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『ファンベース』|広報読書メモ

多い時で週5~6冊の書籍を乱読します。せっかくnoteを始めたので、読んだ書籍の記録(とシェア)もやってみることにしました。

今日は『ファンベース -支持され、愛され、長く売れ続けるために』。新書なので読了時間はちょうど1時間くらい。
帯には「これからのマーケティング必読の書」と記載がありますが、個人的に、広報PRを考える上で、そして組織運営を考える上でものすごく参考になりました。
今まで考えていたいろんなことを補強できる一冊だったし、何よりも改めて自分の仕事が好きになりました。


『ファンベース』(佐藤尚之著/ちくま新書)ってどんな本?

<目次> 
はじめに ファンベースは、あなたが思っているより、たぶん、ずっと重要だ
第一章 キャンペーンや単発施策を、一過性で終わらせないために
第二章 ファンベースが必然な3つの理由
第三章 ファンの支持を強くする3つのアプローチ~共感・愛着・信頼
第四章 ファンの支持をより強くするる3つのアップグレード~熱狂・無二・応援
第五章「全体」をどう組み合わせ、構築するか
第六章 ファンベースを楽しむ(もしくは実行の際のポイントの整理)
あとがき

背景にある時代変化のようなマクロな話から、事例の紹介、実行手段までぎゅっと入った一冊で、これが1000円以下で学べるのはめちゃくちゃお得。ちなみに筑摩書房さんが「はじめに」を公開しているので、興味がある方はここだけでも読んでみるのをお勧めします。

著者は元電通の佐藤尚之さん。この記事を書くにあたって少し調べたら、PR Tableさんや朝渋さんがさとなおさんをゲストに、この本で伝えられた考え方についてのオフラインイベントを実施していらっしゃいました。今更だけど、行きたかった……


・・・

「ファンベース」とは、ファンを大切にし、ファンをベースにして(ベースには、土台、支持母体などの意味がある)、中長期的に売り上げや価値を上げていく考え方とのこと。

「伝書鳩広報ではなく、企業のファンづくりのお手伝いをしています」と去年の春くらいからずっと言っているんですが、あぁ〜これ、私のための本だ! と嬉しくなりながら一気に読みました。単純。


抱きしめて眠りたい&クライアントさんとシェアしたい言葉たち

この本の中で思わずラインを引いた表現の中から、いくつかを以下に転記します。もうね、これは私のクライアントさん全員に転送したい。

いったい世の中に、自分たちが愛している商品の価値を支持してくれる「ファン」を喜ばすことほど、楽しい仕事が他にあるだろうか。
ファンを大切にする、楽しいファンベースの世界へ、ようこそ。(p.16)
ちなみに「ファンの数を増やし資産化する」のではないことに注意してほしい。資産化するというと「ファン・コミュニティの参加人数を増やす」みたいな「数」の発想になる人がいるが、ファンとは「企業やブランド、商品が大切にしている価値を支持している人」だ。短期施策や単発施策で気づいてもらった「価値」に対する「好意」を積み重ねていくことが必要だ。(p.31)
そのキャンペーン、その広報リリース、そのイベント告知、そのバズ記事。
あなたの担当商品にまだなんの興味関心もない新規顧客たちが、本当に受け取ってくれると思いますか? もし確実に受け取ってくれる人がいるとするならば、それは「その商品にすでに興味関心がある人」だ。「ファン」である。(p.63)
同好の士が集まると盛り上がる。なぜ盛り上がるかというと、一般人とはできない「マニアックな話=偏愛な話」ができ、しかもお互い発見し合うからである。
この「偏愛」と「発見」こそ、ファン・ミーティングのポイントだ。(p.104)
SNS担当者が重要なのは、「日々の愛着を強められるから」である。(中略)単なる企業からの一方的お知らせを発信するのが彼らの仕事ではない。SNS担当者は、他に代え難い愛着をつくってくれる貴重な存在なのだ。(p.133)
それは誠実なやり方なのか、ゼロから考え直してほしい。(中略)ファンはそういう誠実な企業の態度を、必ずや支持してくれる。そして、彼らこそが売り上げを支えてくれている。(p.152-154)
「アイドルの条件は、単なる美人ではなく、応援したくなるかどうか」(中略)全員に好かれる必要はさらさらない。20%のファンに好かれること、信頼されること。それが大切なのである。(p.212-213)

