表象と志向性について
【キーワード】
・表象
・志向性
さっそく、表象について。
この「表象」という漢字から意味が推測できなくて困るのは、ぼくだけではないであろう。表に出ているゾウさん!なんて意味は無い。
【表象】とは、それ自体ではない、それ「について」のもの、といったところだ。
ん?なんじゃそれ。よくわからん。
ということで、例を出そう。
まず、この文章を見てほしい。
「日本海に沈む夕日」
で、こんな光景を思い浮かべたんじゃないかな。
(絵がへたなんて、い、いわないでくれ!)
で、この夕日って、日本海に沈む夕日そのものではないよね。
あくまでも、あなたが心に思い浮かべた、日本海に沈む夕日の像だ。
つまり、日本海に沈む夕日「について」のもの。
これを心に思い浮かべた表象ということで、心的表象とも言う。
もう一つの例を出そう。
よく見る図だよね。ポケモンとかで。
そう、性別を表す「オス」のマーク(記号)だ。
でもさ、このマーク、「オス」そのものを表しているのではなく、あくまでも「オス」という性別を示しているだけだよね。
つまり、オスそれ自体ではない、オス「について」のものを表す。そう、表象だ。
今例に上げたような心的表象や記号は、それ自体ではない、それを示すものである。このように、自分自身以外の何かを志向する性質を【志向性】と呼ぶ。
志向性の性質として、
①「について」性
②間違い可能性
が挙げられる。
順を追って説明する。
①「について」性
たとえば、「小学校3年生のときの担任の先生」という文章があったとする。この文章を読むと、あなたはその先生のことを思い浮かべるであろう。それは、心が志向性を持っているから、と説明することができる。
②間違い可能性
あなたが某イレブンというコンビニでおにぎりと麦茶(500ml)を買い、レジに向かうとする。
そのとき、人に出くわす。「あ、私の母である!」と思う。
しかし、実態は違い、実は小学校3年生のときの担任の先生だった。。。
このように、心が持つ志向性により、現実と違う像を思ったり考えたりすることができるのである。
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【参考文献】
戸田山和久『哲学入門』(ちくま新書)