第2話 新天地を求めて
和彦が先代から、餃子屋を引き継いだのは
既に彼が、30歳間近のころ。
とは言え、
このまま、古ぼけた餃子屋を続けても
時代の波に乗って行けるのだろうか?
和彦は餃子を長年焼いてきた
鉄板を見ながら思った。
「この鉄板もハゲて来たし、
改装するくらいなら、いっそのこと
新しいことに挑戦しよう!」
懇意にしていた、ぼったくりで有名な
まる不動産の仲介を経て、店を売却。
その金をもって、海外を見て来よう。
和彦は、まず、ビジネスの本場
アメリカへ飛んだ。
冬のニューヨーク、J・F・ケネディ空港に
降り立った和彦は、その寒さに驚くと共に、
これからの人生に身震いしながら叫んだ。
「北海道はでっかいどー!」
その後、「♪C'mon, baby アメリカ♬」と、
DA PUMPの曲に乗り乗りで歌いながら
タクシーに乗った。
「五番街まで。」
和彦は、そう言ってみたかっただけで
五番街に、何があるのかさえ知らない。
五番街に着いた。
周辺をぶらぶら散策する。
「ブランドショップばかりだ。
ぶらぶらしてたら、ブランドショップ」
「フフフ…」とんだ苦笑いだ。
「ここで買うくらいなら、
三井アウトレットパークで買うぜ。
むしろイトーヨーカ堂の方が
安くて長持ちするものよ。」
そんなことをつぶやきながら
歩いていると、
一軒の日本食レストランを見つけた。
(アメリカに来て、まだ何も食べてないし
先ずは腹ごしらえだな。
日本食なら、日本語も通じるだろう)
日本食チェーン店に、和彦は入った。
メニューを眺める。
(ん?日本で食べるよりも結構、割高なんだな。)
そっか。日本食を海外で展開すれば、
高単価で売れるのか!
食材を地元の物で、まかなって
日本式の調理法、味付け、接客で売ったら
こりゃ、大当たりするぞ~!
急いで食べ終わり、会計をした。
店員の「Tip please」の言葉の意味が分からず
「レシートは結構」と、かみ合わないまま
出口を出る。
よし、先ずは食材探しだな。
普通の食材だけじゃ、つまらないよな。
何か、一風変わったものは無いものだろうか。
目玉商品にもなりうるもの…
見上げた空に、
南へ飛んで行く飛行機が見えた。
和彦は自分の直感に賭けた。
「よし!南米へ行くぞ」
つづく
『あとがき』
またしても、リレー小説に参加中です😅
第1話はこちらです。
ありがとうございます。100円で、6本増やせます。 あ、増毛の話です。