エレベーターのドアを「開くボタン」と「閉じるボタン」のデザインについて

エレベーターに乗って、誰も来ないのに、しばらくの間空いたままになっているドアを閉めようとして、開くボタンの方を押してしまうことってありませんか?

逆に、人が来ているのにドアが閉まり出したので、親切心から開くボタンを押そうと思って、間違って閉じるボタンを押してしまったことってありませんか?

私は、いつも、押そうと思っているボタンと逆のボタンを押してしまいます。

なぜかっていうと、開くボタンと閉じるボタンって、ほとんどのエレベーターで、すごーく見た目が似ているんです。

まず、漢字が似てる。「開」と「閉」。咄嗟にどちらかどちらなのか、見分けがつかない。

あと三角と縦棒からなるマーク。縦棒の両脇に三角がある、という点で全く同じで、三角がどちらに向いているか、そして、それが「開」と「閉」のどちらを意味しているのか、これも咄嗟に判断がつかない。

ボタンの色が異なっていても、どちらがどの色かという先入観がゼロなので、見分けに役立たない。緑が「開くボタン」であっても、デザイナーはおそらく信号の緑からの連想に期待しているのだろうが、横断歩道を渡って良いという意味の緑と、ドアを開けるという行為が、頭の中で自然にリンクしない。

私がもしグラフィックデザイナーの先生だったら、毎年、学生に「開くボタン」と「閉じるボタン」のデザインを課題として出したいと思う。デザインについて深く考えるいい機会だと思う。

で、この間、最寄駅のエレベーターに乗った時、誰も来ないのでドアを閉めようとして、迷わずスパッと「閉じるボタン」を押すことができた。そのことに驚いて、どうしてだろう、とボタンを眺めてみた。

JR桂川駅のエレベーターのボタン(筆者撮影)

ひらがな!

ひらがなにすると「ひらく」と「とじる」で、字の形が明らかに異なり、その上頭文字の「ひ」が左右に広がるイメージとリンクして、咄嗟にどっちがどっちなのかわかる!

さらに付け加えるなら、「ひらく」ボタンの方が、横に長い。左右に広がるイメージにリンクする。

これ、デザインした人、頭がいい。すごく頭がいい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?