あえて逆のことをする。
本日の大学はオープンキャンパスのようで。
相変わらず晴天がつづき、本日もそれにもれず快晴。雲ひとつない青空。暑い。
カラスも暑いようで、葉でかこまれた木の内部にとまっていた。影がカラスをつつみこむ。影と同化し、しずかに待っていた。暑さがどこかへいくのを。
という暑さでありましたので、オープンキャンパスでは500mlペットボトル水が無料で配られていた。よくお祭りとかで売られる形式で、コカ・コーラの印がはいった赤い容器。その中に水がはられていて、その水の中にペットボトル飲料水がはいっていた。
高校生に飲料水を渡す大学生スタッフ。「無料ですよ〜」といいながら、高校生に手渡ししていた。
「無料ですよ〜」に弱いのは人間の心理でして、ぼくもペットボトル飲料水がほしくなってしまった。人間ですから。
しかし、このペットボトル飲料水は高校生向けである。私なんて、ただの通りすがりではないか。
なんなら、水なんてさっき食堂でのんできたから、いらない。
でも、やはりほしい、【無料】の500ml飲料水が、ほしい!!
葛藤がはじまる。高校生などのオープンキャンパス客が私のうしろをとおりすぎる。私は木の影で大衆の流れに背を向けて立ちどまり、考えこむ。
「飲料水ほしい!」「いや、あれは高校生むけだ。」「というか、あきらかにオープンキャンパスに来てない、ただの大学内部の人間のやつがもらいにいくのはずかしい」
ああああああああああどうしよ。
とりあえず、「ほしい!」という欲をおさえて、その場から20メートル離れたところから10歩ほど、飲料水配布場所からはなれるように歩いた。
しかし、だ。
だめだった。
欲にかてなかった。
私は10歩ほど離れたかと思うと、Uターンして水の配布場所に歩いていった。
歩いてピットイン。そのまま歩きつつ「はい!」と女子大生にわされて、ぼくは片手でペットボトル飲料水をつかみ、無言でそのまま歩いていった。一度も立ちどまりはしなかった。そして、5歩くらいあるいてさっそくペットボトルのフタを開けた。
勝った、ぼくは勝ったんだ。
はずかしい。
私なんて水をもらう権利なんてないのに。
水をもらう前までは、そういうおもいであった。
しかし、私は勝ったのだ。「はずかしい」という自分の感情に勝ち、自分の根本にある「無料!ほしい!」という欲に従えたのだ。
私は、とてもうれしかった。
これが、今話題(?)の「コンフォートゾーンから出る」というやつなのか。
「これはこういうものだからダメ」とかで自分のおもいにフタをせず、私はこれからも根本にある欲にしたがおうとおもった。
自分の表面的な感情にさからう、つまり打ち勝つこと。ここに生の勃興がある。
もちろん、やる前はずかしいし緊張するんだけど。