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ミッドサマー感想(⚠ネタバレ込)

ミッドサマーを見ました

あらゆる視点で見て面白い映画なのですが、私は「えらく女性人気がある作品だな」と思い、そういうフィルターかけて見てたので、なぜミッドサマーがこんなに女性に人気なのかという視点での感想を書きます。

過呼吸気味の主人公

従来のホラー映画のように、大袈裟に悲鳴をあげることも無くトイレに行ってハァハァと呼吸をする主人公。これが彼女の情緒の落ち着け方です。

悲鳴を上げないのでどこが怖がりポイントなのか、今の主人公は何を考えているのかがわかりづらく、見ている人はかなり主人公の気持ちに寄り添わないといけなくなります。

ここで私は気づかないうちに、彼氏と別れる別れんのスレスレな友達に寄り添う事になります。アリ・アスター監督の思うつぼです。

主人公達が向かうホルガ村の人達も、村特有の呼吸をします。「ハッ!」と短く息を吸うやつです。過呼吸気味の主人公と上手くマッチしたんかなと思います。

めちゃくちゃわかりやすい

監督が何かのインタビューでも言っていたのですが、「どう?こうなるって思った通りになったでしょう?」っていうのが詰め込まれてます。

少しでもホラーを見たことがある人なら分かるでしょう。

・大学生が辺鄙な村に行く
イカれたメンバーを紹介するぜ
ダニー(主人公 過呼吸メンヘラ女)
クリスチャン(彼ピ ダニーが重すぎて別れたい)
ペレ(辺鄙な村出身)
マーク(色ボケアホの子)←死亡フラグ
ジョシュ(研究狂い)←死亡フラグ

・やたらイチャつくカップル(婚約してるとか言う)←死亡フラグ

・ガンギマリの薬物

・ジジババが主役の不穏な儀式←死亡フラグ

・その土地の変な飲み物や食べ物

・やっちゃいけないことをやる←絶対なんかある

・勝ち戦みたいなダンスバトル

・逃げ込んだ先の謎の小屋←絶対なんかある

もう見えるここで何かあるの絶対わかるシステムやし、死ぬやつもわかる。
だからホラーに慣れてない女性なんかはハラハラしすぎずに見やすい。
グロ描写は見せるグロって感じで、その話の流れに沿ったグロ。
真っ暗の中から突然!みたいなのは私が思うところないし、何せ主人公が過呼吸タイプなのでホラー映画にありがちな「キャー!!」という悲鳴もない。

女と女、男と男の姿

私がすごく気になったのは、女同士の関係と男同士の関係なんだよね。
最初にクリスチャンからダニーの恋愛相談を聞く男友達連中なんてのは、「そんなやつさっさと別れろよ」みたいな感じで接しているんだよね。

一方で性の儀式を見た後のダニーに対するホルガ村の女性たちはダニーの過呼吸に合わせて呼吸をし、一緒に泣くのね。

あらまぁまさにその通りじゃないのさ。
男友達はアドバイス、別れちゃえと軽いのに対して
女友達はわかるよぉ辛いよねぇ、私も悲しくなっちゃうよと共感しているのです。

ここで、ペレの妹のマヤがクリスチャンに惹かれてると言ってからの女達の動きを見ていきたい。

これは何かのメロドラマ

ペレが「妹がお前の事気になる」とクリスチャンに伝えて、性の儀式に向かうまでに行われた事。

・マヤが恋のおまじないをクリスチャンにかける
※陰毛パイと経血ジュース
(この日に経血ジュースを提供できるということは、性の儀式は生理中?)

・村のえらいおばはんがクリスチャンを呼び出して「あんたとマヤめっちゃ相性ええねん!」と言う
第三者の恋の応援って大変頼もしいもんですね。

・ダニーのダンスを虚ろに見ながらガンギマリジュースを飲む

ガンギマリジュース飲んだ前後の虚ろな感じって、何か恋人の事全然好きじゃ無くなった時にすごく似てるなーと私は思いました。
ここでクリスチャンのダニーへの思いはプッツーンと切れてしまったんじゃないかな。
一緒に帰ろうとも思わないし、帰れたとしても恐らく別れていたでしょう。

・ダニーが何か大事っぽい仕事してる最中に性の儀式
浮気ってのは大体相手が忙しい時に行われるもんですね。

そしてここからが私がこの映画で1番好きなシーン

・大事っぽい仕事から帰ってきたダニーに、
一緒に仕事してた友達(ダンスとかで仲良くなったニコイチのズッ友♥)から
「ダメよ!そっちに行ったら!」と止められて、覗いて見たらハメてる彼氏。
過呼吸になりながら泣くダニーと一緒に泣く村の女連中。

これを簡単に我々がよく見る状況で表現すると
友達「あんたの彼氏今よその女といてんで!そっち見たらあかん!」
ダニー「最低!!傷ついた!!」
友達「本当にあんたの彼氏最低や!はよ別れな!友情なら絶対崩れへんから!!」
ダニー「ほんまやね…ぅちらズッ友やで…」

何か知ってますね
この感じって女性が女性のコミュニティで生きてきたから、何となくわかる感覚なんですよね。
私は夫と見ていたのですが、
夫は何であそこで「見たらあかん!」的にけしかけるような言い方したのかわからないって言っていました。
この感じを出せるアリ・アスター監督は男性なので、大変な変態やと思います。(褒)

別れる時はちゃんと嫌いになってから

私がこの映画から得た教訓は、
「恋人と別れる時は未練を残さず、ちゃんと嫌いになってから別れた方がいいよ」と言うことです。
未練を切る手伝いを女友達がしてくれんだね🌷

女性人気が出るのは映像の美しさだけではない事が、わかってもらえたかと思います。
あぁ…わかるわぁの塊なのです。

他にも、カルト教団的な見方、伏線の張られ方、サブリミナルとか色々注目して見るところは沢山あります。

公式が解説を提供している時点で2回目以降見せる気満々ですな!!

私はこの作品、ダニーがクリスチャンと別れるために、あのクソ野郎!頭の中で100回ぶん殴ってやった!的な話だと思っています。
ホルガ村のメルヘンチックな感じも女の子のイメージする北欧って感じでしょ?😘💕

「最初に観たときはフォークホラー映画を観ていると感じるだろう。そうできているからね。でも、もう一度観ると、全く違う風に感じ取れるはずなんだ。ホルガとこのコミュニティは豊かな伝統と古い歴史があり、本当に人々が暮らしていると感じられる場所にしたかった。でも同時に、ダニの欲求を叶えるためだけに存在する場所だと感じてほしかった。ホルガがダニの意志を体現した場所だと思って、本作を観ることもできる」

と、本人もこのように言うてましたね。

何かダニーの事、わかっちゃう気がしない?
これは恋人と別れたい女の子の背中を押してくれる映画です。

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