「TRAJECTORY–キセキ–」
sayuras の過去二回のライブのどちらでも演奏された曲の中の一つが、ヴォーカル三上ちさこさんのソロ作品である「TRAJECTORY–キセキ–」。
前回のライブ(2024年4月@渋谷eggman)での様子が、ちさこさんのインスタアカウントにアップされている。
ちさこさんのどこまでも届くような歌声が、他人への「応援歌」としての響きに説得力を与えているところが、この曲の最大の魅力だと思う。
sayuras の過去二回のライブのどちらでも演奏されたということは、ちさこさんにとって大切な曲である証と言えるが、この記事を書くにあたり色々調べると、そこには大きな理由があった。
それは、この「TRAJECTORY –キセキ– 」が、ちさこさんが初めて他人のために書いた曲だということ。
この曲が収録されているアルバム『Emergence』が2020年に発売された時に、プロデューサーの保本真吾さんと曲について語っているYouTube動画がある。これによれば、テレビ番組『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のエンディングテーマを依頼されたちさこさんが、番組プロデューサーの野球と番組に対する思いを聞き取って、その熱意をちさこさんが歌詞に落とし込んで、保本さんの作曲で曲が仕上がり、その曲を聴いた番組プロデューサーが「これは僕の曲だと思いました」と言ったそうだ。
この経験が、ちさこさんにとっては、ミュージシャンとしての転機になった。そのことについての保本さんとちさこさんの話はこちら。
この話を知る事で、sayuras の、いまいち理解できなかった側面が、腑に落ちた。
sayuras の音楽の特徴を三つ挙げるなら、まずは、fra-foa 的なネガとポジの混在(例えば、「揺れる」)。次に、歌唱力・演奏力の高い4人のメンバーが紡ぎ出すグルーブのある音世界(例えば、「ウェルカムトゥブレインワールド」)。そこまでは理解できていた。でも三つ目に、3rdシングル「KYOKAI」に代表される、聞き手を肯定して応援する、という側面もある。
この三つ目がどこから来るのかがわからなかった。でも、その答えは、以上を踏まえてよく考えたら、自分が何度も聞いてきた曲の歌詞にあった。それは、ちさこさんの原点であり、sayuras がライブで必ず演奏する曲、「澄み渡る空、その向こうに僕が見たもの。」の歌詞の以下の部分。
YouTubeを検索していたら、「TRAJECTORY –キセキ–」の、ちさこさん自身によるピアノ弾き語りバージョンを見つけた。
このYouTube動画のコメント欄に目を通すと、番組を見ていた大谷選手ファンの「心に"一瞬"でも響いた」ことがわかる。
11月1日の sayuras のライブでもおそらく演奏されると思うが、以上を踏まえると、これまでと違った形で聞こえてきそうで、これはこれで楽しみになってきた。
sayuras 渋谷WWW ワンマンライブ(イープラス / ローチケ)まであと12日。
トップ画像は、『ワースポxMLB』のタイトルロゴ(三上ちさこXアカウントの2024年3月31日投稿より)
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