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【インド在住者必見】Aadhar取得の流れを解説!
今回は、インドの国民識別IDである、Aadhar(アーダール/アドハー)の申請~発行までの流れについて、シェアします。
インドの行政手続きは、数年前に比べると
オンライン、デジタル化が進み、現在ではかなり便利になりました。
インドに住む外国人がかならず必要な、FRRO(外国人居住証明書)、
インドビザの延長などは、オンラインで手続きが済みます。
一方で、Aadharの申請を含め、完全オンライン化していないものもあり、
特に外国人にとっては、手続きが煩雑な部分もあります。
今回、自分でAadhar申請をしてみた経験を基に、手続きの流れを共有します。
(2021年1月時点でのプロセスです)
インドに居住されていて、Aadhar申請を検討している人に参考になれば幸いです。
Aadhar とは
改めてAadharの概要を説明します。
Aadharとは、2010年に登録が開始された、インドの国民識別番号制度。
名前や顔写真などに加え、指紋や虹彩といった生体認証が用いられていることが特徴です。
2019年11月の時点ではインド人口の95%以上(※1)がAadharを登録しているそうです。
Aadhaar導入の主な目的は、貧困層への政府の補助金の不正受給や中間搾取をなくし、
末端の受給者に給付が行き届くようにすることでした。
Aadhar導入前のインドでは、各社会保障制度や州ごとに複数の番号が発行されていました。
また、貧困層に多かった、出生証明書、公的な身分証明書を持たない人々にとって、社会保障システムの参画が困難でした。
Aadharが導入されて以来、身元確認が単一のIDでできるようになりました。
現在では、銀行口座や携帯電話の契約、納税など、
生活や行政手続きのあらゆる面でAadharとの紐づけが義務付けられています。
(※1)Economics Timesの記事より
外国人はAadharを取得すべき?
結論から言うと、Aadhar 取得はマストではないが、あるとかなり便利。
詳しく説明します。
インドに居住する外国人にとって、Aadharの取得は任意となっています。
インドに住む外国人が身分証明をし各種手続きを行うには、パスポートやビザ、FRRO(インドでの居住証明書)、PAN(納税者識別番号)などが利用できることが多いです。
しかし、Aadharを取得していた方が便利なことも。
以下に、Aadhar取得のメリットを記載します。
メリット①Aadhar1枚で身分証明できる
銀行口座や各種行政手続きなど、外国人が身分証明をして申請手続きをする場合、多くの場合はパスポートに加えて複数の証明書(ビザ、FRRO、PANなど)が求められます。
Aadharがあれば、複数のIDの提示を必要とせず、Aadhar1枚で個人認証が完了します。
また、現地のインド人は、身分証明にAadharを使用するのがかなり一般的になっており、行政サービスの担当者や、携帯の契約など、Aadharを提示するとスムーズに進むことが多いです。
メリット②ビザが失効しても銀行口座は凍結されない
インドでの銀行口座を、パスポートやビザ、FRROと紐づけて開設した場合、
ビザが失効すると、銀行口座が凍結されてしまうことがあります。
ビザやFRROの更新後、銀行で手続きをすれば、銀行口座は再度有効になりますが、口座凍結の間は、かなり不便な思いをしまう。できれば口座凍結は避けたいですよね。
一方で、Aadharは一度発行されると有効期限はありません。
(住所や電話番号の変更時には、都度最新の情報に更新する必要があります)
銀行口座とリンクれば、ビザやFRROの失効/更新の際に、銀行口座凍結のリスクを減らすことができます。(銀行や口座の種類によって異なる可能性があるので、口座をお持ちのインドの銀行に確認してみてください)
私は HDFC Bank で解説したインドの銀行口座と Aadhar をリンクさせておいたところ、ビザが失効して日本に帰国してからも、インドの銀行口座は凍結されることなく使える状態になっています。
(口座開設時は、Aadhar未取得だったのでパスポートとインドビザで開設。Aadharを取得してから、銀行口座をリンクさせる手続きを行いました。)
メリット③自分名義で発行したインドのSIMも引続き使える
メリット②の銀行口座と同様です。
インドで、自分のパスポートとビザを身分証明して発行した場合、ビザが失効するとSIMが使えなくなることがあります。
※インド人の知り合いなど、現地の人の名義で発行してもらったSIMを利用している場合は、ビザとは関係ないので問題ありません。
AadharとSIMカードをリンクさせておけば、ビザが切れてSIMカードが使えなくなる、という心配も要りません。
費用は?何日で取得できる?
