人生を支えてくれた3人の女性の話~序章
物語を始める前に、自己紹介と家族の話をしておこう。
私は今年30歳になるサラリーマンである。身長は173cmで筋肉質、かろうじてまだ禿げてはおらず、顔も人に嫌悪感を与えることはないであろう、所謂普通の男だ。同じ職場で働く3歳年下の女性と26歳で結婚し、双子を授かっている。
一応東京生まれ東京育ちだが、14歳で日本を離れてしまったため東京の事を聞かれてもさっぱり分からない。ただ、地方では東京出身であることを伝えると一目置かれる節があるので、いまだに有効活用させてもらっている。
幼少期は体が弱く、幼稚園の卒業アルバムに載っている全ての集合写真で右上の丸い窓に居るほど病欠が多かった。体も小さく、食も細く、親となった今では両親の苦労が分かってしまい居た堪れない気持ちになる時がある。
そんなこともあってか、小学校に上がるタイミングで色々なスポーツをやらされた。水泳、サッカー、体操で週7日全てが埋まる日々が小学校3年生まで続いた。結果的にそれが功を奏したのだろう、体調を崩すことはほとんどなくなっていった。
父は外資系企業で働いていて、同じく職場結婚だった。羽振りもよく、普段家に居ることは少なかったが、頻繁に海外旅行に行っていたし欲しいものは基本的に何でも買ってもらえた。ゲームや漫画が教育上あまり良くないとされていた時代だったが、好きなだけやらせてもらっていた。怒られたことなど記憶にないほど、優しく尊敬できる父だ。見た目は怖いのだが。
母は有名女子大出身で賢く料理上手、見た目も美人(私は分からないが、周りはそう言っていたので多分そうなのだろう)、まさに才色兼備だった。ただ、周りに気を使い過ぎるため精神的に弱ることが多かった。そんな母でも、幼少期文句ひとつ言わずに病院へ足繁く通ってくれていた優しさに、今になって感謝している。ただ、今でもちゃん付けで呼ばれるのは、ちょっと気恥ずかしい。
そして4つ年上の兄。現在は大手医薬品メーカーで働くエリートサラリーマン。1つ年上の女性と結婚し、2児のパパだ。
今でこそ友達のような存在だが、嫌いになった時期も多々ある。兄弟なんてそんなものだ。多分他の家族に比べれば幾分マシなほうじゃないだろうか。
私の大まかな情報はこれで十分だろう。
物語は、人生で初めて愛した女性との出会いから始めよう。
つづく