sayurasのベース、根岸孝旨さん
私はベースの音がはっきり聞こえてこないロックバンドが好きじゃない。リズムギターとユニゾンで演奏するタイプのベースシストは苦手。
その点、sayuras ベーシストの根岸孝旨さんの演奏は、素晴らしい。それが一番よくわかるのが、sayuras デビューライブ(2023年12月@下北沢Club Que)での「レプリカント -絶滅危惧種-」の演奏(ダイジェスト映像)。
根岸さんの野太いベース音が、この曲を支配している。だからこそ、西川進さんのギターソロが生きる。平里修一さんのドラムの鋭さも増す。
この曲は、sayuras ヴォーカルの三上ちさこさんが2022年7月にリリースしたソロ曲。この曲のアレンジを根岸さんが担当したことが、今思えば sayuras 結成に至るまでの道のりの始まりだった。この曲のギタリストに西川さんが呼ばれ、同じ頃に開催したちさこさんのソロライブには、ドラマーとして平里さんも呼ばれ、この三人がバックバンドとして参加。楽器隊三人が産み出す音の心地よさに、ちさこさんはライブが終わるや否やバンド結成を申し出た。
その詳しい経緯は、リアルサウンドに2022年と2024年に掲載された以下の二つのインタビュー記事を続けて読むと、よくわかる。
そして、sayuras が、ちさこさんの昔のバンド fra-foa と決定的に違うとしたら、この根岸さんのベースによるところが一番大きいと私は感じている。
fra-foa のベースのアレンジについて、根岸さんはこう語っている
sayuras のデビューライブで演奏された fra-foa の曲は、ベースラインが根岸さんによって上書き更新され、昔を懐かしむための曲ではなく、現在進行形の曲に生まれ変わっていた。
それが一番顕著に出ていたのが、「lily」という曲。
私はこの会場にいて聴いていたのだが、fra-foa による原曲に思い入れがありすぎたので、違和感を感じてしまった。それから1年半以上がたち、sayuras の音に聞き馴染んだ耳で改めて聞くと、ちさこさんの歌に寄り添い、絡み合う、大人のセクシーなベースラインだと思えた。
ちさこさんのソロ曲「僕の子供」での根岸さんのベースプレイも、歌声との絡み具合が美しい。
11月1日の渋谷WWWでのライブでは、この根岸さんのベースラインとちさこさんの歌の絡み合いが、聞き所の一つだと思っている。
sayuras 渋谷 WWW ワンマンライブ(イープラス / ローチケ)まで
あと25日。
注:トップの画像は、sayuras 新曲レコーディング中の根岸さん(ちさこさんのインスタアカウントの2024年9月3日のポストから)。
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