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レトロポップカメラ入門 第六話 フィルムカメラ界の「パーフェクトジオング?」 RICOH AUTO HALF EF2

 まさにレトロでポップなカメラの代名詞!ってくらい、フィルムカメラ好きの間で大人気の「RICOH  AUTO HALF」シリーズなんですが、今回はその中でもちょっと変わった機種「EF2」というカメラをご紹介します!

 ところでタイトルにある「パーフェクトジオング」ってご存知ですか?
 「機動戦士ガンダム」、俗にいう「ファーストガンダム」ですね。そのまさに最後に出てきたモビルスーツ「ジオング」は、なんと足のない上半身だけ、というかなり奇抜な、かつめちゃくちゃ強い、みたいなことで当時子供だった僕ら世代に大人気でした。
 そして、ガンダムシリーズが続く中で、ついに足の付いた「パーフェクトジオング」なるものが登場するんですが、子供心に「コレジャナイ…」って感じがしたのです。
(ちなみに劇中の台詞に
シャア「脚がないな」
整備兵「あんなのは飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ」
という名台詞があります。)
 まさにこの「EF2」は、オートハーフファンからすると、その「コレジャナイ」感がするカメラだと思うのです。
 しかしながら、このなんとも「中途半端」になってしまった立ち位置が「今」異彩を放ち、とても面白い存在になっていると感じたのです。
 じゃあ、どうして「今」この子が魅力を増してきているのか?それにはハッキリした理由もあります!
 今回はそのあたりをしっかりお話ししていきたいと思います!

(ちなみにこのカメラの「モルト」を交換した際の動画を僕のYouTubeチャンネルで公開しています。こちらもぜひご覧ください。チャンネル登録もよろしくお願い致します。)

「リコーオートハーフ」というカメラ

 まずこの当時も大ヒットし、今もずっと根強い人気のある「オートハーフ」シリーズについてお話しなくてはなりません。
 このカメラは以前「FUJICA  Mini」の回でもお話した「ハーフカメラ」です。
 1960年代、カメラを「一家に一台」みたいな感じで普及をさせたいけれど、フィルムも現像代もまだまだ高かった時代、メーカー側がより多くの人にカメラを使ってもらうために考えたのが「ハーフサイズ」でした。
 元々、映画はこのサイズで撮られていた、とか、細かく話すと、いろいろ長くなるので省きますが、とにかく一般的な35mmサイズの写真の半分のサイズで撮ることで、倍の数の写真が撮れますよ、というのが、このハーフサイズの売りでした。

こちらが俗にいう「フルサイズ」のネガ
こちらが「ハーフサイズ」のネガです。まさに半分。

 しかもハーフであれば、カメラそのものもコンパクトに作れるし、安価に作ることも目指せる…。
 もちろんレンズの性能が上がってきたからハーフでも画質十分いける!となり、実現できた面もあると思います。
 しかし当時、一般の家庭にあるカメラにそこまでの画質を求めることはなかったでしょうし、とにかく「家族の思い出を残す」ということが至上命題の「ファミリーカメラ」にとってフィルム代、現像代の面でも、カメラ本体代の面でも経済的で、まさにその時代に求められたカメラだったのです。
 こうして各社ハーフカメラを作り始めます。
 そんな中、登場した「リコーオートハーフ」当時のキャッチコピーがこちらです!
「シャッターだけは押してください」

素晴らしいコピーですね!

 シャッター以外のことは全てカメラがやります、あなたはシャッターを押すだけです、と。
 これ、スマホで写真を撮る現在は当たり前のように感じますが、当時、ちゃんと写真を撮ろうと思ったら、露出計で露出を測り、それに基づいて、表現したい「絞りとシャッタースピード」を決め、カメラにセットして、構図を作り、ピントを合わせ、それでようやくシャッターを切る、そこからさらにフィルムを巻き上げて、次の撮影の準備となり…というのが主流の時代です。
 「シャッターだけは押してください」…ファミリーカメラとしてこれほどのコピーはありません。
 そんな出自のリコーオートハーフがなぜ、2022年の今、そして特にこの「EF2」が、時代にフィットしていると、僕が考えるのか?
 正直、つい数年前までEF2は「ダサいカメラ」と見られていたところがあります。しかしファッションの世界が、歴史を繰り返しつつもアップデートし、ダサい、と思っていた、昭和のおじさんみたいなパンツや、フレアしたジーンズなんかを若い方達が古着屋さんで探し歩いている今、特にフィルムカメラとして人気のある「オートハーフ」の中でも、この「EF2」が時代の空気に刺さること間違いなし、と僕は考えているのです!
 もちろん機能としての意味合いのあります。
 このカメラの良さを語ると共に、時代との邂逅についてお話していきましょう!

「ゼンマイ式」という萌え要素

 よくこんなことしたなぁ、と思います。
 フィルムを巻き上げる、というのは1960年代のカメラでは、大半が「レバー巻き上げ」で(PENから始まる「ノブ巻き上げ」の話などもしたいですが、それはまた別の機会に…)人の手で巻き上げるのが一般的でした。
 「電気的に制御していく」カメラが出てからは巻き上げも電池で自動で巻き上げられましたが、このオートハーフが出た時代はまだまだ電気の力で巻き上げるカメラは一般的ではありませんでした。
 そんな中なんと!「ゼンマイの力でフィルムを巻き上げる」というとんでもないやり方で「自動巻き上げ」を実現したのです!

 電子的な力ではない「機械式」での巻き上げ音は独特で愛おしくなりますよね!
 オートハーフの人気の大きな要素の一つがこちらだと思います。

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