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奨学金を「借金」から「自己投資」へ
私は380万の借金を抱えて無職で大学を卒業することになりました。
就活に失敗した上に奨学金の返済が始まるので、当時はまさにお先真っ暗って感じす。
不安があると自然と守りの姿勢に入っちゃうんですよね、懐事情も一緒で経済的な不安に取り憑かれるととにかく出費を抑えようとしてしまいます。
何かしたくても「お金を使っていいんだろうか」「もったいないんじゃないだろうか」と財布の紐を締めてしめてしまいます。
最近ニュースで聞く「体験格差」なんて言うのもこういう所から来てるんだと思います。
どんどん内向的で出不精になってしまい、大学時代は友達もおらず、どうにか社会人になった後も劣等感から帰っては酒飲んでゲームばかりしていました。
そもそも目標も無く大学に入ったのが間違い、こんなことなら奨学金を利用せず高卒で働いて手に職つけたほうが良かった、とさえ思うこともあります。
しかし文句ばかり言っていても仕方ありません。借りたものを返すのは世の常であり信用の第一歩。
そして、見方を変えれば奨学金はとてもありがたい制度っていうことが大人になってからわかりました。
実は有利な奨学金
私のケースをざっくりした表した数字ですが、日本学生支援機構の奨学金で約380万の借入、20年の返済期間、利息の総額は約43万でした。
金利は1.08%の固定金利で設定されていました。金融機関などでも教育ローンを組むことができますが金利1.5%~3.5%のものが多いようです。
そう考えると金利が非常に低い、つまり借り手にとって有利になっています。
そもそもの話として、教育費が準備できない(=資金力がない(=経済的な信用が無い))個人に対して20年という長期間の返済期間で大金を貸すこと自体が大変有難い制度であること知るべきだと思います。
信用力が無いほど(返ってくるか心配だから)高い利息が課され(返ってくるか心配だから)短期間で返済しなさいとなるのが通常の金融です。
単純な話、お金持ってなくてちゃんと働くかもわからない人にお金貸さないですよね。
奨学金は学業を修め、そのスキルで社会に貢献するという将来性を信用としてお金を貸しているわけですね。
借金という一面だけで批判されがちな日本の奨学金制度ですが、FPとして多少なりとも金融や経済の知識を知ってからは、お金の無い個人に対してお金を貸すということ自体が貴重なんだ思うようになりました。
単なるモラトリアムの延長のために大学に行くのではなく、学問やスキルを身につけるために一旦お金を借りるという意識が大切です。
資格勉強のためにテキストやスタディアプリにお金を払うのと結局は同じことだと私は思ってます。
奨学金制度を過大に恐れず、社会で戦うための武器を作り上げるための「自己投資」と考えれば、当時の私のように精神的に路頭に迷うこともなくなるでしょう。
2021年4月からスタートした企業による代理返済
新たに始まった動きとして、企業による代理返済があります。奨学金の返済は、借入者本人が日本学生支援機構へ送金することになっていましたが、2021年4月より企業による直接送金の受付を開始しました。
企業が直接返済できるようになることで本人にとっては返済部分が課税されずに済むし、企業も損金に算入できるため双方にメリットがあります。
こちらのページでは代理返済制度を導入している企業が掲載されています。奨学金を利用中の学生は就職先の選択肢に入れるのもいいかもしれません。
借金を背負うという側面に目が行きがちな奨学金制度ですが、普通にお金を借りるより相当に有利なのは上述の通りです。
奨学金制度を「借金」ではなく「自己投資」という目線で捉えられるようになると、学業への励み方もまた変わるかもしれません。
奨学金を「借金」から「自己投資」へ
私自身の話として、私はなぜ奨学金を借りたのか?と聞かれても「そういう風潮だから」とか「親に行けと言われたから」と答えるでしょう。学びたいことが無く、そもそも自分の人生に関心が無かったんだと思います。
今まさに奨学金で学業に励んでいる方、卒業して返済中の方、あるいは中退などした方もいるかもしれません。
どんな人生であれハンドルを握っているのは自分自身ということを忘れないでほしいです。ゆっくり走っても後ろから煽られるし自分がどれだけ安全運転しても周りから巻き込まれることもあるかもしれません。
自分がどの道を走りたいのか明確な人は少ないです。ただ、どんな着地点を目指したいのかを想像すれば道がある程度見えてくる可能性はあると思います。
私は「孤独で死にたくない」という着地点を目指して「見た目がカッコいいわけでも無いから誰かと居るためには他人に貢献できるようになろう、奨学金借りて不安だったし、お金の不安ってみんなあるよな」と考えてFPの資格を目指すことにしました。
この道が正しいかはわかりません。ですがこの道を選び続けている間は少なくともネガティブから解放されて前だけ見ていればいいので楽です。
正しいか正しくないかわかりません。でも楽です。
なので奨学金で借金したという側面だけに目を向けるのではなく、その上で次にどこを目指すのか、何か学びを得ていないか、と視点に変えて前を向いてはいかがでしょうか。もしかしたら多少は気持ちが楽になるかもしれません。