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sayuras 「ウェルカムトゥブレインワールド」

sayuras が今までにリリースした五つの曲の中で、一番イっちゃってる曲が「ウェルカムトゥブレインワールド」。

YouTubeアートトラックでフルで聞くことができる。

この曲を初めて聴いたのは、sayuras デビューライブ(2023年12月@下北沢Club Que)。冒頭を飾った「ナイン -nine-」に続いて、未発表の新曲として、二曲目に披露された。

sayuras ってどんなロックバンドなんだろう、と誰もが疑問に思っているデビューライブの冒頭で、二曲目にこの横ノリの、途中ではラップがフィーチャーされる曲を持ってきたところが、sayuras らしいと思う。

サビの歌詞が

全部 全部 引き剥がして しまえようこそ この 脳内ワールドへ

sayuras「ウェルカムトゥブレインワールド」

と歌われていて、「脳内ワールド」という言葉遣いだったり、「引き剥がしてしまえよ」の最後の「よ」と「ようこそ」の初めの「よ」を全く区別しない歌い方だったり、ぶっ壊れたちさこさんが全開。

ラップ部分の歌詞も、かなり壊れている。

スキルあってもしんど やってもやっても終わんねーなら いっそ胎内いたいなもう

sayuras「ウェルカムトゥブレインワールド」

アレンジは、ベースの根岸孝旨さんが中心になって、遊び心盛りだくさんで作られたことが、sayurasのインタビュー記事で明らかになっている。

以下の言葉は根岸さん。

三上さんからこの曲を渡されたとき、アジア感というか、インドっぽい音がほしいと言われて。なので言ってもらった通り、最後はThe Beatles全開でやってやろうと思ってました。「ジョージ(・ハリスン)先生降りてこい!」という感じ。ベースラインもあえてそっちの音階で弾こうと決めていて。

「音楽で壁を取り払いたい」 三上ちさこ18年ぶりの新バンド sayuras、“もがく大人のかっこよさ”」(リアルサウンド、2024年4月13日)

確かに、最後のコーダが、インド系の音に傾倒した頃のビートルズを思わせる。

ギターについては、根岸さんと西川進さんが以下のようにやりとりしている。

根岸:僕の中でのイメージはRage Against the Machine。ザック・デ・ラ・ロッチャが大好きなので。レイジってギタリスト(トム・モレロ)も独特じゃないですか。こっちには西川進がいるので、ご自由に弾いてもらおうと。
西川:でも難しかったですよ(笑)。
根岸:もともとブルーススケールであまり弾かないもんね。
西川:そうですね。なので弾いていて新鮮でした。

「音楽で壁を取り払いたい」 三上ちさこ18年ぶりの新バンド sayuras、“もがく大人のかっこよさ”」(リアルサウンド、2024年4月13日)

曲を通してずっと暴れ続ける西川さんのギターが産み出すカオス感が、私の耳には心地いい。

ドラムについては平里修二さんが以下のように語っている。

ドラムの音色に関しては、根岸さんからボンゾ(Led Zeppelinのジョン・ボーナム)っぽくというイメージの共有があって。僕もボンゾのドラムをコピーしたことがあるし、ドラマーなら誰もが一度や二度はああいう音を出してみたいと思うだろうけど、今回はそこに寄りすぎないようにっていうのも意識していました。音色も2周くらい回って今の感じになったので、実は録るのに一番時間がかかった曲ですね。

「音楽で壁を取り払いたい」 三上ちさこ18年ぶりの新バンド sayuras、“もがく大人のかっこよさ”」(リアルサウンド、2024年4月13日)

確かにドラムの音が、曲を通してずっとばちばち弾けるような響きをしている。

そんなアレンジの背景を知った上で、改めてこの曲を聴くと、歌もアレンジも一体になって、めちゃくちゃカッコいい。

sayuras、やっぱり面白い、このバンド。


sayuras 渋谷WWW ワンマンライブ(イープラス / ローチケ)まであと24日

注:トップの画像は、リアルサウンドによる sayuras インタビュー記事(2024年4月13日)から。撮影は山川哲矢さん。


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