Claude×MCPで生成AIが進化!〜まずはローカルファイルをAIで自在に活用〜
生成AIは、私たちの生活や業務においてますます重要な役割を果たしています。その中で、Anthropicが開発した「Model Context Protocol(MCP)」は、AIアシスタントがローカルファイルを含むさまざまなデータソースに簡単にアクセスできるようにするオープンプロトコルです。
本記事では、Claudeアプリケーションを使用して、ローカルファイルをMCP経由で生成AIに連携する方法を初心者向けに解説します。これにより、AIを使った効率的なデータ活用が可能になります。
MCP(Model Context Protocol)とは?
データ統合を可能にするプロトコル
MCPは、クラウドストレージ、ビジネスツール、ローカルファイルといった異なるデータソースを1つのプロトコルで統合します。
例えば、ローカルでMCPサーバを動作させる仕組みによって、次の利点があります。
ローカルデータの直接活用: クラウドにアップロードすることなく、プライバシーを守りながらAIがデータにアクセス可能。
情報の一元管理: ローカルファイルとクラウドデータをまとめて活用できる。
セキュリティ向上: 外部ネットワークへのデータ転送が抑えられ、リスクが軽減。
RAG(Retrieval-Augmented Generation)との関係
MCPは、生成AIの高度な応答を実現するRAG(Retrieval-Augmented Generation)と深く関係しています。
RAGの役割: 外部データを動的に取得し、それを基に生成AIがより正確で最新の回答を提供します。MCPがこの外部データの入り口として機能します。
MCPが提供する利便性: MCPは、ローカルファイルやクラウドストレージから必要なデータを統一されたプロトコルでAIに提供します。RAGはこれらのデータを検索し、応答生成に活用します。
具体例: RAGを使えば、会議記録が保存されたローカルフォルダから関連情報を検索し、会議内容を要約したり、必要な情報を抽出して提案を作成する、といったことが可能になります。
MCPは、RAGにとってデータの「供給源」として機能し、生成AIが文脈に合った正確な応答を生成するための基盤を支えています。
MCPを使ったClaudeの設定方法(Macの場合)
①事前準備
STEP1 Homebrewのインストール
homebrewをインストールしていない場合は、下記のコマンドでインストールします。
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
詳細は、Homebrewを公式サイトをご確認ください。
STEP2 必要なツールのインストール
以下のコマンドをターミナルで実行して、必要なツールをインストールします。
brew install uv git
STEP3 Claudeアプリケーションのインストール
Anthropicの公式サイトからアプリケーションをダウンロードし、インストールします。
②設定手順
STEP1 設定ファイルの編集
Claudeの設定ファイル(claude_desktop_config.json)を以下のパスに作成します。
/Users/[ユーザー名]/Library/Application Support/Claude/claude_desktop_config.json
そして、ファイルに以下を追加し、保存します。
{
"mcpServers": {
"filesystem": {
"command": "npx",
"args": [
"-y",
"@modelcontextprotocol/server-filesystem",
"[アクセス可能なフォルダ]"
]
}
}
}
STEP2 Claudeの起動
設定を保存したら、Claudeアプリケーションを起動します。
ローカルファイルとClaudeの連携の具体例
商品の売り上げデータのサンプルを作成してローカルファイルに直接保存します。そして、その保存されたデータからグラフを書いてみます。
STEP1 データの生成
下記のプロンプトを入力します。
レストランの商品ごとの売り上げデータを作成し、そのファイルをCSVファイルとしてローカルに保存してください。
すると、設定したフォルダにファイルが作成されます。
補足:上記を出力する際に、セキュリティ上の観点から権限の確認が行われます。内容を確認し、問題なければ「Allow for This Chat」をクリックしてください。
STEP2 ファイルの確認
ファイルを確認し、正常に生成されていることを確認します。
STEP3 グラフ表示
下記のプロンプトを入力して、グラフを作成します。
ローカルのCSVファイルを読み取り、売上の割合の円グラフを作成してください。
AIがCSVファイルを解析し、売上データをもとに円グラフを表示します。
おわりに
AnthropicのMCPとClaudeアプリケーションを活用することで、ローカルファイルとの連携がこれまで以上に簡単に実現します。
さらに、MCPはローカルファイルだけでなく、現時点でデータベースやWeb検索とも連携可能なプログラムが公開されています。これにより、以下のような利便性が得られます。
データベース連携: 大量の構造化データを効率よく処理し、必要な情報を抽出可能。
Web検索との統合: 最新情報をリアルタイムで取得し、ローカルデータと組み合わせて活用。
生成AIが多様な情報と連携することで、作業が効率化される一方、アクセス可能な情報の範囲やセキュリティについても慎重に考慮する必要があります。AI活用の未来を見据えつつ、便利で安全な環境を整えていきましょう。