司法試験予備試験の勉強
1.司法試験予備試験
0.はじめに
このnoteは、司法試験予備試験の勉強法について知りたい方向けの記事です。DMなどで質問をいただきましたら、それについても記事に追加しようと思いますので、よろしくお願いいたします。
1.司法試験及び司法試験予備試験とは
この項目では司法試験及び予備試験とは何か及び試験の日程等について説明します。ご存じの方は飛ばしていただいて結構です。
司法試験とは法曹資格を得るための国家試験であり、司法試験合格後、一年間の司法修習という研修期間を終えることで、弁護士や裁判官、検察官となることができます。
司法試験は現在7月中旬にあり、その内容は短答式試験及び論文式試験の二つに分かれています。
短答式試験では憲法、民法及び刑法の計3科目の条文、判例、学説についてのマーク式の問題があります。その際六法は参照できません。論文式試験では憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法及び選択科目の計8科目について論述で答えます。
司法試験の受験資格を得るためには、法科大学院へ行くか、司法試験予備試験を合格する必要があります。
司法試験予備試験は7月の短答式試験、9月の論文式試験、1月の口述試験の三つに分かれています。短答式試験では7科目に一般教養を加えた8科目、論文式試験では7科目に選択科目、民事実務基礎及び刑事実務基礎を加えた10科目からなります。口述式試験は民事系刑事系の二日間あります。
2.予備試験に合格すれば
予備試験に合格すれば、弁護士就活、任検任官がしやすくなります。
合格率3~4パーセントであり、予備試験合格者は9割が司法試験に合格する以上、学力においては優秀性が担保されるためです。あまりにも人格が良くない場合は例外ですが…
そして何より法科大学院に行かなくても司法試験を受験することができるということが利点です。法科大学院の教育に賛否はあると思いますが、少なくとも法科大学院の学費を支払わなくてよいということ、早く社会に出られるということはよいことであると考える人が多いのではないでしょうか。
ほかにもいろいろあるとは思いますが、割愛させていただきます。
2.勉強法
1.私の勉強(これは決して最善ではありませんし、飛ばしていただいて結構です)
私は予備試験合格までは、アガルートという予備校に入学し、総合講義という基礎授業を受講し、重要問題集という問題集をやったのち短答過去問、論文過去問、そして実務基礎対策の本を読むなどしました。
総合講義では7法について学びました。各科目の講義が終わればその科目の重要問題集の問題及び解答を読み込み(最初は答えられるはずがないので答えようとしなくてよいです)、問題提起規範あてはめの色分けをしつつ、規範部分や使う条文など、何を覚えていればよかったかを考え、そこで使われている論証を覚えるという作業を繰り返していました。憲法は合格思考憲法を読みました。
論文試験で使わないマイナーな知識であるけれど、短答試験には使う知識はすべて短答過去問で覚えて、わからなかったところは、ネットなどで確認していました。
選択科目は労働法を選択しました。伊藤塾のシケタイ労働法を読み、労働法事例演習で問題の解き方を学び、シケタイに付属していた論証集を覚えました。
実務基礎科目は、刑事実務基礎の定石という本と、大島本(複数そう呼ばれるものはありますがその中で民事裁判実務の基礎入門編これはおすすめしませんが)、の2冊を読みました。
短答式試験3か月前までは、総合講義を聞いたのち、重要問題集の問題を見て答案構成をして、論証を覚えるという作業を繰り返し、その後短答過去問パーフェクトという過去問集をやり覚えていなかったところを繰り返しやりました。短答式試験が終わったのちに、労働法には手を付けました。
その後は過去問の解答例を見て足りなかった知識をつけ、論証を覚える作業を繰り返しました。
口述試験対策としては、基本刑法各論、刑事実務基礎の定石、大島本、アガルート民事実務基礎1問1答、(紛争類型本)、基本刑事訴訟法論点編、六法などを読みました。
2.ゼロから始める司法試験予備試験(おすすめの勉強法)
予備試験受験生の多くの人は伊藤塾、アガルート、加藤ゼミナール、LEC等の予備校を利用しています。もっとも、予備校の講義や問題集は値段が高く、映像授業は自分で読み進めることができないため自分で本を読むより効率が悪いです。ということでできるだけ予備校を使わない勉強をすることが、金銭的にも勉強効率的にもよいと思われます。焼石さんの勉強法noteを貼っておくので参考にしてください。
法学の勉強(特に予備試験対策)において特に必要なものは、教科書、論証集、問題集の3つになります。
