♯1 会計ソフトの移行プロセス
会計ソフトの移行プロセスの全貌
会計ソフトの新規導入や、別の会計ソフトへの移行プロセスの全貌を、4回(4記事)に分けて解説していきます。
会計ソフトの移行は頻繁に行われるものではないため、経験がない経理マンが多いのではないでしょうか。
電子帳簿保存法やインボイス制度など、経理を取り巻く環境が変化している中で、会計ソフトの変更を検討している場合は、この記事を参考にしていただければ幸いです。
(なお当記事は、中小企業・スタートアップ企業向けの内容となっておりますので、上場企業や売上高数千億円の中堅企業には参考にならない部分があります)
STEP 01:会計ソフト変更の検討タイミング
01.サポート終了時
現在使用している会計ソフトのサポートやメンテナンスが今後行われなくなり、サポート終了となることがあります。
例えば、オービックビジネスコンサルタント(OBC)が提供している「奉行i10シリーズ」は2024年4月末をもって、サポートメンテナンス期間が終了となります。(2023年11月時点の情報)
これは、会計や税務などに関する制度改正があっても、会計ソフトはそれらに対応できないことを意味しています。勘定奉行i10を使用している会社は多いのではないでしょうか。
勘定奉行以外にも、サポート終了が決まっている会計ソフトはいくつかありますので、今一度自社の会計ソフトのサポート状況を確認してみるのもいいかもしれないです。
02.業務効率化・機能拡張をしたいとき
比較的歴史のあるオンプレミス型の会計ソフトの場合、操作感が軽く、試算表や財務諸表の作成を行うのみであれば、全く問題なく運用できます。仕訳手入力の操作感という点だけみると、最新のクラウド会計ソフトよりオンプレミス会計ソフトの方が個人的には好きです。
一方、クラウド会計ソフトでは、外部データの連携や会計周辺システムとの連携が充実しています。例えば、売上請求書に係る会計処理を考えてみましょう。
売上請求書作成システムと会計ソフトが連携していない場合、売上請求書の情報を会計ソフトに手入力したり、請求データを会計ソフトにインポートする必要があります。
一方で、会計freeeの場合、会計freee内で売上請求書が作成でき、請求書作成完了とほぼ同時に、売上仕訳(売掛金/売上高)が計上されます。
このように、従来手作業で行っていた作業を、より少ない工数で行うことができます。この他にも、経費精算システム、在庫システム、EC販売サービス、レジ、労務など多くの、外部データや会計周辺システムとの連携を行うことができます。
03.事業規模拡大・業種変更・IPO準備などの経営環境変化のとき
事業規模拡大に伴う会計処理の増加により、現在の会計ソフトでは処理に時間がかかるなどの問題がある場合には、会計ソフトの変更を検討した方がいいです。
製造原価科目(原価計算)を使用する事業を新たに開始したり、プロジェクト管理の必要性が生じた場合も会計ソフトの変更を検討しましょう。
IPO準備に入る場合、内部統制機能が備わっている会計ソフトが必要になると思うので、ここも会計ソフトの変更タイミングになりそうです。
海外子会社を設立した場合における海外子会社との連携や、子会社・関連会社間の連結決算の必要が生じる場合なども、変更タイミングです。
04.法改正や会計基準の変更があったとき
最近では、電子帳簿保存法の改正やインボイス制度の導入などのイベントがあり、これをきっかけに会計ソフトの変更を検討している方も多いのではないでしょうか。
現在使用している会計ソフトがアップデートにより、電子帳簿保存法やインボイス制度に対応したとしても、上記02.に記載した通り、業務効率化・機能拡張の面では今の会計ソフトではできないこともある場合があります。
このように法改正などあったタイミングで会計ソフトを見直すこともいいでしょう。
♯2 会計ソフトの移行プロセス
STEP 02に続く・・・。
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