フィルムの価格高騰について語る時、僕たちの語ること。
「レトロポップカメラ入門」、今回はちょっと「コラム」的に書かせていただきたいと思います。
この記事については無料公開とさせていただきますので、ご興味持たれましたら、ぜひ他の記事も読んでみてください!
「レトロポップカメラ入門」という記事を書いていて、このことに触れないわけにはいかないということで、YouTubeの動画でも話しているのですが(こちらをクリック)とにかくフィルムが一気に高くなりました。
「高くなった高くなった」と数年前から愛好家の皆さんの間では言われていたわけですが、ここに来て一気呵成に高くなったのです。
この「レトロポップカメラ入門」を始めたのが2021年11月なんですが、ちょうどこの時にAmazonでフィルムを買っていた履歴が残っていました。
僕はこうしたレトロポップカメラで楽しむ写真に関しては「とにかく安いフィルムでたくさん楽しく撮る!」と決めていて、家電量販店とか色々調べて、一番安く買えるフィルムをさらに安く「まとめ買い」する、というスタンスです。
つまり、この2021年現在で、僕が知る限り一番安いフィルムがこれだったわけです。(通販やってないショップさんでさらに安いところとかあったりしましたが「お一人様2本まで」とかそういうところが多かったみたいです)
で、価格が10本6800円。一本680円です。
ちなみに2020年2月にも同じものを購入していますが、5206円でした。一年半程度で、すでにこれだけ上がっていたわけです
そしてこの記事を書いている2022年8月現在の価格がこちらです。
21000円です!
ちょっと今、僕も驚いています…。
先ほどURLを載せたyoutubeの動画を投稿したのが、2022年7月31日、その時点では15300円でした…それだけでも衝撃なのに、そこからまだ1ヶ月経ってないのに、さらに上がっていたのです!
1年も経たずに680円から2100円…衝撃としか言いようがありません…。
僕たちはどうしたらいいのか?
これから「フィルムカメラを楽しみたい!」という方のために始めた連載だったにも関わらず、始めて一年経たないうちに、これだけフィルムそのものの価格が上がってしまうと「気軽に楽しんで!」と言いづらくなってしまうのが正直なところです…。
僕自身は「フィルムで写真をやる」とことに「覚悟」が決まっているので、これからもずっと続けていくわけですが、一般の、しかもこれから「やってみたい!」という皆様に向けたこの連載ですから、やはり一つの「最適解」みたいなものをお届けしたいわけです。
そうなるとやっぱり「ハーフカメラ」だと思います。
この連載でもいくつかのハーフカメラを紹介してきました。(上の2台がそれです)
ハーフカメラとはまさに昭和のまだまだフィルムが高かった時代に生まれたシステムです。
今に似た状況なんですね。
このように通常の半分(ハーフ)で撮ることで、36枚撮りフィルムなら72枚、24枚撮りなら48枚と「倍の枚数」撮れるカメラということになります。
もちろんデジタル画像でいうところの「データが半分」になるので、画質は当然落ちる、ということになるのですが、2022年現在でフィルムカメラに「画質」を求めて始める方は少ないと思います。
「いやいや写りは大事」という皆様は価格が高くなっても、しっかりしたカメラと写りの好みの高いフィルムを使って写真をやられているか、そもそもデジタルカメラですごい写りのものはたくさんあるので、本格的な方ほどそちらをやられると思います。
フィルム写真に「エモい」とか「ユルい写り」みたいなものを求める方が多いと考えられる令和の今、返ってハーフカメラの方が良かったりするわけです。
そう考えると単純計算でいうと「実質フィルムが半額になる」と考えてもいいハーフカメラが「最適解」となるんじゃないかと。
ちなみに現像代などがハーフでは「倍」の値段が掛かってしまうお店もありますが、ネットで色々探すと「フィルム一本」の価格でやってくれるところもあります。
そうなるとトータルでも実質半額ですよね。
この「レトロポップカメラ入門」では当初からハーフカメラを推しておりましたので、ぜひ記事読んでみてください。
この展開は予測されていた?
