「中西正男の『僕で良ければお聞きします』」
昨晩の配信イベント「中西正男の『僕でよければお聞きします』」。
本当にたくさんの方々にご尽力いただき、そして、心ある方々にチケットを買っていただきました。
「パーティーパーティー」のきむきむさん、ひらかわさん。「マイスイートメモリーズ」のトランスフォーム福田さん、花谷豊さん。そして、ヒューマン中村さん。
ご出演いただいた3組にも感謝しかありません。
タイトル通り、それぞれのお悩みを僕がうかがうという趣旨のイベントなので、それぞれにお悩みを出してもらいました。
それに対して僕がどう答えるのか。どんなスタンスで対峙するのか。そこがキモであり、そこが一番のこちら側の悩みポイントでもあったのですが、初回ゆえ、あらゆるパターンを模索しながらの90分となりました。
きむきむさんの華やかさ、ひらかわさんの温かさ。福田さんの味わい深さ、花谷さんの濃厚さ。ヒューマンさんの熱さ。
いろいろな輝きを見せてもらい、なんとか最後はそれぞれに前向きな色合いを出して終われればと思っていたのですが、あとは見ていただいた方がどうお感じになったのか。結局は、そこに集約される話です。
3組目のヒューマンさんとの30分はほぼ笑いの要素はなく、僕も本気。ヒューマンさんも本気で思いのたけをぶつけてくださった。
記憶を失うくらい一生懸命に草野球をしたことが思わぬ展開をもたらした。僕がガダルカナル・タカさんから直接伺ったビートたけしさんとの出会いのエピソードなども入れながら、中西正男のスペックをフル稼働させて話をさせてもらいました。
一生懸命の効能。
言葉にすれば、小学生が習うようなことですが、あらゆる迷いを経験した大人にとって、この言葉は特別な意味を持つものだと改めて感じた30分でもありました。
初回としてできることは全力でやった。それは言い切れます。そして、次があるならば、次は今回よりも必ず良いものをお出しする。
その方向性として、テーマになるのが「小手先の笑いじゃない。生きる本気を見せる」。ここだろうなと思っています。
そんなことを考えながら帰宅し、楽しみにしていたフジテレビのドラマ「志村けんとドリフの大爆笑物語」を見ました。
高木ブー役の加治将樹さんのインタビューをしたことをきっかけに絶対に見るべきドラマと思っていましたが、芸能記者としての矜持について多角的に考えさせられる90分を経てのこの作品は味わい深いことこの上なしでした。
タイミング的にビートたけしさんの半生を描いたNetflix作品「浅草キッド」と比べられたりするのだろうな…。という自分も比べつつ見ているな…。
そんなことを考えながら見始めましたが、途中からそんな感覚は完全に消え去っていました。
両方とも今も愛されているお笑い界の偉人を描いた作品ではあるが、同じ小麦由来の食べ物でもパンとうどんくらい立ち位置も味も違う。
どちらが美味しいと比べるのはナンセンスの極みであり、それぞれに、抽出すべきキラキラしたエッセンスがあるのだろうなと思いました。
誤解を恐れずに言うと、一般的には「浅草キッド」の方が「いい作品だった」と言われやすいのだと思います。
ただ、僕は志村さんのドラマからドラマを超えた熱を感じました。出演者の一生懸命さ。本気。そんなところを痛いほど感じました。
それは小難しいことではなく、劇中のコントが本当に面白い。リアルに笑える。
僕は職業柄なのか、どんな漫才を見ても、コントを見ても、声を出して笑うことなんてほとんどありません。
しかし、このドラマでの遠藤憲一さんの銭湯コントでのやられっぷり。階段落ちのコントでの山田裕貴さんの勝地涼さんへのツッコミのタイミング。どれも本当に絶妙で、声をあげて笑いました。
僕などがおこがましいですが、関わっている皆さんがいかに本気でこの作品に向き合っているか。その思いがコントから零れ落ちていて、ひいては、それが志村けんという人間の大きさを雄弁に物語っている。それがまた心地よくて、心に染み入りました。
役者さんがどれだけ良い芝居をしても、作品のクオリティーがグッと下がってしまう。そんな瞬間の一つが、劇中の“再現もの”の良し悪しだと僕は考えています。
例えば、ラグビーを題材にしたドラマなら、ラグビーの試合のシーンのクオリティーが素人丸出しなら、他のシーンのクオリティーも下げてしまう。下げたように感じてしまう。全てが嘘くさく成り下がってしまう。
逆にTBS「ノーサイド・ゲーム」のような本物のラグビー選手がラグビーシーンをやると、他のシーンの説得力も増してくる。
そんな流れがあることは自分の中に落とし込んでいましたが、今回の作品ではもう一段上をいくものを見せてもらった気がしました。
こんなことを書かずにはいられない。それが芸能記者という仕事を二十数年やってきた自分という人間のカタチなのでしょうし、それが人の役に立てば、こんなにうれしいことはない。
そんな思いを持って、また今日から暮らしていこうと思っています。
期せずして、志村さんのドラマ、最後のセリフはいかりや長介さん役の遠藤さんの言葉でした。
「次の回も一生懸命頑張ります。ごきげんよう」
なんやしらんけど、頑張るっきゃない47歳。
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