蒸し暑い夏の夜、路地にて。 1 まさこ 2024年2月19日 21:45 この道、嫌だな。なんだか良い感じじゃない。こういうときの直感は大事にすべきだ……。……とはいえ、だ。もう門限過ぎそうだし、今からこの道を戻って大通りから家に帰るのは……現実的じゃないよな。とんでもなく嫌な感じだ。シャンプー中の背後霊の感覚。あるいはリンス中の……。ひたりひたりやばい感じだ。既にいるよ……これは絶対だ。絶対の感覚……。うらめしやー!!!ひぃー、殺さないで殺さないで!成仏してぇー。相変わらずビビりだね。渚ちゃん。私だよ、私……。ぬあ! ああ、なんだ……。……。…………。マジかよ。渚ちゃん。お姉ちゃんだよお姉ちゃん。彩羽お姉ちゃんのことを忘れるかね。あ、ううん。ごめんごめん。彩羽姉ちゃん。あんまりビビらせないでよ。渚ちゃんが夜道を一人で歩いている。ビビらせずにいられるかってんだ。止まるよ……老人でなくったって。心臓……。あはは。ごめんごめん。家、お隣だし一緒に帰ろうぜ。うん……。ありがとう。彼女出来た?出来てないよ。セックスしてる?誰とするんだよ。シコってる?まあそれは……。へえ、大きくなったんだね。主に下半身が。下ネタばっか。じゃあ上ネタを……。なんだよ上ネタって。乳首だろ普通に考えて。結局下じゃないか!あはは!やっぱり渚ちゃんの突っ込みは気持ち良いな。セックスほどじゃないけど。……。そこは、どうやってヤるんだよ!でしょ。……。何泣いてんだよぉ。うるさい!下ネタが嫌いなんだよ。知ってるよ。でも意地悪したくなるんだよねえ。だってそうしたらさ。ずっと覚えていてくれるでしょ。忘れないよ。そんなことしなくたって。ずっと。そうだよね。分かってるんだけれど。そんなことしなくたって、ね。うん。家、着くね。うん……。また来年、会いに来てね。……。ずっと、覚えていてね。……。泣くなよぉ。……。じゃあね、ばいばい。うん……。ばいばい、また。来年に……。……はっ。なんだなんだ。何が起きた。どうして泣いてるんだ僕は。なんだよここ、全然知らない道なんだけど……。やっぱりシックスセンスを信じるべきだった。我が絶対の感覚を……。えっ、ここどこよ。やばいやばい、パニックパニック!やっべえ、あの人、絶対クスリやってる。気付かれないよう駆け足で逃げよう。落ち着け落ち着け。こういうときはアレをブスっとやれば……。マジでやってるよ。結局、僕は門限を過ぎてしまい、親にこっぴどく怒られた。明日から忙しいのに、だって。そりゃそうか。爺ちゃんの家、車で3時間かかるし。 ダウンロード copy #小説 #イラスト #短編小説 1 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート