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坂田昌子とその仲間たちVol.5 小澤 尚子

これは「坂田昌子とその仲間たち」のリレーコラムです。
こちらからつづいています⇒


Q1.あなたについておしえてください

 前の方々のコラムを読んだら、バリバリの環境活動家のみなさんで、すっかり気が引けてしまいました。私は長野の農家のおばちゃんやってます~。
 2000年に熊本でやっていた自然食レストランを人に譲り、実家に帰って有機農業(現在は無肥料栽培に移行)をしながら、その作物を使って、おもちやお弁当を作って暮らしています。

幼い頃の私と母と鶏たち

 昭和20年代の最後に生まれ、兼業農家ではありましたが、我が家は田畑の他に鶏、ヤギ、鯉、蜜蜂、ウサギを飼って、ほぼ自給の暮らしをしていました。家族がゴタゴタしている家が嫌で、山や川でひとり遊びをするか、隠れて本ばかり読んでいて、いつのころからか私は山から来たと感じるようになっていました。自然がそれこそ輝くように美しかったころの姿が私のベースにあり、なにより幸せなことと思います。

 この大きな変化の時代に、私にとっても誰にとっても一番大事なことは「信仰」だと思っています。80年代にインドをバックパッキングしてインド哲学に惹かれて行きました。2000年までは、日本にもお坊さんが派遣されているインドの僧院に通っていましたが、今はすっかりご無沙汰しているこのごろです。
その僧院を創設した方で、インドの英雄と称されるスワミ・ヴィヴェカーナンダというお坊さんは「人の数だけ宗教はある」と言われ、日本の支部の機関紙の冒頭には、毎回「神はひとつ、それをひとはさまざまな名で呼ぶ」と書かれています。今は「お金が神」になってしまった人達がこの社会を牛耳っていて、日々腹が立つことばかり起きていますね。
私は「坂田の杜※1」の集まる人々は、きっと自然というか宇宙というのか、すべてが網の目のようにつながり合い、調和して動いている力を、神とはいわないけれど芯から信仰している人たちではないかと思っています。
 あえて信仰、という言葉を出したのは(普段は話してませんです)、そこでは、自分が行為を行っているのではなく、自分の一番尊敬する愛と平安に満ちた存在に、役割として与えられたことを行っている、と考えられるのがとてもいいなあと思うからです。自分がしていると思うと間違ったり悩んだりしますが、否応なくやらされることは、ただ自分の能力を最大限使って働き、結果に執着せずにいることができます。

にれ沢蝶の森
にれ沢蝶の森

 私がかかわっている「にれ沢蝶の森」の活動も、どうにもやらずにおれなかったメガソーラー反対運動がきっかけです。山の神様からやらされていると感じたし、ならばうまくゆくだろうと妙な安心感もありました。現在の運営も、自分がしているのではなく、役割を果たさせてもらっているだけなので、自動的に何とかなってゆくのだろうと気楽に構えています。

にれ沢蝶の森

 ここで宣伝ですが、「にれ沢蝶の森」は、毎月第3日曜日が定例会です。2ヘクタールの耕作放棄されたところの手入れをしています。山合いの谷で、土中の水が豊かな上、湿地と川もある良いところですので、ぜひお出かけください。坂田さんからは手入れ後の変化が早い、とうれしい評価をもらっています。間違って手入れをしていた湿地も、坂田さんの指導で、ヨシがとても美しく再生してきました。

Q2、坂田さんの生物多様を重んじるワークショップを通して

にれ沢蝶の森での坂田さんのワークショップ

 さて坂田さんの存在はといえば、私にとっては生物多様性というダイナミックな、見えるもの見えないものが利他の精神で繋がり合っているという神の属性をリアルに見させてくれる人です。坂田さん自身が、委託された果たすべきとことを、本当に全力で行っているのだろうなと思います。痛んだフィールドに手入れしようとする人がいれば、どこまでも身を削ってまで応援しようとしてくださる。感動しかないです。

 微細なものから大きなもの、動植物人の関係性への暖かいまなざしが素晴らしいと思っています。しがらの状況を探る坂田さんの手、木の根の状況を土の中で見る手、なにげなくコケに覆われた枯れ木を湿気の欲しいところに置く手。かっこ良すぎます!いつか少しでも近づきたいもんです。まずは好きな草眼をそだてることを目指します。

Q3、あなたにとって生物多様性って

蝶の森の湿地で包接するアズマヒキガエル

 2002年から百姓と研究者とで、田んぼの生き物を観察する会を10年近くやりました。今思えば環境全体の水や風の流れ、回りの地形、人がやってしまったダメな土木、木や草の状態、菌の事など全く見ていませんでした。生物多様性のことを教えてもらってやっと気がつきました。その場で暮らしている様々なものを観察しつつ、見えないものを含めた全体のかかわりをさぐることが大事と理解しています。
 さて、私はここにきて新しいプロジェクトを始めることになり、人と人、お年寄りや子供、弱い立場の方々とかかわることになっていきそうな気配です。今まで苦手で人間の多様性?に関わってこなかったのですが、この年になってまさかの展開でびっくりです。やれといわれるならば、学びながらやるしかないなーと思っているところです。神さまは人使いが荒いですねー。でも坂田さんが頑張っておられるので、私も頑張るしかないなと腹をくくっているこのごろです。見本が大きすぎて・・・自分なりにガンバリマス。

坂田さんのワークショップではみなさんいい顔してますよね

Q4, 生物多様性の仲間で次にバトンをつなぎたい人

 荒井美穂子さんにお願いしました。ズームでしかお会いしたことないのですが、いつもほっとする楽しい雰囲気をお持ちなので、お話を聞いてみたいと思ってます。楽しみにしています。

※1坂田の杜
生物多様性の専門家、坂田マサコさんのセミナー動画をベースに、参加者同士でのオンラインディスカッションや交流を通して生物多様性についての学びを深める場です。


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