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「オブラートで包んだ水みたいな君に」
sayuras の前回のライブ(2024年4月@渋谷eggman)での演奏を聞くまで、この曲の存在を知らなかった。その時の様子が、sayurasヴォーカル、三上ちさこさんのインスタアカウントでアップされている。
クリーントーンギターのアルペジオによる短いイントロに続く歌詞は、
なぜそんなにもギリギリなの?
君を見てると泣きそうになる
君はこの胸で揺れる花
どんな時でも ここにいる
色々な解釈ができると思うが、私は、ちさこさん流のラブソングだと思っている。
そもそもタイトルの「オブラートに包んだ水」という言葉からして、独創的。そんな言葉で「君」を形容しているところが、愛情だと私には思える。
「君をみてると泣きそうになる」という言葉に、私は心を揺さぶられる。
この曲の前半部分の電子ピアノ弾き語りバージョンが、ちさこさんのYouTubeチャンネルにアップされている。
ねえ どこまで人は独りなの?
吐いて捨てるほど溢れてるのに
二人になれる君をそうずっと探してた
もし歩けない時には、ねぇ 休もう
二人で草原の風に吹かれていよう
何もしない日にはここにいて
見失った自分取り戻せばいい
優しいよね、とても。愛している人への言葉だよね。
sayurasのライブで披露された時の、曲の後半がこちら。音質があまり良くないけれど、それでも伝わってくるものは伝わる。
そんな重いものひとり背負ってたの?
ずっと そんな崩れそうな足で立ってるの?
ねぇもっと君のこと 知りたいの
君を強く抱き締めたいの
望む時は いつもそばに いるから
このパートが、美しい。涙腺が緩む。そして、高まった想いを表現するかのように、「そばにいるから」の最後の「ら」を四小節分タイで繋いで歌うところが、この曲のクライマックス。
ここからは、メロディーの単純な繰り返しがどこにもないまま、まくし立てるように歌詞が次から次へと続き、不意に英語に切り替わる。
I'm standing alone to say to you, "Don't worry, I'm sure I'll be…"
I'm standing alone to say to you, "Don't worry, you may trust me."
I'm standing alone…
I can't stand without you.
(聞き取り間違っている箇所もあるかもしれません)
日本語にしなかった、いや、おそらく、できなかったこのパートに全てが表現されていると思う。
そして、一番最後に、以下のフレーズを、曲の一番最初のメロディーに乗せて、曲が終わる。
欠けたままで笑う君が好き
こうやって文字にしてこの歌を説明してみることで、この曲の奥の深さに気づいた。名曲だ。
fra-foa の最後のCDシングル『消えない夜に』のカップリング曲として2002年にリリースされたこの曲は、Spotify や Apple Music で聞くことができる。
11月1日のsayurasのライブでも、演奏してくれるだろうか?
最後に、ちさこさんの盟友、水咲加奈さんによるピアノ伴奏バージョンを(ノーカット)。
sayuras 渋谷WWW ワンマンライブ(イープラス / ローチケ)まであと22日。
注:トップ画像は、「オブラートで包んだ水みたいな君に」が収録されていたCDシングル『消えない夜に』のジャケット(Apple Music より)。