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DV加害者の歪んだ心理とその特徴

DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、「身体的」、「心理的」、「経済的」、「性的」な暴力の総称。恋人、事実婚者、夫婦、元夫婦などがその対象となる。

DV被害に遭われた方たちが公的機関の相談窓口に相談される被害件数も年々増加の傾向にある。DVによる悲惨な事件のニュースを見る機会も増えたように思う。

この記事では、DV加害者と被害者の特徴やその心理についてお話したいと思う。(テーマがテーマなので少し長くなる)

■DV被害の現状

日本ではDVという言葉についての細かな定義はないようだが、「恋人や配偶者などの親密なる関係にある者、あるいは過去にそういう関係にあった者から受ける暴力」という意味で使われている。

恋人や配偶者などからの暴力を防止し、被害者を守ることを目的として「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(=DV防止法)」が2001年に制定されている。

この「DV防止法」は、女性だけを被害者として限定はしていないが、その割合で言えば被害者はやはり女性が多くを占めている。

内閣府が出した平成30年の「男女間における暴力に関する調査報告書」によると、女性の7人に1人は男性から何らかの暴力(DV)を受けていたと報告されている。

警視庁の発表によれば、2019年の1年間に配偶者などから暴力(DV)を受けた被害件数は8万2,207件で、前年の2018年より4,725件(6・1%対比)増加したようだ。これはDV防止法が施行された以降で最も多い被害件数となっている。

DV被害者の78・3%は女性であるが、男性が増加傾向にあり、2年連続で2割を超えたとのことである。これは女性が強くなったのか、それとも男性が弱くなってきたということなのか?世代別では、20代が23・6%、30代が27・6%、40代が24・0%とのことである。

一般的に言って、夫婦喧嘩、痴話喧嘩と暴力との境界線ははっきりとしない。余りに度が過ぎてしまうとそれは暴力となるし、そこは程度の問題としか言いようがない。しかし、暴力はエスカレートすることが多い。

暴力というものがいったん容認された形になってしまうと、人間の感情として、その行動はますますヒートアップしていく傾向にあるので、そのまま放っておいてもいいことは起こらない。

しかし、単純にすべてのケースにはっきりとした線引きをして加害者を罰するということもなかなか難しいようだ。そこがDV被害の一番の問題になっている。

DV被害者が年々増加してきている理由、その原因というものはいったい何なのだろうか?

■DVの種類とその特徴

DV(暴力)には、次の4つの種類がある。

1. 身体的
2. 心理的(言葉・精神的)
3. 経済的
4. 性的(強要)

具体的には、

• 身体的な暴力(殴る・蹴るなど)
• 物に当たる、物を壊したり、投げたりする
• 「バカ」「能ナシ」等の言葉の暴力
• わざと無視されることがある
• 携帯電話の中身をよくチェックされる
• こちらの行動を束縛してくる
• 嫌がっても性行為を強要してくる
• なぜ子供ができないと責める
• 仕事をしているのに生活費をくれない
• 裏表が激しい
• 情緒不安定
• 気が向いたら優しくしてくる

さらに、DVには次の3つの大きな特徴がある。

1. 威嚇(脅す)
2. 孤立させる(無視・監禁)
3. コントロールする(洗脳)

DVの予防や加害者に対する対策を考える上で重要になることは、この様な特徴や種類をもとにして自分が受けているのは暴力そのものであると自覚するだけではなく、お互いにとっての「関係性の暴力」であることを理解することである。

自分は今どういった立場であり、どういう力関係が出来あがっているのかをよく考えてみることだ。

もしかして、次のようなことが行われていないか?

• 家族や友人に会わせない
• 監視カメラや盗聴器などを使って監視されている
• 外出時に、行先や、誰と会うのか、をしつこく聞いてくる
• 服装や、寝る時間までも管理しようとする
• 「お前は何の価値もない奴だ」と何度も罵倒される
• お前が悪いと言って謝罪させる
• こちらのプライバシーを明かすと言って脅してくる

これらは「関係性の暴力」と呼ばれているDVだ。

●関係性の暴力

「関係性の暴力」についての具体例

・買い物に行く時はいつも一緒についてくる
・自分好みの女性になってくれ」と求めてくる

・自分が自分でなくなってしまう様に感じる
・交通の便の良くないところに住んでいるのに『おまえの運転が下手だから』と理由をつけて免許を取らせようとしない
・だから、結局はいつも彼の車で一緒に行動するしかない
・習い事を始めると、講師は男性なのか?と聞いてくる
・同窓会に行くと伝えると、途端に機嫌が悪くなる
・DVを受けて実家に逃げていた時、すぐに後を追いかけてきたり、頻繁にメールが入ってきたりするので、結局は何だか一緒に生活している方が落ち着くし安全だと思ってしまったことがある
・家に帰って来ると、今日一日の行動を事細かに確認してくる
・別れるなら死んでやる、と言われるとなかなか別れることができず、結局は元の関係に戻ってしまう


このように被害者と一見親密な関係を保ちながら、愛情という名のもとに生活を操作しようとする。これらの行為が全部DVであるというわけではないが、お互いの関係性には歪んだ愛が存在するように思える。

これらはお互いに対等な関係性の上には立ってはいない。夫婦間の不公平な関係性は子どもや家族の心の中にも波及し存在するようになる。

お互いの関係性による行動が次のようなものであった場合、これらは「関係コントロール型暴力」の兆しとなる。

• 強いられたものである
• 不公平な形である
• 同意のない強制である

「関係コントロール型暴力」であるDVは、家族の関係性の中にも存在する。家族の中に成立している不公平そのものがDVであるとも言える。

●DV加害者の心理とは?

