佐川真佐夫が如何に天才なのかを世間に伝えるためのnote 第3話~蛙と俺~
俺の住む東京都中延近辺の公園では梅雨から秋雨の時期まで蛙の姿をちょくちょく見かけた。ここ最近はご無沙汰なのだが元気にしているだろうか心配である。
子供の頃はよく素手で捕まえ肛門からストローで空気を入れてパンパンに膨れさせたりして蛙の生死を弄んでいたものだ。
しかし今では素手で触ることはもちろん、見ることすら嫌。発見した瞬間などは一歩後退するほど驚く時もある。大人になるということはそう言うことだ。
最後に蛙に会ったのはある台風の前日だった。記録的な大型台風が来るとテレビで騒いでいたので良く覚えている。
俺は翌日の台風にそなえ食料を買い込み小雨の帰路の途中、目の前にピョコンと飛び出してきた蛙をマジマジと観察していた。
蛙と一言で言っても色々な種類の蛙が存在する。この島国日本の中でもかなりの種の蛙がいるだろう。「ひき蛙」「雨蛙」「牛蛙」「疣蛙」「殿様蛙」「食用蛙」「ど根性蛙」・・・まだまだ色々いるだろう。
目の前の蛙は、きっと雨蛙だろう。だって雨の日に出た蛙だから。
しかしよくよく考えたら蛙の事をよく知らない。強いて言うなら「変態」と呼ばれる種族でオタマジャクシの親と言う事くらい。寿命がどの位とか血の色は何色かとか種類別の鳴き方とか好きなタイプとか具体的な事になると何も知らない。同じ島国日本に住んでいるのにもかかわらず知らない事だらけだ。
気になりだしたら止まらないのが天才と言われる俺の性分。俺は蛙に聞いてみようと思い話しかけてみた。
俺「こんにちわ」
蛙「・・・・・・」
完全に無視である。驚くほど何も言わない。俺の眼すら見ない。失礼極まり無いとはこのことだ。
しかし、ひょっとしたら人見知りの激しい蛙かもしれない。フレンドリーに接すれば応えてくれるかもしれない。きっとそうだ。選ばれし神々しい俺様を目の前にしたため緊張して返事が出来ないだけだ。
俺「君、女の子?もし女の子だったら俺がナンパしているみたいだね」
蛙「・・・・・・」
蛙はクスリとも笑わない。まだ緊張しているのか・・・
俺「酸性雨はキツイよねぇ~」
蛙「・・・・・・」
蛙はな~んにも言わない。
流石の俺様もここまで無視されると頭にくる。天才で選ばれし人間である俺様を平気な顔して無視するのだから。殺してやろうかとさえ思ってしまった。
俺は歯を噛みしめ睨み付けてながらも怒りを必死に抑え込んだ。
最後に一言だけ、一言だけ。
俺「台風来るから早く返った方がいいよ」
蛙「・・・・・・」
動きもしない。台風来るって注意しているのに動かない。俺様に喧嘩を売っている。もう我慢できない。巨匠の俺様がこんなにもフレンドリーに話しかけているにもかかわらず完全に完璧にパーフェクトに無視するのだから。
「ゴォラー!!いい加減にせんかぁ!!!俺様を誰だと思ってる!!!!」
さすがの蛙も驚いたのかピョコンと跳ねた。
俺様の勝ちである。
つづく・・・第4話へ
『佐川真佐夫が如何に天才なのかを世間に伝えるためのnote』
○第1話 ~概要~
○第2話 ~はじめに~