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人間特有の「目的手段推論」と認知デザインの進化を考える

【キーワード】

・目的手段推論

・モノトーマ

・機会主義者

・ニーズを持つもの

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人間は、目的をもって行動することができる。ある目的を達成するためにどの手段を選ぶか考えることを【目的手段推論】と言う。


目的手段推論をしたり、いますぐには達成できない夢や目標(つまりは目的)をもって努力することは他の動物にはない、人間に特有の概念であるようにおもえる。


ここで、問題が生じる。なぜ、人間には原始的生物にはないこと-手のこんだ目的を定め、達成しようとすること-ができるのであろうか。人間は、原始的生物から進化してきたのに。


これを考察するために、認知デザインの進化を考察する。


まず、認知デザインの進化の段階には6つある。ここでは、最初の3段階を紹介する。

第1段階として【モノトーマ】というもの。これは、「Rしろ」とだけしか命令が組み込まれていない。だから、「たべろ」としか命令が組み込まれていなければ、口をずっと開けて、口に入ってくるものすべてをたべることしかできない。


第2段階として【機会主義者】と呼ばれるもの。これは、「Cという条件下でRしろ」というもの。先ほどは「たべろ」しか命令に組み込まれていなかったけれど、「ハエがいるならたべろ」と条件をつければ、目の前にハエがいるときだけ口を開けてたべることになる。さっきよりもちょっとかしこくなった。


第3段階は【ニーズを持つもの】と呼ばれる。これは、「外界Cの条件かつ内界Dの条件のもとRしろ」という命令が組み込まれたもの。たとえば「ハエがいて、かつお腹が空いてたらたべろ」。第2段階と違ってきちんと自分自身の状態にしたがっえ行動しているという点で、また1段かしこくなったと言える。


なお、第3段階において注意してほしいのが、外部Cと内部Dの状態のどちらも満たされないと行為Rが発動されない、ということである。内部D「おなかすいた〜」だけでは「ハエを食べよう!」とはならない。外部C「ハエが目の前にいる」も満たされないとダメなのだ。

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参考文献

・戸田山和久『哲学入門』(ちくま新書)

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