では、DVをする人の心理とは?

• 自分は馬鹿にされている(過剰な自尊心と被害妄想)
• 暴力もコミュニケーションの一つである(理不尽な論理)
• 自分の考えは間違っていない(自己顕示欲)
• 自分の暴力はお酒のせいだ(子供じみた言い訳)
• 大したことじゃない(自分にとっては)
• 相手が自分を怒らせるから悪い(自分勝手な言い訳)
• 暴力も自分の愛情の証しだ(すり替え)

この様に加害者に非はなく、被害者が悪いという意識(他罰性)を加害者は持っている。被害者のせいで自分は暴力を振るったという意識が加害者にはある。自分を正当化した被害者非難である。

これらは全部自分勝手な言い訳であるが、加害者側が自分の振るった暴力を正当化するために用いられる。この心理には、暴力を通して得られる満足感達成感征服欲が満たされるという感情背景がある。

DVによって被害者の心は次第にねじれていき、その結果「このまま関係を続ける方が安全だ」という間違った意識状態になることがある。これは被害者が加害者の意識を取り込んだ一種の生き残りのマインドコントロールである。

加害者は、被害者の自責の念を巧みに操作しようとする。

これにより、被害者は自己を非難して、自分の価値を低く感じてしまうようになる。経済的に加害者から自立できないのであれば、増々その関係性は確実なものとなっていくだろう。

そして、DV加害者はこれを繰り返すことになる。

夫婦の間に子供がいた場合、子供にも暴力が及んでしまうかもしれない。度重なる暴力を受けた子供は、それがトラウマとなり、その後の人生に大きな影を落とすことになる。

●DVを受けた人の特徴

DVを受けた人の特徴は、

• 尽くすタイプの人(従順)
• 不倫経験者(負い目)
• 育った家庭にDVがあった(恐れ・トラウマ)
• 無視ができない(恐れ)
• 罪の意識を持ちやすい人(自虐的性格)
• 自己評価の低い人
• 言いたいことが言えない人

具体的には、

• 加害者から暴力を受けても我慢する
• いつも加害者の顔色を伺ってしまう
• 自分が悪いからだと思い込んでしまう
• 強く言われると最後は断れない
• 約束を破れない
• 言いたいことが言えない
• 諦めてしまっている

加害者から逃げた後、捕まえられてさらなる暴力を受けることを考えると、このまま加害者と一緒にいた方がむしろ安全であるという心理となり加害者から離れられないようになってしまうことがある。

ちなみに、DVによる離婚で慰謝料が高額になる理由としては、次のようなものが挙げられる。

• DVを受けていた頻度
• DVを受けていた期間
• DVによるケガや障害の度合い
• DVによるPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症しているか
• 加害者側の落ち度
• 結婚していた期間
• 養育が必要な子どもの年齢と人数
• 被害者と加害者の年収

■DV加害者から逃げる

離婚や慰謝料などを考えるよりもとにかく加害者から逃げたいのなら、小規模、中規模クラスの引越し業者の中にDV加害者から避難するための「引越しプラン」を用意しているところもあるようだ。

・逃げたいけれど逃げられない
・逆恨みが怖い

このように「自分ではどうしたらいいのか分からない」というときは、警察に相談した上でこうした引越し業者に引っ越しを依頼する方法もある。

DV被害者の方から市区町村に対して住民基本台帳事務におけるDV等支援措置を申しることによって、加害者からの「住民基本台帳の一部の写しの閲覧」、「住民票の写し等の交付」、「戸籍の附票の写しの交付」の請求申出があっても、市区町村はこれを制限拒否することができる。

また、親密な関係性における暴力から被害者を守り救済する法律もある。地方裁判所からDV加害者に対して被害者に「近寄ってはいけない」という「保護命令」を出してもらうことができる。加害者がそれに従わない場合は刑事罰を科せられることになる。

DV加害者からの暴力について相談できる「配偶者暴力相談センター」の窓口やその機能を有する機関が全国にある。相談やカウンセリングのほか、被害者(子どもなどの同伴者を含む)の安全の確保、一時保護、日常生活の支援、さらには就労支援などもあるようだ。

女性が妊娠しているにも関わらずDVを受けるケースもあり、そういった場合には、母体保護の観点から言っても迷わず支援を求めるべきだろう。

■まとめ

私の私見だが「暴力」「ギャンブル」「浮気」はほとんど病気であり、なかなか治すのは難しいと思う。もし本気で治す気なら、お互いに余程の覚悟がない限り変わることはないのではないか。

愛していても、必ず一緒に生きていけるとは限らないと思う。お互いの幸せを考えれば別れが必要になることもあるだろう。

相手が精神的に異常な人間なら法的手段は必要だ。しかし、その際は取り返しのつかない事件にならないように細心の注意を払って用意周到な計画を進めるべきだ。

自分や身内だけで解決しようとせずに、警察、弁護士、引っ越し業者など、その道の専門家に相談することは大事なことだと思う。


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