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ジェンダー平等、生産性向上が出生率増加への道

<人口は都市部に集中>
 
総務省が2022/8/9に公表した2022年1月1日時点の人口動態調査で、一都三県の日本人人口は前年比0.1%減の3561万人となり、1975年の調査開始以来初めて前年を下回りました。少子高齢化で死亡が出生を上回る自然減が多くなり、人口流入で補えませんでした。
日本全体の日本人人口は前年比0.5%減の1億2322万人と13年連続で減少、減少幅は過去最大の61.9万人でした。都道府県別に見ると沖縄を除く全ての都道府県で人口が減りました。生産年齢人口は7269万人で、全体に占める割合は59%と過去最低です。 コロナ禍でテレワークが広がり東京から神奈川や埼玉など隣接県に流出するドーナツ化現象が起き、1都3県は前年並みとなりましたがそれ以外の県では大幅な減少となっています。 
内閣府が2022年6月に実施した調査では、東京圏在住者で地方移住に関心があるのは全体の1/3で、2019年12月時点よりも9ポイント増えました。特に20代は45%と13ポイントも上がっています。

<出生率とジェンダー平等は正の相関関係>
 
OECD加盟国高所得23か国のうち、直近データが取得可能な23カ国の2021年の合計特殊出生率を調べると、19カ国が2020年を上回りました。ここ10年に低下傾向にあった多くの国が足元で反転した格好です。
理由の一つが男女平等です。2020年から2021年の国別の出生率の差とジェンダー格差を示す指標を比べると相関関係があります。世界経済フォーラムの2022年度版ジェンダーギャップ指数で首位だったアイスランドの2021年の出生率は1.82で、今回調べた23カ国で2番目に増加しました。2位のフィンランドも2年連続で上昇し1.46まで回復しました。長い時間をかけてジェンダー格差をなくしてきた北欧では、家庭内で家事、育児にあてる時間の男女差が少なく、女性に負担が偏りにくい状況です。 
ジェンダー格差が大きい日本と韓国の出生率はいずれも0.03下がりました。韓国は出生率0.81と深刻で、日本も1.30と人口が加速的に減る瀬戸際にあります。家庭内の家事、育児時間の男女差が5倍ある両国は、女性の出産意欲がコロナ禍で一段と弱まった状況です。
 
<年収と子供も正の相関関係>
 
特に収入が低い層で急速な少子化が進んでいます。東京大学は男性を年収別のグループに分けて、40代時点における平均的な子供の数の推移を調べました。その結果年収が300万円未満の数は0.8人未満となっており、600万円以上の1.6人と倍以上の差があります。 
最近は経済的に自立した女性ほど子供を持つ傾向があり、直近5年では女性が労働参加する国ほど出生率も高いです。日本は女性の就業率が7割と比較的高いにも関わらず、家事、育児分担の偏りや非正規雇用の割合の高さによる低所得といった多岐に渡る原因が要因で、出生率が低い状況です。 
 
<北欧をPPPしよう>
 
長期的な展望で見た場合、日本の人口減少は確実です。ただしこの現象は1930年代に北欧諸国でも同様に発生しました。北欧諸国はその時に現状を直視した上で、出生率をどう上げるかということを真剣に検討した結果現在のように出生率が回復傾向にあります。日本の少子高齢化政策を考える上で、北欧諸国が取ったやり方を真似するのが良いのではないでしょうか。いつも通りPPP(パクってパクってパクリまくる)を考えたいと思います。
 
上記のデータを見るとまず日本の人口は都市部に偏っています。今後も都市集中型は避けられず地方の過疎化が進む見込みです。一説によると、都市は様々な娯楽や刺激があるため、女性が子供を持ちたくない環境にあると言われています。当然便利なところに人は集まりますので、この傾向は止められないと思います。そこで都市に人が集まることを前提とし、ターゲットは『都市部の出生率をどう上げるか』を考えたいと思います。
 
<まずは家事・育児・仕事のジェンダー平等を作り、夫婦共に正社員としてフルタイム働く>
 
仮に出生率とジェンダー平等が正の相関関係にあるという話であれば、都市部のジェンダー平等を進めるというのが一つの方法だと思います。ジェンダー平等と言うと女性の社会進出の話題で、保育園の確保等の話が出ますが、それよりも先にやるべきは男性の家事・育児参加です。家庭内の家事・育児時間の男女差が5倍もある現状では、女性は出たくても社会に出られません。まずは家庭内の家事・育児時間の男女差を平等にする必要があると思います。
 
対策として考えられるのがテレワークの活用です。夫婦で正社員週5日共働きという前提の元、今週は旦那が週3日出勤、2日テレワーク、奥さんが週2日出勤、3日テレワークとすれば誰かが家庭にいることになるため家事・育児は平等にできることになります。これを毎週比率を入れ替えれば男女平等となります。
別の案として時差出勤が考えられます。朝は旦那が家事・育児を行い、奥さんが時差出勤で早朝に出勤します。逆に奥さんは早帰りをして、夕方以降の家事・育児を担当します。旦那は時差出勤で夜まで仕事をします。お互いのコアタイムの部分だけ子供を保育所に預かってもらいます。 
 
上記の案を実行するためには企業側の理解及び旦那側の努力が欠かせません。企業側としては今まで週5日出勤を前提とした仕事を変える必要があります。旦那側としては今までやってなかった家事・育児をやる必要があり、やり方と奥さんから学ぶ必要があります。
但しコロナのおかげと言っては語弊がありますが、テレワークはかなり定着しました。現状であれば上記の働き方で夫婦平等の家事・育児・仕事ができるはずです。夫婦ともにフルタイムで働いているため、夫婦共に正社員として働いている状況が作れます。 
 
<生産性向上で収入を上げる>
 
子供を育てるのに重要なファクターとして養育費があります 。年収が高い人の方が子供を持つ確率が高いという上記データはこのことを如実に表しています。要は自分の生涯収入がいくらかによって出産する子供の人数を決める傾向があるということです。
 
日本には身分格差があり、その最たるものが正社員と非正規社員です。正社員と非正規社員の間の給与格差は非常に大きく、これが格差社会の一つの原因となっています。高度経済成長時代は1億総中流化でしたが、これは旦那が正社員として働き、奥さんが専業主婦で、世帯ごとに正社員が一人という平等だったからです。現在は夫婦共に非正規社員の世帯も多く、夫婦共に正社員の世帯とは大きな給与格差があります。 
 
上記施策で家事・育児・仕事のジェンダー平等が作れた場合、夫婦共に正社員となっている可能性が高く、世帯収入全体は間違いなく上がっていると思います。また二人とも正社員であり、会社でのキャリアが持てるため、10年後には女性の管理職が増えてくるものと思われます。
さらに家事・育児が分担できるため、夫婦ともにリスキリングの機会が得られます。リスキリングによる生産性向上により、さらに世帯の収入を上げることが可能です。
 
<ジェンダー平等、生産性向上が出生率増加への道>
 
ジェンダー平等が達成され、家事・育児・仕事が夫婦間で分担され、夫婦共に正社員の共働きとなれば、世帯収入が上がります。また会社での管理職のキャリアも考えられるようになれば、子供をもっと持ってもいいと思えるのではないでしょうか。保育園はこの過程で必要な分だけ増やすというのが望ましいと思います。ジェンダー平等を実施した後での生産性向上が、出生率増加への正しい道だと思います。まずは皆様の家庭からトライされてみてはいかがでしょうか?


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