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盗むこと

世の中には盗んでも良いもの、「盗め」と言われるものがあります。

それは芸や技です。
私が大好きな噺家、柳家小三治さん。
この方の師匠はおにぎり頭の先代柳家小さん。

通常、落語の稽古というのは覚えた噺を師匠の前で一対一で演じ、それに対して師匠が指摘をするものだそうです。
しかし、小三治さんが師匠小さんから稽古をつけてもらったのはただの一度きり。
それも、話し終えると「お前の噺は面白くねぇな」と一言言われただけ、というのは落語愛好者の間では有名な話です。

しかし「どこが面白くないんですか」「どうしたら面白くなるんですか」とは聞けない。
小さんにはそのくらいの威厳があったといいます。
師匠からは、「自分が高座で演じているのを舞台の袖から見て、それで覚えろ。盗め」と言われていたそうです。

このようなことは芸事に限ったことではないと思います。
例えば、仕事についても同じことが言えるでしょう。
なんでもかんでも上司や先輩に聞くのではなく、自分で考え、上司、先輩のやり方を見て学ぶ、盗む。
そうするうちに自分なりのやり方が出来上がってくる。

私が今働いている職場は私の子供と同年代の人がほとんどです。
しかし、だからといって「学ぶものはない」とは思っていません。
若い人だからこその発想に驚かされ、それを自分のやり方に応用することがたくさんあります。

これからも様々な人から様々なことを盗み、学びを続けてゆこうと思います。