教科書(初学者向け入門書)を読み法律の概要を理解し、問題集の解答例を読み、条文、規範の使い方を学び、論証集の論証を覚え、自分で問題の解答を欠けるようにするということが大まかな流れです。
ここで重要なのは教科書を一通り読んだ後は、すぐに問題集の解答例を読むことです。教科書を読んだだけでは、どのように解答すればよいのかなどが分からず理解が進まないからです。
最初の教科書のおすすめとしてはストゥディア、呉基礎本、(リーガルクエスト)などが良いと思われます。
論証集としては、近日発売予定の市販のアガルートの論証集が良いと思います。
加藤ゼミナールの教材も評判がいいのでそちらでも良いでしょう。
問題集としては、解答例がついているアガルートの重要問題集をそろえるのも悪くないと思いますが、各科目より良い問題集があると思いますので情報を得てそれを買っていただくのが良いと思います。
まず教科書を一通り読んだのち、問題集の解答例を読み、そこで使う条文規範の使い方を覚えます。
答案の書き方は、解答例から見様見真似で覚えるのを中心として、やはり予備試験合格者や上回生に個別で教えてもらうのが良いかと思います。
私は解答例に使う条文、論点の問題提起、規範、理由付け、あてはめ等を色分けしてマーカーし、何を覚えないといけないか、どのように解答するかを学びました。
論証の覚え方としてはキーワード暗記を核として、規範部分はほぼ一言一句覚え理由付け部分は何となく思い出して書ける程度を目標として、夜寝る前と朝にやるのが良いと思います。
2周ほど読んだうえで、次に目次を見て論証を思い出せるかを繰り返すのが良いと思います。書いて覚えるのは効率が悪いので書くとしても一回ほどにするのが良いと思います。
実務基礎科目はできるだけ早いうちに勉強することが良いと思います。民法が終われば要件事実を勉強すればよいでしょう。民事実務科目の勉強は民法や刑事訴訟法等の理解を促進します。これはとても重要です。
3.短答対策
予備試験短答式試験は高難度であり、能力のある人でも3か月以上対策しない限り落ちる可能性が高いです。短答式試験は論文式試験より広く条文知識を中心に判例学説等を問われます。
教材としては合格セレクション、短答過去問パーフェクトのどちらかをおすすめします。肢別本と呼ばれるものもありますので、それでも良いかもしれません。
合格セレクションは過去問のうち重要なものを集めたもので、短答過去問パーフェクトは司法試験予備試験及び司法試験の過去問をすべて集めたものであり、余裕があれば短パフェを使うことをおすすめします。
短答で出てきた知識を完全に覚えれば短答式試験は必ず受かりますが、それは難しいです。論文試験で使う重要判例及び法律の条文を覚えていれば、あとは過去問で出てきた判例等を詰め込めば受かります。
武蔵理論というものがネットで一時期話題になりました。
武蔵理論の是非は別として、何回も問題集をやりこむというのがやはり短答式試験に受かるのに必要でしょう。
以下各科目短答式試験のコツを書いておきます。
憲法は人権分野は重要判例を読み込み暗記すること、統治機構の条文学説をしっかりとおさえ、落としやすい人権部分の点数を補えるようにすること。
行政法は原告適格、処分性の判例の結論をすべて覚えること、行政事件訴訟法で、訴訟要件をすべて暗記すること。
民法は六法の条文を繰り返し読むこと、重要判例を抑えること、民事実務基礎の内容である要件事実を押さえること。
商法は重要判例を暗記し、短期記憶で条文を詰め込むこと(その機関や制度がある趣旨を理解すれば覚えやすいかもしれませんが、結局力業です)。
民事訴訟法刑事訴訟法も商法と同様です。
刑法は論文知識を完璧にすれば高得点は取れると思いますが、構成要件を覚えるのも重要です。基本刑法総論各論を何周も読み暗記すれば高得点をとれると思います。
一般教養は対策はするべきでないと思います。試験において自分がとれる取れそうな問題を選択するということができればそれで充分です。
4.論文試験対策
論文試験は答案の書き方を知っており、基本的な論証を適切なタイミングで吐き出すことができ、条文を適切に使うことができれば受かります。
問題集をある程度できるようになれば、論証暗記をはじめ試験直前に論証の記憶のピークを持ってこれるようにしましょう。
答案の書き方としてはやはり合格者に答案を添削してもらうことが良いのではないでしょうか。
5.口述試験対策
口述試験対策は論文式試験が受かったことが分かってから始めても十分間に合うと思います。まず過去問をすべて読み、基本刑法各論、民事実務の本、刑事実務の定石を読み、刑事訴訟法民事訴訟法の条文を暗記します。
友人に過去問を使って練習を手伝ってもらうとよいでしょう。
民事実務で重要なのは、訴訟物 要件事実
刑事実務で重要なのは、刑法の構成要件 論点 ですがそれ以外も多く聞かれるので、過去問を読み何が出るか確認するのが良いでしょう。