・・・

全体的に「キレイゴトだよね」とまとめられそうな内容ですが、そのことについても著者は最後に語っています。

上司から業績への影響を問われたり、日々の数字に現実的に向き合っていると、ファンベースなんか単なるキレイゴトに思えて、空しく思える日もあるかと思う(実際には売り上げに直結しているのだけどね)。
でも、あえてキレイゴトを言うが、あなたは人生において何を大事にするのかと言うことを試されているとボクは思う。何のために会社に入り、何のために仕事をし、何のためにその商品を売っているのか、である。
(中略)
キレイゴトを楽しもう。キレイゴトなくして何の人生か、とボクは思う。(p.269)

あー引用タイピング疲れた。でも、改めて写経してみて、やっぱりこの本の考え方には共感するところが多かったです。
PRパーソンが誠実に世の中と向き合うことを忘れたら、その企業の価値を高めることなんて絶対できません。嘘は全部バレる時代だよね、本当に。

あと、個人的に感じたこととして、「私自身、最近熱狂したことは何だ?!」と自分自身を振り返るきっかけになりました。

広報PRの仕事をする上で、自分自身が何かにのめり込んだりハマったりした経験って絶対活きる。
だけど最近頭で考えすぎて「これ好き!」「楽しい!」「応援したい!」っていう心のざわざわとウキウキをあえて封印していたような気もして。この封印は即刻解除すべきですね。

自分の感受性くらい、自分で守れ、ばかものよ。

3分でわかるファンベース

最後に、本を読む気力はないけどエッセンスを知りたい人のために、以下は書籍に書いてある内容のメモです。

ファンベースが必然な3つの理由
(1)ファンは売上の大半を支え、伸ばしてくれるから
(2)時代的・社会的にファンを大切にすることがより重要になってきたから
(3)ファンが新たなファンを作ってくれるから

短期施策が効かなくなってきた現代において、重要なのはファンに売り上げの大半を支えてもらいつつ、それをベースに短期施策や単発施策を連動させて新規顧客を増やしていくこと。
カンフル剤のように短期施策を打ち続けるのではなく、ブランドや価値、そしてユーザーとのコミュニケーションを育てていくことで安定して売れる状態にする。ファンベースはそのための中長期施策。

で、どうやるの?という部分のまとめ。

「共感」を強くするには?
A ファンの言葉を傾聴し、フォーカスする
B ファンであることに自信を持ってもらう
C ファンを喜ばせる。新規顧客より優先する
「愛着」を強くする
D 商品にストーリーやドラマを纏わせる
E ファンとの接点を大切にし、改善する
F ファンが参加できる場を増やし、活気づける
「信頼」を強くする
G それは誠実なやり方か、自分に問いかける
H 本業を細部まで見せ、丁寧に紹介する
I 社員の信頼を大切にし「最強のファン」にする

      ー 「第3章 ファンの支持を強くする3つのアプローチ」より

さらにファンベースを進めるには?のまとめ。

「熱狂」される存在になる
J 大切にしている価値をより前面に出す
K「身内」として扱い、共に価値を上げていく
「無二」の存在になる
L 忘れられない体験や感動を作る
M コアファンと共創する
「応援」される存在になる
N 人間をもっと見せる。等身大の発信を増やす
O ソーシャルグッドを追求する。ファンの役に立つ

ー 「第4章 ファンの支持をより強くする3つのアップグレード」より


読書メモ、なかなか良いな。また気が向いたら書きます。

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それでは、今日も良い1日を。

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