とんかつは揚げ物? それとも・・・?
焼く、煮る、揚げる、蒸す、生、炒めるなど、調理方法はたくさんあります。
ステーキは「焼く」肉じゃがは「煮る」コロッケは「揚げる」茶碗蒸しは「蒸す」刺身は「生」回鍋肉は「炒める」となりますね。では、
「とんかつ」はどの調理方法でしょうか?
「とんかつ」といえば、豚肉に衣をつけて揚げるわけですから、当然「揚げる」ですよね。
ところが、これを「蒸し」料理だという人がいます。
「蒸し」料理とは、どんな調理法なのか。
これは直接熱を加えるのではなく、蒸気を使って間接的に熱を加える調理法です。
なぜ、とんかつが蒸し料理なのか?
それは、調理の最終工程である、「蒸らし」にあるということです。油の中にいる間に完全に熱を通すのではなく、油から上げてから「余熱」で火を通すのです。
その時とんかつに何が起こっているのかというと、衣の中で豚肉からでた蒸気によって肉に熱を加えているのです。なので、衣の中が蒸し器状態になっているといえます。
なるほど言われてみれば確かに、そういう見方もできるかも。
言ってみれば、油で揚げている間というのは、蒸し器に水を入れて火にかけて、蒸し器の中に蒸気をためている状態と言えるのかもしれません。衣で包んだ蒸し器を素材である豚肉の水分を蒸気にして溜めているということですね。
こうする事で、肉に熱が加わりすぎて、固くなることもなく肉汁が出ないのでジューシーに仕上がります。
この「余熱」というもの、大切です。焼くにしろ煮るにしろ、火を止めてからもしばらく加熱されていきます。ですので、その分を計算して加熱を止める必要があります。冷やすものであれば、すぐに熱を取るので、最後まで火を通して問題ないです。温かいものであれば、なんとなく作ってすぐに食べたくなるので、しっかり火を通してしまいがちですが、実際には盛り付けて食べ始めるまでの時間があります。その間に熱が加わります。この「余熱」をある意味うまく利用する事でさらに美味しくできるのです。
家庭でもおいしい「とんかつ」ができる
とんかつを家庭で作るのって大変ですよね。油の処理もありますし、衣が固くなってサクサクした衣にならないので、美味しく作れない事が多いと思います。
でも、蒸し料理と考えると、油に入れている時間は少なくて良い事になります。もちろん肉の厚さにもよりますが、衣が固くなりすぎる前に油から揚げて蒸らすことで、美味しい「とんかつ」ができるのではないでしょうか。
肉の厚さと揚げている時間、蒸らす時間のバランスはいろいろ試して、絶妙なバランスを見つけてみて下さい。きっと家庭でもおいしい「とんかつ」が作れると思いますよ。注意事項としては、パン粉をムラなくつける事ですね。蒸し器として密閉していないと、蒸気が逃げてしまって蒸す事ができませんから。
ここでは代表例として「とんかつ」としましたが、「チキンかつ」や「メンチかつ」でも同様です。ただ、「メンチかつ」は最終的にしっかり火を通す事が望ましいので、気をつけて下さい。
牛カツは、火の通り具合がレアで行けるので、あまり深く考える必要はなく、表面に火が通っていればお好みで問題ないですよ。
今回も最後までご覧頂きありがとうございます。お役に立てたら嬉しいです。
岡本昌巳