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「プラスチックルームと雨の庭」

sayuras がライブで演奏する曲には、ヴォーカル三上ちさこさんが作詞作曲した fra-foa の曲も多く含まれる。そのうちの一つが「プラスチックルームと雨の庭」。

sayuras 結成前に、同じメンバーで演奏された時(2022年5月@下北沢 Shelter)の様子が、ちさこさんのインスタアカウントにアップされている。

この曲が生まれた背景について、ちさこさんは、自身のラジオ番組「Just Chilling」で具体的に話していた。それをここで文字にして残してしまうのは良くないと思うので、同じことを遠回しに表現しているちさこさん自身のブログ記事から引用する。

小さい頃、お父さんとお母さんは私にとって世界の中心であり、世界のすべてだった。

お母さんと一緒に乗ってる飛行機は絶対に落ちないと思っていたし、家族という形はあるのが当たり前のものだと思っていた。

それが壊れ始めた時、私はこの世に絶対なんてものは無かったんだ...という事実を思い知らされ、両親にとって自分は繋ぎとめる力すら持っていないんだという事を知り、深く傷ついた。

三上ちさこオフィシャルブログ(2015年3月19日)

fra-foa 時代のちさこさんの曲に共通するテーマだった、自己肯定感が不足しているネガティブさと、それでも生きることへ前向きであるポジティブさの共存。fra-foa の代表曲「澄み渡る空、その向こうに僕が見たもの。」の歌詞にも出てくるこのテーマが、「プラスチックルームと雨の庭」ではよりストレートに表現されている。

最初のサビに入る直前のフレーズは

ねえ僕は この世界に真実 望まれて 生まれて きたのかな?

二度目のサビに入る直前のフレーズは

ねえ僕は 君の温かさに 触れる資格なんて あるのかな?

その二度目のサビの最後は

でも誰かの喜ぶ顔が見たい
僕が生きてる価値を感じたい

ここから、間奏を経ずに、この曲のクライマックスであるブリッジに入っていく

その夜 僕は 夢を見た
大きな鳥になって 羽ばたいてた
背中にはあの人を乗せて あの人は笑ってた
僕にはそれが無性に嬉しかったんだ

このあと、シューゲイザー的なギターソロが入り、その後の最後のサビは、臨界点ぎりぎりの、たくましさと、もろさが、同居する叫びのような歌声に乗って、以下の言葉が耳に届く。

目に映るカタチは壊れたけど 揺るぎないものを僕が作り出すんだ
潰れそうな夜は君を想う 君がここにいることを念(おも)うよ
「僕」も「君」も最期は独りだけど
僕は君の眠れない夜を知っている だから
潰れそうな夜は思い出すよ もがいてる君が いる事を

この最後のサビが、歌い方と歌詞の内容のダブルパンチで、涙腺が危うくなる。

YouTubeを探したら、sayuras メンバーによるこの曲の演奏(2022年5月@下北沢 Shelter)の様子をノーカットでハートカクテルさんがアップしているのを見つけた。

sayuras 楽器隊、一人一人の演奏の上手さが際立つ。

このライブ後に、ちさこさんはギター西川進さんベース根岸隆旨さんドラム平里修一さんの3人にバンドを組む事を申し出て、1年半後の sayuras の結成に至ることになる。


11月1日の sayuras の次のライブでも、おそらく演奏されるでしょう。

sayuras 渋谷WWW ワンマンライブ(イープラス / ローチケ)まであと19日

注:トップ画像は、fra-foa の 2004年1月25日下北沢 Club 251 での「プラスチックルームと雨の庭」のライブ映像のキャプチャ画像(Google Image


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