チャットGPT活用法
<G7主導によるルール作り>
G7広島サミットは2023/5/19、チャットGPTに代表される汎用的なAIの活用を巡って討議し、年内に著作権保護や偽情報対策としての見解をまとめることで合意しました。担当閣僚による枠組み「広島AIプロセス」を立ち上げ、AIの開発や利活用、規制などについて議論し、年内にその結果を報告します。
<チャットGPTはスマホにも>
米オープンAIは2023/5/18、対話型AI「チャットGPT」のスマートフォンアプリの配信を始めたと発表しました。音声入力にも対応しています。まずAppleのiPhone向けに提供し、近くGoogleのAndroidのスマホにも対応します。
<各社が参入>
米グーグルは2023/5/10、文章や画像を自動で作る生成AIを日本語を含む40超の言語で提供すると発表しました。電子メールサービスのGメールなどとの連携も強めます。
日立製作所は文章などを自動でつくる生成AI(人工知能)を独自開発します。ソフトバンクは高度な言語能力を持つ生成AIの活用を検討する新会社を設立します。
<生成AIの利用率>
精緻な文章や画像を作り出す生成AIについて、日経が読者2000人にアンケート調査したところ、仕事で使っている人は2割弱でした。興味があるとの回答は7割を超えました。仕事での利用率で最も高かったのは「情報処理・システムインテグレーション、ソフトウェア」で31%、「コンサル・会計・法律関連」が次いで30%でした。最も低かったのは「介護・福祉」で5%でした。普及した際の仕事への影響を尋ねたところ、「役に立つ」が64%でした。
使う際の懸念事項は、「情報の正確性や公平性」が64%、「著作権などの法務リスク」が50%、「情報流出などのセキュリティ」が47%です。
<今後は教育にも活用予定>
政府は2023/5/8、生成AI(人工知能)の在り方を議論する「AI戦略チーム」の会合を開きました。米オープンAIの「Chat(チャット)GPT」などの教育現場での活用策について協議し、文部科学省は今夏にも運用のガイドライン(指針)を公表すると決めました。
岸田首相は2023/5/11、政府のAI(人工知能)戦略会議の初会合で、AIの潜在力の最大化とリスクへの対応を検討するよう指示しました。首相はAIについて「経済・社会を前向きに変えるポテンシャルとリスクがあり、両者に適切に対応することが重要」「AIとの向き合い方は各国とも推進一辺倒、規制一辺倒でなくバランスを模索している」との見解を示し、日本は「G7議長国として、共通理解についてリーダーシップの発揮が求められている」と述べました。
<東京の飲みニケーションは減少>
米コロラド鉱山大学がNASAの衛星画像をもとに加工した直近2022年4月から10月のデータから光量を分析しました。コロナ前の2019年平均と比べた夜の明るさはパリで3.2%増、ロンドンで1.4%増だった一方、ニューヨークは3.2%減、東京は11.6%減でした。東京は住宅街より繁華街の落ち込みが顕著で、六本木や新宿、銀座などは軒並み15%超減りました。
ドコモインサイトマーケティングの携帯位置情報によると、2023年2月の都内の繁華街の人出は、2020年2月より2割少ないです。Google検索の人気度を調べると、2次会への関心はコロナ前より6割以上低い水準で推移します。
飲食店予約サービスのテーブルチェックによると、2023年3月の都内飲食店の来店客数は2019年平均を15%下回ります。時間が遅くなればなるほど落ち込みは顕著になり、減少率は午後6時から10時で45%、午後11時から午前2時で58%になります。
ナウキャストとJCBによるクレジットカード決済データの分析で、喫茶店の消費額は2019年比で3割伸びているのに対し、夜の客単価が高いカラオケは5割減、居酒屋は3割減です。
<チャットGPT活用法>
C-ALLとして2023年5月の月例会で「チャットGPT活用法」を検討しました。様々な意見が出て非常に面白かったです。全体的に「チャットGPTは利用すべき」という意見がほとんどでした。ただし平気で嘘をつくため、「鵜呑みにはしない」「あくまで参考情報」という考え方が多かったです。
著作権の部分についても、無料で使えるバージョン3.5までは出典が記載されていないため、どの部分から引用してきたのかが分かりません。確かに著作権に違反してる可能性があっても分からない状況です。有料版のバージョン4.0からは出典が記載されることになりました。
2000年代前半にインターネットが普及し、Google検索がリリースされて『知識』はコモディティ化しました。今まで広辞苑等で調べていたことはネットで一瞬にして検索できるようになりました。ハーバード大学の授業でも今では無料で受けることができます。
今回の「生成AI」はこれ以上のインパクトがあると考えています。今までコンサル等のホワイトカラーが持っていたノウハウがチャットGPTによって一般公開されることにより、『知恵』のコモディティ化が進むものと思われます。ノウハウや経験も生成AIによって提供されるため、その部分で差別化することは難しくなると思われます。
<生成AIとの付き合い方>
今後人間がするべきことは何なのでしょうか?『知識』を覚えるわけでもなく、『知恵』を蓄えるわけでもない。私は『判断』と『人間関係』が今後求められることだと考えています。
生成AIは様々な情報を「提供」してくれますが、『判断』してくれるわけではありません。あくまでその情報を採用するかどうかは人間次第となります。その情報が信頼できるものなのかを考えた上で、何を選択するのかは人間の『判断』となります。いくら生成AIがディープラーニング等で進化、発達したとしても、この判断の部分は人間に残ると思われます。何が本当に問題なのかを提示する問題提起力、判断ができるだけの思考力がより重要性を増してくるものと思われます。まさにグロービスの講座「クリティカルシンキング」でよく考える『イシューとは何か』に当たる部分かと思われます。
また生成AIは人間関係を構築することはできません。あくまで人と人をつなぐのは人であって生成AIではありません。人をつなぐことは人間に残されると思います。コミュニケーション力、対話力、リーダーシップと『人』に関係する能力が今後必要になると思われます。飲みニケーション力はコロナが明けた今、非常に必要な能力となりそうです。
Googleが普及したことにより、広辞苑はなくなりました。同じように生成AIが普及することにより今後消えていくサービス、製品が出るものと思われます。それは世の中の流れであり、変化に対応することが求められていると考えるべきです。不用意に恐れる必要はないと思います。チャットGPTを活用した上で、何が自分にできるのかを考えていけばいいと思います。