【オーロヴィル滞在記】④必見スポット4選
2020年、南インドにある国際コミュニティ「オーロヴィル」での滞在記。
今回は、オーロヴィルを訪れるなら、ぜひ見てほしい場所について書きます。
①Visitor's Center
オーロヴィルに着いたら、まず訪れてほしいのが、Visitor’s Centerです。
オーロヴィルの概要(創設の経緯や、ビジョン、都市計画)を知ることができます。ここで紹介されている、オーロヴィルの都市計画「Galaxy」について以下紹介します。
オーロヴィルが他のエコヴィレッジと一線を画す点は、そのユニークな都市計画モデル「Galaxy」です。
1968年のオーロヴィル創設時に、フランスの建築家Roger Angerにより、渦を描く銀河を模した都市計画がデザインされました。都市は4つのゾーン(cultural, industrial, international, and residential zone)によって構成され、
その周りを、緑豊かな森林が囲むようになっています。
オーロヴィルの創設当時は、赤土が広がる乾いた土地だったそうです。インド国内外からオーロヴィルに移住した住人たちが中心となって、継続的に植林を続け、現在の緑生い茂る豊かな森をつくりました。その中心部にマトリ・マンディル(金色の瞑想ホール)や住宅、オーロヴィルの行政機能を担う施設や病院、コミュニティ・キッチンなどを建設しました。
2021年現在で、この都市計画デザインの一部は完成していますが、土地の買収の課題や、詳細なデザインが必要な部分もあり、多くの部分は未完成。
コミュニティの中で議論を重ねながら、目指すべき都市デザインを追求し、都市を創り続けているそうです。
この都市計画や、オーロヴィルの中にある様々な建築物のユニークさから、インド国内や海外の建築家、建築学科の学生が、研究やプロジェクトのために、オーロヴィルを訪れています。
②マトリ・マンディル(金の瞑想ホール)
オーロヴィルを象徴する建築物。(「オーロヴィル」とグーグル検索すると、だいたいこのマトリ・マンディルの写真がヒットします。)
マトリ・マンディル(Matri Mandhir)は、サンスクリットで「母のお寺」という意味で、オーロヴィルの中心部にあります。
このホールは、オーロヴィルの住人が、静かに瞑想(メディテーション)を行うための場所になっています。瞑想をしたり、静かな時間を過ごしたり、各々好きなように過ごします。ホールの中は、ほぼ無音状態で、話したり音を出すことはご法度だそうです。
マトリ・マンディルの建築構造も、とても興味深いです。金の球状のホールの中心部には水晶があり、ホールのてっぺんから日光が差し込むように設計されています。メインホールの周りには、12の小さな小部屋(Petals)があり、ここで瞑想を行うこともできます。この12の部屋には、オーロヴィルの創設者であるマザーによって、花の名前がついています。
1971年にデザインされて以来、オーロヴィルの住人たちが長い年月をかけて建設をし、2008年に再集計が完成しました。
<見学の方法>
マトリ・マンディルの内部は、観光客、短期滞在者には一般公開していません。以前は時間指定の事前申込みのうえ、一般観光客も見学できたそうです。私が訪問した2021年は、コロナの影響で見学を中止していました。
一般観光客は、マトリ・マンディルの中には入れませんが、見学ポイントまで行くことができます。(見学無料)
Visitor’s Center内でチケットをもらい、1kmほど離れた場所にあるマトリ・マンディルの見学ポイントまで行ってみましょう。
1km ほど歩くと、見晴らしの良い見学ポイントに着きます。
マトリ・マンディルと、それを囲む美しい広場の光景はとても美しく、遠方から見るだけでも圧倒されます。マトリ・マンディルの横には、大きなバンヤン・ツリー、菩提樹、そして屋外劇場があります。
③Sadhana Forest:自然と調和した究極のサステイナブル・ライフスタイル
Sadhana Forest は、自然と調和したサステイナブルなライフスタイルの実践、森林再生、水資源保護を行っているコミュニティです。ここでは、常時数十人のコミュニティ・メンバーが住み、自然保護、訪れる人々への啓発活動を行っています。
自然保護、動物愛護、森林・水資源保護に関心のある人には、ぜひ訪れてほしいところです。ツアーはとても楽しいので、お子さんを連れての訪問もおススメです。(個人的には、オーロヴィルで訪れたプロジェクトの中で最も面白いものの1つでした)
私は、毎週金曜日の夕方に行われている、ガイドツアーに参加しました。(以下に参加方法を記載しています。)
ガイドツアーで説明してもらった内容によれば、このコミュニティでは以下の取組みを行っています。(以下一部)
・茅ぶきや竹などの、自然由来の素材で作った住居
・太陽光で発電した電気のみを使う
・水を利用せず、人間の排泄物を自然に還元するドライ・コンポストトイレ
・環境負荷が少ないヴィーガン食を調理して食べる。
・水の利用を最小限に抑えた食器洗浄システム
