佐川真佐夫が如何に天才なのかを世間に伝えるためのnote 第6話~愛しのポン太~
佐川ポン太 13歳 雄犬(マルチーズ) 最近、歯槽膿漏で口が臭い。
あれは俺がまだ高校生の頃の話だ。
ポン太には恋人の雪ちゃんと言う雑種の犬がいた。ベティの初体験の相手でもある。
我が家には玄関横に居間がある。その部屋には出窓がついていてポン太の指定席になっていた。出窓からは家の門が見え、門の前を通る道も見える。ポン太は何時もそこから外を眺め、人が通れば吠えてみたり、家族の誰かが帰ってきたら喜んで見せた。
勿論、恋人の雪ちゃんに対しても例外ではない。
ポン太は雪ちゃんを見つけたら喜び庭へと駆け出す。2人は毎日のように我が家の庭で愛を育んでいたのだ。
毎日毎日、飽きもせず・・・
雨の日も風の日も雪ちゃんは遊びに来た。しかし、雨の日はポン太は外に出さない。だから2人は窓際で少しの会話をしてお別れだ。
ずぶ濡れの雪ちゃんを見ると家に入れたくもなる。だが駄目だ。癖になるといけないから。
そんな日はまるでロミオとジュリエットのように少しの時間を楽しんでいるのだ。
天気の良い日は夕方まで雪ちゃんの飼主が「雪~!!」と叫べぶまでポン太と遊ぶ。そして、お別れの挨拶をし「また明日ね」と帰って行く。2人は本当に仲の良い犬同士だった。
ある日、何時ものようにポン太は出窓に出て雪ちゃんを待っていた。しかし珍しく遊びに来ない様子だ。
「今日は来なかったね。残念、ポン太」俺はそんな言葉をかけてやった。
それから雪ちゃんは数日間、遊びに来なかった。病気にでもなったのかもと俺は飼主に聞いてみた。
雪ちゃんは死んでいた。
雪ちゃんは保健所に連れて行かれたのだ。近所の心無い人間が何時も放し飼いだった雪ちゃんを迷惑がり通報したのだ。一時期は鎖に繋ぎ生活していたようだが仕事の都合上、散歩もままならず保健所行きとなったのだ。
俺はショックだった。そしてポン太を抱きしめた。
掛ける言葉が思いつかない・・・
何も知らないポン太は今日も雪ちゃんを待ち続けるのだから。
つづく・・・第7話へ
『佐川真佐夫が如何に天才なのかを世間に伝えるためのnote』
○第1話 ~概要~
○第2話 ~はじめに~
○第3話~蛙と俺~
○第4話~こんにちわ新聞屋さん~
○第5話~天才はやっぱりモテる~