ。
そして、四番の中で埋没しないために築き上げてこられたもののインパクトが、それだけ大きかったということ。
そして、そして、多くの人が親しみの感情を持っていたということ。その証です。
時代は移り変わる。
これは誰も抗えない事実です。
ただ、それでも寂しさは募る。それも、また事実です。
野球でも、お笑いでも、多くの人は四番に憧れて、その世界に入ってきます。
でも、四番になれるのはごく一部。ほとんどの人はその世界のフィールドにも立てないし、立てたとしても四番ではないポジションが圧倒的多数です。
いかに、自分の立ち位置を早く、正確に見出すか。
不要なプライドを横に置けるか。
本当に大切な要素をたくさん田中邦衛さんが教えてくださっているような気がします。
そんな思いを胸に、賞味期限切れの豆腐のみで作った麻婆丼を立ち食いでかき込む46歳。