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自分たちの共有空間
ゴミ出しやレンガブロック敷きからスタートした改修作業は8ヶ月に及んだ。業者に委託すればもっと手短に終えられただろう。
谷重さんから提出された改修工事の見積もりは700万円。なんとか自己負担を減らしたい思いから、市役所と県庁の担当課に支援策や補助金はないか相談に出向いた。だが、97年度の行政年度がもう始まっている時期だったので、予算に計上されてない新しいコトへの支援はできないと門前払いだった。それから数日後、市役所の部長から『翌年度なら補助制度を創設して支援できる』と電話が入った。この電話を受けて、緊急会議を開いた。「700万円を自分たちで持ち寄って直ぐに始めるか、市役所からの提案を受けて1年待つか」全員一致で直ぐに始めることを決めた。高島町で刺激を受けた興奮が冷め切ってなかったということか。
こういう経緯を経て、改修資金を持ち寄り、自分たちで汗を流し、みんなで共有する空間が完成した。倶楽部財ということができるか。
もろみを作っていた蔵の面影をそのまま残しながら、地域の人々が集う新たな空間が生まれた。