佐川真佐夫が如何に天才なのかを世間に伝えるためのnote 第4話~こんにちわ新聞屋さん~

 まだ上京して1年未満の江戸っ子新人時代の話だ。
 一人暮らしをしていると何かと勧誘が多い。その中でも新聞の勧誘は群を抜いて多かった。他の勧誘(宗教、テレアポなど)に比べ5馬身以上差をつけている感じすらする。ダイワスカーレットの有馬記念逃げ切りを思い出すほど華麗で魅力的に感じるほどだ。

 ある日、そんな新聞勧誘が我が家にやっていた。ドアをトントンと叩き「~新聞で~す」とやってくるのが基本なのだが今回の新聞屋さんは一味違っていた。普段ならドアも開けずに「いりません」で終了なのだが、おもわずドアを開けてしまう失態を演じてしまった。
 その新聞屋さんはドアをトントンと叩き「引越しの挨拶に来ました~」と言ってきたのだ。俺はてっきり下の階の人が入れ替わり挨拶に来たものだと思いドアを開けてしまった。新聞屋さんだと思っていないのだから当たり前だ。

 ドアの外に立つ新聞屋さんの男はこう言ってきた。
「佐川さんは最近越してきましたか?」

 はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~?
 日本語がわかりませぇ~ん。何を言っているんですかぁ~。

「~新聞の者ですが・・・」

 ここで初めて気付きました。この男が新聞屋さんだと言う事を。俺は心の中で『騙された!!』と苦水を飲まされた気分になった。この腹ただしさをどうにかしてこの新聞屋さんにぶつけたい。俺様に関わった事を後悔させたい。
 全てのベクトルが新聞屋さんを懲らしめると言う事に向けられた。

俺は言った。
「最近も何も俺は6年前(嘘)からここに住んでるよ」
「あぁ~そうですか!挨拶が遅くなてすみません」
「遅すぎるよ。6年だよ6年。結婚の約束をしてたとしても6年待たせたら破談になるよ」
「はははははは(笑)今日は洗剤とビール券を持ってきたんです。コチラ差し上げますんで・・・」

 俺はありがたく頂戴した。

「三ヶ月でいいんで試しに取って貰えませんか?」

 さぁ新聞屋さんの営業が始まった。

「え?何を?」
俺はワザととぼけて見せた。

「新聞ですよ新聞」

 はいはい分ってます。その為に大ぼら吹いて俺様をムカつかせたんでしょ?
 俺ははっきり言い放った。

「新聞は要らない。でも洗剤とビール券は貰う」

 さぁ俺様と新聞屋さんの攻防が始まった。俺の意見と立場はハッキリと伝えた。後は新聞屋さんの出かたを待つだけだ。

 何度も凝りもせず『取ってくれ』と連呼する。俺は『要らない。ケツ拭く紙にしても硬すぎる』と言い続けた。

 新聞屋さんは無駄だと悟ったようで洗剤とビール券を返せと言い出した。

 甘い!!甘い甘い甘い甘い甘い!!!!
 さぁ今度は新聞屋さんあなたが頑張る番ですよ。俺様から洗剤とビール券を取り返す為にね。

 俺は言い放った
「貰って10秒たったから俺の物じゃん。おまけに最初に差し上げますって言ったじゃん」
「いやいやそれは新聞を取ってくれたらの話で・・・」
「俺に渡してから取って付けた様に言われてもねぇ~普通そう言った場合始めに言うのが基本でしょ。それをしなかったあなたが悪いですよね。例えば警察でも何でも第三者を呼んできたとしても通用しませんよ。俺がその時『これは俺が買ったもので見知らぬこの人が勝手に返せといい続けているんです』と言ったって良いわけですからね。聞きますけど、この洗剤とビール券があなたの物だと証明できますか?俺は出来ますよ。今現在、俺の家の中に置いてあって、しかも俺とあなたの間にあるのではなく俺の後ろにある品物ですからね。あなたの物だと言われても信憑性が無いですよ。間違いなく俺のもんでしょ。あなたの手元にあるのでは無く、俺の家の中にあるんですから。解かります?俺の言っている事?言い方変えますわ。この洗剤とビール券は俺のです。泥棒みたいなマネは止めてください」

 新聞屋さんは流石に驚いた様子だった。馬鹿め。してやったりだ。返す言葉といったら『勘弁してくださいよ~』だけ。もちろん勘弁なんかしてやりません。
 俺様は時間の許す限り懇々と同じことを繰り返した。勿論『新聞は要らない』と付け加えながら。

 新聞屋は目に見えるくらいの冷や汗をかきながら今にも泣きそうな表情になっていた。俺は楽しくなり新聞屋に言った。

「おう。泣けよ。泣けば許してやるよ。号泣しろよ」

人間が心の底から驚き目が見開く瞬間を始めてマジマジと観察できた。新聞屋の目は面白いくらい大きくまん丸になっていた。

「ほんと・・・勘弁して下さい・・・」

 優しすぎる俺様は言った。
「謝れば水に流すよ。『佐川様。あなた様にシノギかけてすみません』って言って」
「・・・すみません。」
「違うだろ!」
「・・・佐川様・・・あなたにシノギをかけて・・・・・・すみません・・・」

 俺様は許してやった。

つづく・・・第5話


『佐川真佐夫が如何に天才なのかを世間に伝えるためのnote』
第1話 ~概要~
第2話 ~はじめに~ 
第3話~蛙と俺~

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