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人間は発見し、その発見から出発する

人は「創造」せず、発見し、それから出発する、
とするならば、これは、人はゼロからではなく、
既に存在するものを発見し、それから新たなものを作り出すことを意味することになるでしょう。
このことを単純化すれば、神は「無」から「有」を、人は「有」から「有」を創(作)ることになります。

ガウディはサグラダ・ファミリア聖堂内部の樹木式構造を以下のように説明しています。「円柱、すなわち、柱は木の幹、屋根は斜面と頂上を持っ山、ヴォールトは放物線状断面の洞窟、石切り場の最も硬い石層は、軟弱な石層の侵食により、楣と梁を形づくる」自然とは、ガウディにとって、
教科書であり「我が師」なのです。

床から立ちあがる円柱は転び(傾斜)柱、その円柱の幹から枝分かれした小柱が多数伸び、天井の葉群れを支えます。壁面、柱面、および天井ヴォールトは、「平曲面」の双曲放物線面、双曲線面、らせん面の線式面幾何学でデザインされています。その結果、構造的に極めて合理的と考えられているゴシック建築の控壁、その先端を飾るピナクル、及び飛びアーチを不要とします。これらは
天井ヴォールトの横に開こうとする推力を押さえつけるつっかい棒の役割を果たすものですが、転び柱の使用で推力が発生しないことから、つっかい棒は不要になっているのです。

サグラダ・ファミリアの内部は、「静寂な森」を
理念とする自然主義の建築ですし、すべての造形が線織面幾何学でデザインされている幾何学主義の建築でもあります。

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