【費用】
申請手続きを代行するエージェントなどを利用せず、
自分自身でAadharの登録を行う場合、費用は無料です。
【取得までの日数】
Aadharの申請~発行までは、約20日~1か月ほど要します。
Aadhar申請センターでの新規登録後、問題なく受理されれば、
申請後~20日後に、Aadhar番号が記載された “eAadhar”がダウンロードできます。
カード原本がなくても、Aadhar 番号が発行された日から、Aadharが使えるようになります。現地のインド人の人の多くは、このeAadhar を印刷屋さんでプリントアウト、(防水のため)ラミネート加工して、Aadhar カードとして利用しているようです。
担当機関が発行したカード原本(Aadhar CVC Card)が欲しい場合は、下記に説明するuidai のサイトから申請すると、約1週間後に登録住所にAadharカードが届きます。
以下、私が自力でやってみたAadhar申請~発行までの手続きについて説明します。
Step1: 申請センターの受付予約申込
インド固有識別番号局(Unique Identification Authority India – UIDAI)のホームページから、近くのAadharセンターを確認します。
デリー、ベンガル―ル、ムンバイなどの大都市であれば、
各都市内の中心部にある大型のAadharセンターで、予約申込ができます。
ベンガル―ルの場合は、この画面に表示されているセンター(Grand Majestic Gandhinagar)をおすすめします。
![](https://assets.st-note.com/img/1643788588822-7aG2Vd8KMz.png?width=1200)
Aadharセンターは、各都市の中に無数にありますが、
小さな申請センターだと、外国人のAadhar登録の権限がない、
またはノウハウがないところが、ほとんどのようです。
私は当初、無謀にもGoogle Mapで検索して一番近所にあった小さなAadharセンターに行き、
「外国人の手続きはできないから大型のセンターに行ってください」と言われました。
Step2: 申請書類をそろえる
Aadhar申請には、以下の書類が必要になります。
申請センター訪問時に、以下の書類を持っていきます。
①申請用紙(Application Form)
②写真付きID(名前と生年月日が記載されたもの)
③住所証明
以下詳しく説明します。
①申請用紙(Application Form)
用紙は申請センターで受取り、その場で記入できます。
UADAIのサイトからも用紙をダウンロードできます。
②写真付きID(名前と生年月日が記載されたもの)
UADAIのサイトには挙げられている、受理可能な写真付きIDのうち、
外国人が共通して持っているものは、パスポート、PANカード、Driving License などです。
私のケースでは、日本のパスポート、インドビザなどは受理されず、
PANカード(インド納税者カード)をIDとして提出しました。
理由は、基本的にインド政府が発行した書類でないと、
Aadhar申請のIDとしては認められないとのことでした。
③住所証明
②と同じく、UIDAIのサイトには、
パスポート、Diriving Licenseなどが例として、記載されています。
私が申請した際には、インドで開設した銀行口座の通帳(Passbook)、または銀行口座の入出金証明(Bank Statement)を、
住所証明として申請することになりました。
私は日本のパスポートやインドビザ、FRROなどを持参しましたが、
結果的にはすべて受理されませんでした。
PANカードを持っていない、または銀行口座を開設していない人は、
パスポートなどが受理される可能性もあるようです(申請センターによって事情が異なるようです)
受付センターの担当者によって、対応が異なる場合もあるので、
身分証明になりそうなIDは全て持っていくことをおススメします。
Step3: 申請センターでの登録※登録内容のダブルチェックを!
