見出し画像

双子の星 04

そしてポウセ童子は、白い貝殻の沓をはき、二人は連れだって空の銀の芝原(しばはら)を仲よく歌いながら行きました。

「お日さまの、お通りみちを はき浄(きよ)め、ひかりをちらせ あまの白雲。  お日さまの、お通りみちの 石かけを深くうずめよ、あまの青雲。」

そしてもういつか空の泉に来ました。
この泉は霽(は)れた晩には、下からはっきり見えます。天の川の西の岸から、よほど離れた処に、青い小さな星で円くかこまれてあります。

底は青い小さなつぶ石でたいらにうずめられ、 石の間から奇麗な水が、ころころころころ湧わき出して泉の一方のふちから天の川へ小さな流れになって走って行きます。

※青空文庫 宮沢賢治 作「双子の星」より

(底本:「新編 銀河鉄道の夜」新潮文庫、新潮社)

つづく

読んでいただきありがとうございます! 貴重なサポートは、クリエイティブ活動を続けるための制作資金とさせていただきます。