旅の終わり、そして始まり
「自己の旅」が今日で最終を迎えた。心匠 上野大照氏による、心の旅。
夏の終わりから通い始めて、季節がひとつ過ぎた。
季節がゆっくり確実に移ろうように、私の心も穏やかにどこかへ向かっているようだった。
私は何者なのか。
こんなとてつもない問いに答えるために深く自己の海に潜る。色あせた記憶を手繰り寄せながら、自分を作っているものは何なのかを探る。
記憶の断片で継ぎ接ぎされた自分を離れたところから見る。大照氏の目が眼鏡の奥で光る。
「それが本当の自分です」そして、こう言う。すべては幻想なのだ、と。
旅は終わり、またここから始まる。
すべては幻想なのだとしたら。
私がした選択は何かを始めることではなく、辞めることだった。正しいかどうかはわからない。でもそれはきっといつでも同じなのだ。
私が生きていくことをやめない限り。
大照氏の言葉は一つ一つが深い。私は時に頭を抱えながら、それでも行くべきところへ誘ってくれる。
私が私であるためにするべきことは何か。
その答えは私にしかわからない。
人生とはそれを模索し、人との関わりの中で見つけていく旅なのだと思う。
より深い旅をするために大切なことがある。私たちは、寄せては返す波のように、行ったり来たりしていつも誰かと引き合っている。私の人生を考えるとき、そこにはかけがえのない人たちがきっといるはずなのだ。
嵐の日も凪いだ日も、そのことを忘れないでおこうと思う。
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