カタルニャの外側へ
ガウディと同じカタルニャ出身の画家である
ダリが「嫌悪感を抱くほど」と評した
ガウディの超写実主義ですが、個々の彫刻を
見る限り私には嫌悪感は湧いてはきません。
それぞれの彫像は、石に彫刻する前に、粘土、
続いて石膏で、4分の1、半分、最終的寸法の
塑像が作られました。
その作業に打ち込むガウディを想像するにつけ
思い浮かぶのは、可哀想と思えるほどに実物に忠実な形を再現しようとする建築家の姿であって
嫌悪感を抱くようなものではありません。ダリの評価は恐らく、生誕のファサードをある程度離れた距離から眺めた時の印象に基づくもののように
思われます。確かに少し離れたところから生誕の
ファサードを見てみると、その描写があまりにも
細密過ぎるため、つぶさに見ようとしていると
少し気分が悪くなる人がいるかも知れないということは何となく理解出来ます。しかし、いかに
カトリック教に忠実なお国柄であるとは言え、
ここまで情熱的に聖書について些細に表現し
讃えようという輩はそうそういないと思います。
このようにしてサグラダ・ファミリアの主任建築家としてカタルニャで揺るぎない名声を獲得したガウディでした。
折しも、この当時の20世紀初頭は巨大主義の時代
でした。そして、次にガウディが目指したのは
アメリカ、ニューヨークでの巨大なホテル建築
でした。310メートルの高さ、数多くのタワー、
屋上の展望台、回廊、広々とした部屋、奇想天外な装飾、これらはガウディの最も幻想的で巨大な計画であり、この建築家がスペイン以外に建設を
決意した唯一の建物でした。残念ながらこの計画は実現しなかったのであまり知られていません。
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