申請書類の準備ができたら、申請センターでAadhar登録を行います。
以下の流れで登録が完了します。
1)申請用紙の情報を基に、Aadhar登録システムへのデータ入力
2)虹彩データの登録
3)指紋(左右10本の指の諮問)の登録
4)顔写真の撮影
5)Enrollment No.の発行、登録完了
5)が終わると、Enrollment ID が記入された用紙が渡されます。
ここで注意してほしいことがあります!
申請用紙に記入した情報、そして作業員がデータ入力した内容に、
必ず間違いがないか、ダブルチェックするようにしましょう。
担当者は申請用紙の情報を目視で確認して、手作業でデータ入力を行います。
つまり、人為的ミスで誤入力が発生する可能性があります。
入力されたデータ(名前、住所など)が間違っている、
つまり本人確認書類の情報との齟齬があると、受理不可となり、再度登録のやり直しが必要になります。
作業員の方が入力するPC画面は、申請者にも画面共有され、
作業内容、入力データが随時見れるようになっています。
ここで誤入力があると、最後申請センターに来て登録を1から行わなければなりません。
少し面倒ですが、一語一句、間違いがないか、必ず確認するようにしましょう。
私の場合は、このデータ入力の際に、
名前や住所に10か所以上スペルミスがあり、その場で訂正してもらいました・・
![](https://assets.st-note.com/img/1643788717974-JVafRfSzPJ.jpg)
Step4: 受理~Aadhar発行
申請センターでの登録後、以下のスケジュールで手続きれます。
・申請~20日後: Aadhar番号が発行され、 “eAadhar”がダウンロードできる
・申請~1か月後: 登録住所にAadharカードが届く
Aadhar申請ステータスの確認、および”eAadhar”ダウンロードは、
インド固有識別番号局(Unique Identification Authority India – UIDAI)のホームページからできます。
申請状況確認の際、申請センターで渡されたEnrollment IDが必要になります。
![](https://assets.st-note.com/img/1643788767597-Cm7jPpTpSF.png?width=1200)
私は、1度目の申請後、ステータスを確認しようとしてもエラーになるので、
Aadharセンターにもう一度行き問い合わせてみました。
すると「本人確認書類のスキャンデータが明瞭でない」という理由で、
受理不可となっていました。
Enrollment IDは、一度登録してから再度データを修正するのが出来ないそうで
仕方なくもう一度申請手続きをやり直しました。
2度目の申請後、ついにAadharが発行されました。
自力が面倒ならエージェント活用も
Aadharの申請をスムーズに、ストレスフリーに進めたい方は、
信頼できるエージェントに依頼するのも良いでしょう。
今回、私は手続きの方法を知るために自力で申請してみましたが、
案の定すべてがスムーズに行ったわけではなく、多くの時間と労力がかかりました。
結果的に申請センターに3回、申請手続きを2回経て、やっとこさAadharが発行できました・・
余計な時間と労力をかけたくない人、少しお金がかかってもストレスフリーに
事を済ませたい人は、エージェントの活用を検討しても良いでしょう。
その際には、必ず信頼のおけるエージェント、
できればインド在住の日本人に定評のあるエージェントを活用してください。
現地のインド人と外国人では、必要な書類や対応できるセンターが違い、
外国人のAadhar申請サポートをしたことがあるエージェントの方が良いです。
インドに居住する日本人向けに各種サービスを提供している、Expat Orbit などがあります。
さいごに:1回の申請で終わらない確率が高い。早めに登録を!
以上、Aadhar取得までの流れを解説しました。
自力で申請してみて、かなり時間と労力がかかりました。
2回申請をして、1回目の申請~取得まで、結果的に3か月を要しました。
申請センターの予約、eAadharダウンロードなど、
オンラインでスピーディできることもある一方、
新規登録の手続きは手作業で行っており、
受理審査などは予想以外の時間がかかります。
インドの行政手続き「あるある」ですが、属人的な対応をしている部分が多いです。
全てがスムーズに「いかない」というくらいの心持ちで、Aadhar申請を行う場合は、早めに申請することをおすすめします。
以上、Aadhar 取得の手続きをまとめました。
インド在住者の方々にとって、参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。