このコミュニティを始めたのは、オーロヴィルに移住したイスラエル人の家族。木が一本も生えていない荒地に来た彼らは「どうしたら最小限のコストで、化学的な材料を使うことなく、緑あふれる森林を作れるだろうか?」と考えました。そして、森をゼロから作り、自然と調和したライフスタイルの実践を始めたそう。このアイデアに共感したオーロヴィルの住人、そして世界中から集まったボランティアとともに、約20年かけて植林を行い、緑が生い茂る森を作ったそうです。
Sadhana Forestの運営は、ここに住んでいるボランティアだけで回っています。世界各国から、年間1000人のボランティアを受け入れ、共同生活をしながら、森林保護や水資源保護や、訪問者への啓発活動に取り組んでいます。
私が訪問したときは、アメリカ、イギリス、イスラエル、インドなど、世界各国から来たボランティアの人に出会いました。コミュニティ内の共通言語は英語。みんなフレンドリーで、コミュニティでの生活について詳しく説明してくれました。
1時間ほどのガイドツアーの後、環境保護に関するドキュメンタリー映画の上映、そしてヴィーガン食の夕食も提供してくれます。ガイドツアーに参加した人々や、Sadhana Forest の住人(ボランティア)の人々と話しながら、美味しいご飯をいただきました。
<見学方法>
・毎週金曜日の夕方、無料のガイドツアーを行っています。(予約不要)
オーロヴィルの中心部から少し離れた場所にあるため、車での移動が必須。オーロヴィルの中心部からツアーバスが出ています。(毎週金、16:30 Solar Kitchen発)
私はこのコミュニティでのツアーに参加して、現代のライフスタイル(大量生産、大量消費、生分解が難しい化学物質の使用、水やエネルギーの過剰使用など)が、どれほど非・持続可能的であるのか、考えさせられました。
オーロヴィルの中でも、特に興味深いプロジェクトなので、ぜひ訪問をおすすめします!
④Solitude Farm:日本の農学者にヒントを得た、自然農法を実践する農園
Solitude Farmは「人間の手を加えない」農業、いわゆる自然農法を実践している農園です。自然農法とは「農薬や肥料を⼀切使⽤せず、枯れ草や藁などで堆肥を作って⽥畑に還元し、⾃然界の仕組みに委ねて農産物を生産する農業生産方法」です。(厳密には自然農法を提唱する農学者によって様々な定義があります)
Solitude Farmのオーナーである、イギリス出身のクリシュナ・マッキンゼーさんは、日本の農学者、福岡正信が提唱した「不耕起(耕さない)、不除草(除草しない)、不施肥(肥料を与えない)、無農薬(農薬を使用しない)」にインスピレーションを受け、オーロヴィルに移住して、自然農法の実践を始めたそうです。クリシュナさんは福岡正信氏を自身の師(グル)としており、農園内には福岡正信氏が提唱した農法が書かれた石碑が、いたるところに置いてあります。
この農園は、「農園らしい」きれいに区画整理された畑はありません。何も知らずに訪れると、一見雑木林のようにも見えます。なぜなら「できるだけ人間の手を加えず、この土地、土壌に合った、自然に生えてくる果樹や野菜を収穫している」から。
私は毎週土曜日に行われているガイドツアーに参加しました。
ツアーでは、農園主のクリシュナさんが、農園のコンセプト、自然農法について、細かく説明してくれます。彼が実践している「自然農業」はインド国内外で注目されており、この領域で有名な人のよう。彼が運営する You Tube チャンネルには、自然農法についての情報が満載です。(以下のビデオでは、日本の農学者、福岡正信氏とのストーリーについて語っています。)
ツアーでは、農園内を歩きながら、農園内に生える植物を食べたり香りを嗅いだりして、植物の効能や栄養についても教えてくれます。
農業に興味がある人も、そうでない人も、一見の価値があると思います。
私はSolitude Farmを訪れて、農業のイメージが一変しました。「農業」というと、私は区画整理された工業的農業生産をイメージしていましたが、
それはあくまで人間にとって都合の良い工業的農業であり、そのイメージに洗脳されていたかを思い知りました。
農園内のカフェでは、自然食のターリーも提供しています。
<見学方法>
毎週土曜日12:30から、農園のガイドツアーが行われています。
ガイドツアー以外の日は農園に入ることはできませんが、農園に併設されたカフェで食事やコンサートを楽しむことはできます。
まとめ:ツアーへの参加がおすすめ
以上、オーロヴィルで訪れてほしいところを、4つ紹介しました。
オーロヴィルに1~2日のみ滞在する多くのゲストは、①Visitor's Center ②マトリ・マンディルの見学など、「外から眺める」だけで終わってしまいます。
しかし個人的には、③や④のようなツアーや、毎週開催されているワークショップ参加して、多様なコミュニティやプロジェクトについて、実践的に知る、体験をしてみる、ことをおすすめします。
オーロヴィルに住むコミュニティの人々や、世界各国やインド国内から来る人々との交流も、ここでの体験をより面白いものにしてくれます。
以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。