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老いる日本

高度経済成長期の前後から整備された道路や水道、橋といったインフラ施設が急速に老朽化しています。国交省によると2033年時点で建設から50年以上が経過する道路・橋は全体の63%、トンネルは42%、水門など河川の管理施設は62%に達します。2009年から2019年にかけ総延長距離のうち、設置から40年を超す老朽菅の比率が下がった地域は、データを比べられる全国1367のうち141と10%を占めます。
上水道は主に市町村が事業主体となり運営しています。日本水道協会の水道統計によると、国内の老朽管は約139000km、全体の約2割を占め10年で3倍に跳ね上がりました。上水道は市町村の他の事業とは独立採算で、料金収入で費用を原則賄います。財源が厳しい中で老朽管の取替え費用を得るには値上げが選択肢です。値上げには住民の理解が欠かせません。人口が減り続けると多くの地域が値上げに踏み切らざるを得ません。周辺と料金差が広がれば住民や企業がさらに流出する悪循環に陥る可能性があります。
運営を一体化してコストを抑える動きも盛んです。青森県東北町、奈良県の大半の市町村は水道事業を統合する覚書を結びました。 
 
高度成長期に埋設された水道管は材料が劣化しやすいです。水漏れなどによる水量の減少や断水といった事故は2019年度に全国で2万件ありました。2022/3/16の東北地方の地震では福島、宮城両県で最大約74000戸が断水しました。
全国の水道管で2019年度に交換されたのは0.67%で、全て交換するには約150年かかる計算となります。国交省が国内の道路、下水道、河川、港湾、空港などの維持管理・更新にかかる費用を試算したところ、2018年度は5.2兆円、2038年は6.6兆円、2048年までの30年間の合計は195兆円と見積もっています。 
 
日本のインフラは主に高度成長期に整備されました。現在は2022年ですので、50年近く経過しています。家であっても50年経てば相当古くなり、数々の修理が必要となります。道路や水道、電気、ガス、港、飛行場と様々なインフラを再整備する必要があります。
ここで問題になるのはお金です。日本の財政は非常に厳しい状況で1000兆円以上の借金があります。このような状況の中でインフラを再整備していくというのが非常に難しい状況となっています。
 
私がロンドンやニューヨークに行った際に『インフラが非常にボロいなあ』と感じたことが多々あります。今考えれば建物や機械と違い、インフラは一度整備してしまうと再整備に非常にお金と時間がかかるため、難しいからではないかと思います。逆に上海に行くと『地下鉄等インフラがすごく綺麗だなぁ』と感じるのは日本より後に整備されたからだと思いました。
 
今後世界中で自然災害が増加する事が予想されています。特に日本は地震大国です。大雨も増えています。洪水、台風、地震等で減災するためにはインフラの整備が欠かせません。ただし全てのインフラを最新鋭にするお金はありません。どの部分についてお金を使うべきなのか、今まさに賢い選択と集中が必要ではないでしょうか。 


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