見出し画像

「小さなひかり。」

これまでの sayuras のライブ(バンド結成前の同じメンバーでのライブを含む)の最後を飾るのは、いつもこの曲だった。

sayuras ヴォーカル、三上ちさこさんのインスタアカウントにアップされているこの曲の演奏シーンは、曲の前のMC付き。

まずは、2022年12月の下北沢Club Queでのシーン。この時はまだコロナ禍で、お客さんは声を出してはいけなかった。

この曲には終盤に、

声が なくても うたえることを知った

fra-foa「小さなひかり。」

という歌詞があり、「知ってる?声がなくても歌えるんだよ」というちさこさんのMCには思わず涙腺が潤んだ。

そして、前回の sayuras のライブ(2024年4月@渋谷eggman)での演奏シーンはこちら。

ひとりでそらみあげていた
体がからっぽになった
ふと 思う 
あなたが暮らしている場所も
同じ青なら、いいのに。

fra-foa「小さなひかり。」(スペースの場所は、メロディーに合わせて変更しています)

この歌詞は、先日紹介したちさこさんと手塚眞さんの対談からの引用を踏まえると、また違って聞こえてくる。この歌詞の後に、曲が最後のサビに入ってクライマックスを迎えるという展開が、よりドラマチックに心を震わせてくる。


この曲の一番最後は、バンドの演奏が止まってから、

小さく ひかりが見えた。

fra-foa「小さなひかり。」(スペースの場所は、メロディーに合わせて変更しています)

という歌詞を、ちさこさんがアカペラで歌う。歌い出すタイミングが、ライブごとに異なっていて、来ているお客さんは全員まだ曲が終わっていないことを知っているから、歓声をあげることなく、無言でじっと待つ。ライブハウスがシーンとなるこの時間がとても美しいと思う。

そして、この歌詞を歌い終わった後、fra-foaの原曲では、それっきりで曲が終わる。fra-foa のライブでは、アカペラの後にギターが控えめにコードを奏でて終わる。この終わり方が、今思うと、fra-foa の音がどんどん多くの人に届くようになって赤坂Blitzまでたどり着いた時に、ちさこさんが完全に一人になってしまった、というエピソードを象徴しているかのようだ(このエピソードについては、昨日の記事を参照)。

sayuras 結成前の、同じ4人のメンバーでのライブでは、fra-foaの原曲に忠実な、アカペラで終わるパターンだった。こちらは、2022年5月下北沢Shelterでの演奏シーン(idm ym さんの撮影)。

でも sayuras バージョンの「小さなひかり。」は、アカペラの後、楽器隊の3人が一斉に音を出して盛り上げて終わる。まるで、ちさこさんが一人になってしまうことはない、と言わんばかりに。

sayuras デビューライブ(2023年12月@下北沢Club Que)での演奏シーンを、ぼのぼのさんが会場で撮影した動画をノーカットでYouTubeにアップしてくれている。音質があまり良くないけれど、sayuras バージョンの「小さなひかり。」がどういう終わり方なのかを実際に聞くことができる。

🍵 🍵 🍵

明日の sayuras ワンマンライブ@渋谷WWWまでの30日間、毎日、note で sayuras の魅力を書き続けてきた。書き続けたことで気づいたことがある。この「小さなひかり。」のエンディングのように、sayuras 結成に至るまでのちさこさんの辿った道を知った上で聞くと、新しい解釈が生まれてくることが驚くほどたくさんあるということ。私は新旧問わずアート作品を見に美術館に行くことが多いのだけれど、アートを鑑賞している時の感覚に似ていると思った。

30日前よりも sayuras を好きになっている自分がいる。明日は、最高のライブになるでしょう。

sayuras 渋谷WWW ワンマンライブ(ソールドアウト済み)まであと1日!

注:トップ画像は、sayuras 2024年4月13日渋谷eggmanでの「小さなひかり。」の演奏シーン。最後のアカペラをちさこさんが歌っているところ。(配信ライブ映像のキャプチャ画像)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?