今回、例に出したフィルムは「コダック」さんのものでしたが、まさにそのコダックさんが、この2022年7月に最新の「ハーフカメラ」を発売しました。
ハーフ版の「フィルム入れ替え可能な」写ルンですといった性能のカメラのようですが、かなり良く写ると聞いています。
フィルムを売るメーカーさん自身がこうしたカメラを出す、というところにもう答えは出ているように感じますね。
フィルムカメラの時代はフィルムメーカーさんがフィルムをたくさん売るため、という目的で作っていたカメラも多くありました。(それらには個性的なものも多く、まさに今、レトロポップカメラ的な魅力を放っています)
そうした製品がまさか2022年に現れるとは!という驚きがありますね。
ハーフカメラの弱点
画質に関しては全く弱点にはならず、むしろ返ってその画質の悪さが「味」になる、というお話はさせていただきましたが、全く別のところに弱点があります。
カメラの種類が少ないことです。
選択肢が少ないんですね。
フィルムが高い昭和の時代に出現したハーフカメラですが、どんどんフィルムも安くなり、35mmフルサイズのカメラも小型化していって、ハーフの利点が少なくなり、だんだん廃れていったので、そもそもハーフカメラ全盛の時代はそこまで長くなかったのです。なので、どうしてもハーフカメラの種類は少なくなってしまうわけですね。
有名なところでは「OLYMPUS PEN」というシリーズが大ヒットしたので、種類もたくさんあって、手に入れやすいです。
もちろん他のメーカーさんも色々出していたので、調べてみるとお好みのカメラが見つかると思います。
そして、そこから深掘りした形の弱点がもう一つ。
一眼レフやレンジファインダーなどの「ピント合わせができる機種」が極端に少ないという点です。
ピント固定や目測ピント合わせ、など、ちょっとコツがいるカメラが多くなってしまうんですね。
「ファインダーを覗いてしっかりピント合わせをしてシャッターをガシャンと切る」というフィルムカメラならではの楽しみのあるカメラがほんとに少ないんです。
こちら、先ほどのYouTubeの動画で紹介している「KONICA AUTOREX P」というカメラは数少ないそういうカメラの一つなんですが、ここ最近使ってみていて、改めて最高だな、と感じています。
(このカメラに関してはしっかり一本記事を書こうと思っています)
「OLYMPUS PEN F」というシリーズが一番有名ですが、これもとても楽しいカメラです。ご興味ある方はぜひぜひ!
でも、ほんとこれくらいなんですよ…。
(とってもレアで珍しいハーフカメラもあるにはありますが、その辺りはもう「レトロポップ」な楽しみのカメラ、というより完全に「マニア」の領域ですねw)
あとは「なぜ今?」っていうくらいハーフカメラの時代が終わった頃にポツッ、ポツッと出た「オートフォーカス全自動のハーフカメラ」が数モデルだけあります。
僕はこの2台は使ったことがないのですが、こういうので楽しむのもアリですね!
拙著「駄カメラ大百科」にも掲載しているハーフも撮れるフィルムコンパクトカメラ「Autoboy TELE6」です。
こちらの本もぜひよろしくお願いいたします!
(こちらをクリック)
最後に
これだけ値段が変わると、まさに「ゲームチェンジ」でフィルムカメラの楽しみ方に対する概念そのものが変わってしまったと感じています。
もちろん僕はこれからもフィルムで写真を撮ることをやめないし、フィルムで写真を撮ることしか考えられません。
でも「たくさんの方にフィルムで写真を撮ることを楽しんでもらいたい」という活動に関しては、色々考えをアップデートする必要があるのかな、と感じています。
ぜひ「レトロポップカメラ入門」色々な記事を読んで見てください。
ユルくてエモい作例写真もいっぱい載せていますので!
今後ともよろしくお願いいたします。
サポートいただいたお金は当面、写真展「13」開催の費用等にさせていただきます。何卒よろしくお願い致します。